豪炎寺の幼馴染。真顔でボケをかます性格。
2:お守り
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隣の家のインターホンを押すと、「はーい!」と軽快な声がすぐに返ってきた。玄関で待っていてくれたようで、声のあと数秒待たずして扉が開いた。
「千晴おねーちゃん!おはよう!」
「おは、よう、夕香ちゃん。元気だねー」
挨拶の間にあくびを挟んだ私を見て、夕香ちゃんは眠そうだね、と修也とよく似た猫目を細めてクスクス笑った。
修也から電話がかかってきたのは昨日の夜のことだった。
明日の試合、夕香ちゃんが観に行きたいと言っているが、あいにくお父さんの勝也さんもお手伝いのフクさんも都合が悪い。選手の修也も一度学校に集まってから会場に向かうので、夕香ちゃんの面倒を頼めないか、という事だった。
「……観に、来てくれるか」
躊躇ったように付け加えられたのは、私が去り際あんな態度を取ってしまったからだろうか。
「行くよ、行く。もちろん」
泣き出しそうなくらい声が震えていてびっくりした。自分でも意味がわからなかった。
一つ咳払いをして誤魔化して、出来るだけ軽く聞こえるように努めて明るい声を出した。
「前からそのつもりだったんだけど、色々やる事思い出して……さっきは突然帰っちゃってごめんね。今日中に終わらせないと明日応援に集中できないと思ってさ」
その前にどれだけ怒っていても、電話を取る時は人が変わったように余所行きの声が出せるお母さんを器用な人だと思っていた。だけど、いざ困ったら練習もなしに自分も出来るのだから恐ろしい。なんだか一つ大人になった気分だった。
「千晴」
「ん?」
しばらく間があってから、「いや、」と修也は続けた。
「……すまない、夕香のことよろしく頼む」
「うん。お礼は優勝カップでいいよ」
修也はそうだな、と言って小さく笑った。
電話が切られてから、私はその場にずるずると座り込んでしばらく動けなかった。そんなに長い電話じゃなかったのに、なんだか酷く疲れた。
「千晴おねーちゃん!おはよう!」
「おは、よう、夕香ちゃん。元気だねー」
挨拶の間にあくびを挟んだ私を見て、夕香ちゃんは眠そうだね、と修也とよく似た猫目を細めてクスクス笑った。
修也から電話がかかってきたのは昨日の夜のことだった。
明日の試合、夕香ちゃんが観に行きたいと言っているが、あいにくお父さんの勝也さんもお手伝いのフクさんも都合が悪い。選手の修也も一度学校に集まってから会場に向かうので、夕香ちゃんの面倒を頼めないか、という事だった。
「……観に、来てくれるか」
躊躇ったように付け加えられたのは、私が去り際あんな態度を取ってしまったからだろうか。
「行くよ、行く。もちろん」
泣き出しそうなくらい声が震えていてびっくりした。自分でも意味がわからなかった。
一つ咳払いをして誤魔化して、出来るだけ軽く聞こえるように努めて明るい声を出した。
「前からそのつもりだったんだけど、色々やる事思い出して……さっきは突然帰っちゃってごめんね。今日中に終わらせないと明日応援に集中できないと思ってさ」
その前にどれだけ怒っていても、電話を取る時は人が変わったように余所行きの声が出せるお母さんを器用な人だと思っていた。だけど、いざ困ったら練習もなしに自分も出来るのだから恐ろしい。なんだか一つ大人になった気分だった。
「千晴」
「ん?」
しばらく間があってから、「いや、」と修也は続けた。
「……すまない、夕香のことよろしく頼む」
「うん。お礼は優勝カップでいいよ」
修也はそうだな、と言って小さく笑った。
電話が切られてから、私はその場にずるずると座り込んでしばらく動けなかった。そんなに長い電話じゃなかったのに、なんだか酷く疲れた。