甘い孤独
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私はダンデのことを、どう思っているのだろう。
ダンデは私のことを、どんな風に見ているのだろう。
「……こい、びと……?」
うわごとのようにダンデに言われた言葉を口にすると、それはもう綺麗な笑顔を向けられた。
ワイシャツ1枚だけ着た私をソファに押し倒した男がするとは思えないような、綺麗で感情の読めない笑顔。
「あぁ。オレと恋人になれば、なまえくんは他の男のところに行けないだろう?」
「そんなの分からな、」
「いや、わかるぞ」
頬に触れていたダンデの手が、首筋をなでて鎖骨をなぞった。
ダンデの視線も鎖骨に向けられる。
シャワーを浴びている時に気づいたけど、鎖骨には彼が付けたキスマークがあった。
それを彼は見ているのだろう。
キスマークがあるであろう場所を、親指の腹でひと撫でされる。
「オレが行かせないからな」
「……っ」
ぞくり、背筋に冷たいものが走った気がして、身震いした。
もしかして私は、とんでもない人に手を出してしまったのかもしれない。
こんなにも手つきは優しいのに、気配と視線はとても優しいものではなくて。
今にも、襲いかかられてしまいそうで。
それが、なんだかとても怖くて。
「……お断り、よ」
自分でも笑っちゃうくらいに震えた声で、それでもダンデに拒絶の言葉を吐く。
ダンデのことは好ましく思っているけど、あくまで友人として。
ダンデと恋人になる気はないし、ダンデも私のことを好きで恋人になろうだなんて言ってない。
私に複数の男との関係を止めさせるためだなんて勝手な心配で、私を縛り付けないで欲しい。
ダンデは困ったような素振りを見せて、鎖骨から私の瞳へ視線を戻した。
「どうしてだ? なまえくんがオレに頼んだんじゃないか。寂しさを埋めてくれって」
「……でも、恋人になって欲しいだなんて言ってない。私が誰かを必要とする時にだけ、傍にいてくれればいいの」
「その時に必要とする『誰か』を、オレだけにして欲しいと言ってるんだ」
真っ直ぐに、強い意識を持った瞳で見つめられる。
こんなに顔が良くて、チャンピオンとしての地位もある男にこうも情熱的に言い寄られたら、まず落ちない女はいないのだろう。
「……なんで、私にそこまで言ってくれるの」
私も、そんな女のひとりなのだろうか。
ダンデと恋人になる気はないのに、なぜか心臓が大きく跳ねる。
顔が熱い気がしてそっぽを向けば、ダンデの手によってまた正面を向かされた。
視界に映った金色は、ほんの一瞬だけ揺れた気がした。
「…………なまえくんが好きだからだ」
――ああ、彼はなんて甘くてひどい嘘を吐くんだろう。
それでも、嘘だと知っていても彼を拒みきれなかったのは、きっと与えられた口付けがとても甘かったせいだ。