1章
夢小説設定
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「何かねーえ、あの雑誌の袋とじのグラビアが欲しかったんだってさ」
その晩、事情通の柴崎が部屋で事の顛末を教えてくれた。
「ねえ、ちょっとぉ。
顔あげなよ、一生沈没してるわけには行かないんだからさ」
郁が渋々顔を上げると、柴崎と由美はブッと吹き出した。
「顔上げろたったのアンタでしょー!?」
「いやーごめんごめん。
手当てした時も思ったけど遠慮なくやられたもんよね。
あれ少しでも遅かったらもっと痛み強くなったわよ。
由美に感謝することね」
郁の手当てをしてくれたのは柴崎だ。
「え、由美?」
「あんた気づいてないの?
たまたま私があそこにいたわけないでしょ。
由美が事前に連絡をくれたからいたのよ」
「だって凄い勢いで引っ叩いたんだよ!?
あれそのまま放置してたら真っ赤になるなと思って。
私はすぐに手当てしてあげられなかったし、郁が自分で医務室に行くとも思えなかったから」
「まあ、そういうアンタのおでこにも中々でかいのが貼ってあるけどね」
かっこ悪いと思ったのは明らかに大きい絆創膏が貼られたのだ。
傷にあっていない大きさの。
「心配しすぎなんだよ、堂上教官が」
おでこの絆創膏を見てまた郁が暗くなる。
「大した傷じゃないから気にしないで」
「そうよ。
堂上教官、報告書で損壊犯の確保者あんたにしてたわよ。
ドジは踏んだけど、認めるべくは認めてくれたんじゃないの」
「何で由美じゃないの」
「私は確かに確保はしたけど、見つけて対処したのは郁でしょ?」
と言っても俯いたままの郁。
これは相当気にしてるな。
「ジュース買ってくる!!」
言うなり郁は立ち上がり、部屋を飛び出した。
「バレバレよ、バカ」
「本当にね。かわいそうだから財布届けてに行ってくるね。
なんかいる?」
「あたしお水」
「おっけ」
ロビーに向かうとちょうど郁を見つけた。
郁、と声をかけようとしたところで他にも人がいることに気づき物陰に隠れた。
「あたし、辞めませんから!」
と、宣言した相手はどうやら堂上のようで。
「あたし、高校のときに会った図書正みたいになりたくてここに来たんです。
いつか会えたらあなたを追いかけてここに来ましたって言うんです。
だからこんなところでやめません。
あたしを助けてくれた女の子にも失礼だから」
そこに私ががいることに自分で驚いた。
「それほど大した男か、それが」
やっぱり気づかれたくないんだ。
自分があの時の図書正だって。
気づいてはいたがそう言われると少し悲しくなる。
伝えるつもりはないけども。
話が終わったようで物陰にいる私に郁が気付く。
「由美。
私、辞めないから。
今日は本当にごめん。
同じ過ちはもう二度としない」
「うん。
郁はそれでいいよ。
ほら、財布」
財布を渡して柴崎に頼まれたものを買わせる。
堂上は先に戻った様子だったから出てきたのに戻ってきた。
「水無月。
傷はどうだ?」
「別に大したことないですって」
「…」
無言の圧力を向けられれば素直に答えるしかない訳で。
「郁、先戻ってて。
柴崎には傷の手当てしてから戻るって言い訳よろしく」
「でも」
「いいから」
郁に傷の話をするのは憚られる。
もうあまり気にして欲しくないから。
この傷は郁のせいではなく、私がうまく避けられなかったからできた傷なのだから。
「どうして笠原を返したんだ」
「堂上教官ってどうして人が答えたくないことをどんどん聞いてくるんですか…」
「笠原が気にするからか」
「しかも分かってて聞いてますよね」
分かってて聞いてくるんだからタチが悪い。
観念して答える。
「そうです。
この傷は私がうまく避けられればできなかったんですから私のせいなんです」
「お前のその考え方はどうにかならんのか」
「生まれた時からこの考え方なので無理ですね」
「しかも、見かけによらず頑固だよな」
「堂上教官には言われたくないですっ!」
と、膨れた顔をしていたのに突然顔を近づけて愛おしそうにこちらを見つめるから言葉に詰まってしまった。
「え、あの、ど、堂上教官?」
「わ、悪い。
で、傷はどうなんだ」
「ちょっと痛いですよ〜。
でも明日には治るんじゃないんですかね?」
「ならよかった」
何で、そんな安心した顔してるの。
私のことなんて堂上には関係ないのに。
「えーっと、もう話はないですか?
だったら私帰りますね!」
と立ったけどもそれは堂上が由美の腕を掴んだことで再び座ることになった。
「もうちょいここにいろ」
「…はい。
あ、あんまり気にしないでくださいね」
「何がだ」
「傷のこと。
どうせ堂上教官のことだからあれこれ考え込むと思いますがこれは私の責任なので本当に気にしないでください」
「…お前はどうして」
強く手を引かれたと思ったら堂上の胸の中に引っ張られた。
「え、あの…」
「お前が殴られた時心臓が止まるかと思った」
「それは、いったいどういう…」
「由美〜!!」
遠くから郁の呼ぶ声が聞こえ2人とも距離を取る。
「私、行きますね!」
「お、おう」
郁と落ち合った時ずっと顔が赤い訳を聞かれたが答えられるはずもなかった。
「くそっ…
少しは自制しろ」
そう堂上が呟いてたことも由美は知る由もない。
その晩、事情通の柴崎が部屋で事の顛末を教えてくれた。
「ねえ、ちょっとぉ。
顔あげなよ、一生沈没してるわけには行かないんだからさ」
郁が渋々顔を上げると、柴崎と由美はブッと吹き出した。
「顔上げろたったのアンタでしょー!?」
「いやーごめんごめん。
手当てした時も思ったけど遠慮なくやられたもんよね。
あれ少しでも遅かったらもっと痛み強くなったわよ。
由美に感謝することね」
郁の手当てをしてくれたのは柴崎だ。
「え、由美?」
「あんた気づいてないの?
