豪炎寺の幼馴染。真顔でボケをかます性格。
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人生、やった後悔よりやらずに後悔する事の方が多いから、迷ったらとりあえずやっておけ。
とは、去年の夏休み前に担任の先生が仰っていた有難いお言葉だ。もちろんやっていい事と悪いことの区別はつけろ、とも言っていたけど。青春を謳歌しろ、と笑っていた一年生の時のその先生はもう異動で別の学校に行ってしまったけど、またそこでも同じような事を生徒に言っているのだろうか。あの時聞き流してしまった先生の言葉に、今さらながら質問があるんですけど。
先生、私はやってから後悔する事の方が多い気がします。
それとも、幼馴染に告白するってやっちゃいけない事でしたか。
私の幼馴染である豪炎寺修也という人間は、まあ一言で説明するなら、少年漫画の主人公の親友枠みたいなやつ、だ。
一年生にしてサッカー部のエースストライカー、勉強もそれなりにできるし、性格も少々無愛想でぶっきら棒だけど優しい。身長もそこそこある。切れ長の目元がカッコよくて、贔屓目抜きにしてもイケメンの部類に入ると思う。当然めちゃくちゃモテる。
主人公にしては勉強できすぎで馬鹿っぽくないし、ライバルキャラにしてはヒール要素が足りない。そんな分析を友達のなおちんに話したら、じゃあ主人公は誰だよと笑われた。そんな輝きを持った人、この学校で豪炎寺くん以外に誰かいる?と。
「どう考えても豪炎寺くんは少女漫画のヒーローでしょ。この前のフットナントカの準決勝、会場で観てたでしょうが。あのイケメンスーパーヒーローぶり。大会MVP取っちゃう勢いだから。ほんともう有り得ないから、あんたが幼馴染だって言うのもあり得ないから」
「いやあり得ないとか言われても事実だし」
「あーもーほんと羨ましいんだけどーー!私も豪炎寺くんと同じ小学校通いたかった!そしたらお近づきになれたかもしれないのに!豪炎寺ファンクラブ会員ナンバー4なんて立ち位置じゃなかったかもしれないのに!」
なおちんはそう言ったけど、正直なところ同じ小学校でも修也とお近づきになれたのかは怪しいところだ。
小学校の頃から奴の才能の突出感は半端じゃなかったので、それはもう今と同じようにモテまくっていた。鉄棒の逆上がりで悲鳴が上がるほどだった。小学校のうちは運動できるやつが強い。中学は勉強も できるやつが強い。名前や一体感こそなかったけど既に豪炎寺ファンクラブの卵のようなものもあったし。
そのせいかどうかは知らないけど、小学校の内から修也は極力女子とは距離を取っていて、同じサッカー仲間とつるんでいる事が多かった。一部例外を除いて。
「いい?それを思えばあんた凄い恵まれた場所にいんのに何をそんなぐちぐちと言い訳を並べてんの?豪炎寺くんが普通に接してるのあんたぐらいしかいないんだから自信持って逝きなさいよ」
「知ってるよ。それ死んでこいって意味でしょ」
「他に何があんの。死ぬ気でいかないとあのスーパーヒーローの心なんか射止められる訳ないでしょ」
「でもさぁ、」
「でもじゃねぇよ」
「なおちん顔が怖いよ」
「当たって砕けろよ。砕けてこいよ」
「いやだー砕けたくないーー」
「当たって砕けたら私が抱きしめて慰めてやるからよ」
「やだ、なおちゃん様イケメン!カッコいい!」
「すまない、春川ってまだいるか」
突然茶番に差し込まれた男子の声に、二人して振り向く。
困惑した顔で扉の前に突っ立っていたのは、さっきまで話題の中心だった豪炎寺修也その人だった。
「ごっ……!?え、んじくん……」
「あれ、部活は?」
「明日試合だから今日は早めに終わったんだ。春川がまだいるなら一緒に帰ろうかと思って……たんだが、終わりそうにないな」
「あー、うん。できてないっちゃできてないなぁ」
息抜きという名の恋愛相談という名のなおちんによる私への駄目出し大会が始まってしまい、今月末締め切りの絵は何一つ進んでいない。私の前の半分白いキャンバスを見て、修也は呆れ混じりに笑った。
「ごめん修也、先に帰っ」
「大丈夫大丈夫!まだ締め切り先だから!片付け私がやっとくし!春川は先帰んなよ!」
ね?と青筋を立てた笑顔でねじ込まれた肘が痛い。
わかってるよ、なおちん。二人で帰れって言いたいんでしょ?でもね、これそんな甘い雰囲気にはならないんだよ。何故か。なんでかは分からないけど。
「昇降口で待ってる」
「了解っす」
敬礼して修也の後ろ姿を見送った私に、色気なさすぎ、となおちんは酷い事を言う。中学生に色気だなんだ言うなよ、と唇を尖らせながら片付けようとパレットを手に取る。
「ちょ、いいよ私やるって。豪炎寺くん待ってるって言ってたじゃん」
「いやー、あれは自分のことは自分でやれ、それまで待ってるって意味だからさ」