たまたま私があそこにいたわけないでしょ。
由美が事前に連絡をくれたからいたのよ」
「だって凄い勢いで引っ叩いたんだよ!?
あれそのまま放置してたら真っ赤になるなと思って。
私はすぐに手当てしてあげられなかったし、郁が自分で医務室に行くとも思えなかったから」
「まあ、そういうアンタのおでこにも中々でかいのが貼ってあるけどね」
かっこ悪いと思ったのは明らかに大きい絆創膏が貼られたのだ。
傷にあっていない大きさの。
「心配しすぎなんだよ、堂上教官が」
おでこの絆創膏を見てまた郁が暗くなる。
「大した傷じゃないから気にしないで」
「そうよ。
堂上教官、報告書で損壊犯の確保者あんたにしてたわよ。
ドジは踏んだけど、認めるべくは認めてくれたんじゃないの」
「何で由美じゃないの」
「私は確かに確保はしたけど、見つけて対処したのは郁でしょ?」
と言っても俯いたままの郁。
これは相当気にしてるな。
「ジュース買ってくる!!」
言うなり郁は立ち上がり、部屋を飛び出した。
「バレバレよ、バカ」
「本当にね。かわいそうだから財布届けてに行ってくるね。
なんかいる?」
「あたしお水」
「おっけ」
ロビーに向かうとちょうど郁を見つけた。
郁、と声をかけようとしたところで他にも人がいることに気づき物陰に隠れた。
「あたし、辞めませんから!」
と、宣言した相手はどうやら堂上のようで。
「あたし、高校のときに会った図書正みたいになりたくてここに来たんです。
いつか会えたらあなたを追いかけてここに来ましたって言うんです。
だからこんなところでやめません。
あたしを助けてくれた女の子にも失礼だから」
そこに私ががいることに自分で驚いた。
「それほど大した男か、それが」
やっぱり気づかれたくないんだ。
自分があの時の図書正だって。
気づいてはいたがそう言われると少し悲しくなる。
伝えるつもりはないけども。
話が終わったようで物陰にいる私に郁が気付く。
「由美。
私、辞めないから。
今日は本当にごめん。
同じ過ちはもう二度としない」
「うん。
郁はそれでいいよ。
ほら、財布」
財布を渡して柴崎に頼まれたものを買わせる。
堂上は先に戻った様子だったから出てきたのに戻ってきた。
「水無月。
傷はどうだ?」
「別に大したことないですって」
「…」
無言の圧力を向けられれば素直に答えるしかない訳で。
「郁、先戻ってて。
柴崎には傷の手当てしてから戻るって言い訳よろしく」
「でも」
「いいから」
郁に傷の話をするのは憚られる。
もうあまり気にして欲しくないから。
この傷は郁のせいではなく、私がうまく避けられなかったからできた傷なのだから。
「どうして笠原を返したんだ」
「堂上教官ってどうして人が答えたくないことをどんどん聞いてくるんですか…」
「笠原が気にするからか」
「しかも分かってて聞いてますよね」
分かってて聞いてくるんだからタチが悪い。
観念して答える。
「そうです。
この傷は私がうまく避けられればできなかったんですから私のせいなんです」
「お前のその考え方はどうにかならんのか」
「生まれた時からこの考え方なので無理ですね」
「しかも、見かけによらず頑固だよな」
「堂上教官には言われたくないですっ!」
と、膨れた顔をしていたのに突然顔を近づけて愛おしそうにこちらを見つめるから言葉に詰まってしまった。
「え、あの、ど、堂上教官?」
「わ、悪い。
で、傷はどうなんだ」
「ちょっと痛いですよ〜。
でも明日には治るんじゃないんですかね?」
「ならよかった」
何で、そんな安心した顔してるの。
私のことなんて堂上には関係ないのに。
「えーっと、もう話はないですか?
だったら私帰りますね!」
と立ったけどもそれは堂上が由美の腕を掴んだことで再び座ることになった。
「もうちょいここにいろ」
「…はい。
あ、あんまり気にしないでくださいね」
「何がだ」
「傷のこと。
どうせ堂上教官のことだからあれこれ考え込むと思いますがこれは私の責任なので本当に気にしないでください」
「…お前はどうして」
強く手を引かれたと思ったら堂上の胸の中に引っ張られた。
「え、あの…」
「お前が殴られた時心臓が止まるかと思った」
「それは、いったいどういう…」
「由美〜!!」
遠くから郁の呼ぶ声が聞こえ2人とも距離を取る。
「私、行きますね!」
「お、おう」
郁と落ち合った時ずっと顔が赤い訳を聞かれたが答えられるはずもなかった。
「くそっ…
少しは自制しろ」
そう堂上が呟いてたことも由美は知る由もない。