自分の事はできる限り自分でやる。修也はそう言う考えの強い人で、しかも人に自分の考えを強要するきらいがある。幼馴染の自分はもっぱらそれの被害者で、自分でなんとかしろと放置を決め込まれた事は一度や二度ではない。
でも、本当に助けが必要な時はちゃんと助けてくれる。
そういうところがマッチポンプなのに無自覚にヒーローでこっちとしてはたまったものじゃないんだけど、本人はあれで本当に無自覚だからタチが悪いというか何というか。
まあ何にせよ自分のは自分のだし片してから帰るよ、と言えば、なおちんは首を九十度に傾けて唸った。
「いや分からんし」
「そお?」
「いや、あんたがなんでそれで自信がないのかが分からんわ」
「なんでだろうね」
まあ、ただ自分が臆病なだけだろうな。
とは、去年の夏休み前に担任の先生が仰っていた有難いお言葉だ。もちろんやっていい事と悪いことの区別はつけろ、とも言っていたけど。青春を謳歌しろ、と笑っていた一年生の時のその先生はもう異動で別の学校に行ってしまったけど、またそこでも同じような事を生徒に言っているのだろうか。あの時聞き流してしまった先生の言葉に、今さらながら質問があるんですけど。
先生、私はやってから後悔する事の方が多い気がします。
それとも、幼馴染に告白するってやっちゃいけない事でしたか。
私の幼馴染である豪炎寺修也という人間は、まあ一言で説明するなら、少年漫画の主人公の親友枠みたいなやつ、だ。
一年生にしてサッカー部のエースストライカー、勉強もそれなりにできるし、性格も少々無愛想でぶっきら棒だけど優しい。身長もそこそこある。切れ長の目元がカッコよくて、贔屓目抜きにしてもイケメンの部類に入ると思う。当然めちゃくちゃモテる。
主人公にしては勉強できすぎで馬鹿っぽくないし、ライバルキャラにしてはヒール要素が足りない。そんな分析を友達のなおちんに話したら、じゃあ主人公は誰だよと笑われた。そんな輝きを持った人、この学校で豪炎寺くん以外に誰かいる?と。
「どう考えても豪炎寺くんは少女漫画のヒーローでしょ。この前のフットナントカの準決勝、会場で観てたでしょうが。あのイケメンスーパーヒーローぶり。大会MVP取っちゃう勢いだから。ほんともう有り得ないから、あんたが幼馴染だって言うのもあり得ないから」
「いやあり得ないとか言われても事実だし」
「あーもーほんと羨ましいんだけどーー!私も豪炎寺くんと同じ小学校通いたかった!そしたらお近づきになれたかもしれないのに!豪炎寺ファンクラブ会員ナンバー4なんて立ち位置じゃなかったかもしれないのに!」
なおちんはそう言ったけど、正直なところ同じ小学校でも修也とお近づきになれたのかは怪しいところだ。
小学校の頃から奴の才能の突出感は半端じゃなかったので、それはもう今と同じようにモテまくっていた。鉄棒の逆上がりで悲鳴が上がるほどだった。小学校のうちは運動できるやつが強い。中学は勉強
そのせいかどうかは知らないけど、小学校の内から修也は極力女子とは距離を取っていて、同じサッカー仲間とつるんでいる事が多かった。一部例外を除いて。
「いい?それを思えばあんた凄い恵まれた場所にいんのに何をそんなぐちぐちと言い訳を並べてんの?豪炎寺くんが普通に接してるのあんたぐらいしかいないんだから自信持って逝きなさいよ」
「知ってるよ。それ死んでこいって意味でしょ」
「他に何があんの。死ぬ気でいかないとあのスーパーヒーローの心なんか射止められる訳ないでしょ」
「でもさぁ、」
「でもじゃねぇよ」
「なおちん顔が怖いよ」
「当たって砕けろよ。砕けてこいよ」
「いやだー砕けたくないーー」
「当たって砕けたら私が抱きしめて慰めてやるからよ」
「やだ、なおちゃん様イケメン!カッコいい!」
「すまない、春川ってまだいるか」
突然茶番に差し込まれた男子の声に、二人して振り向く。
困惑した顔で扉の前に突っ立っていたのは、さっきまで話題の中心だった豪炎寺修也その人だった。
「ごっ……!?え、んじくん……」
「あれ、部活は?」
「明日試合だから今日は早めに終わったんだ。春川がまだいるなら一緒に帰ろうかと思って……たんだが、終わりそうにないな」
「あー、うん。できてないっちゃできてないなぁ」
息抜きという名の恋愛相談という名のなおちんによる私への駄目出し大会が始まってしまい、今月末締め切りの絵は何一つ進んでいない。私の前の半分白いキャンバスを見て、修也は呆れ混じりに笑った。
「ごめん修也、先に帰っ」
「大丈夫大丈夫!まだ締め切り先だから!片付け私がやっとくし!春川は先帰んなよ!」
ね?と青筋を立てた笑顔でねじ込まれた肘が痛い。
わかってるよ、なおちん。二人で帰れって言いたいんでしょ?でもね、これそんな甘い雰囲気にはならないんだよ。何故か。なんでかは分からないけど。
「昇降口で待ってる」
「了解っす」
敬礼して修也の後ろ姿を見送った私に、色気なさすぎ、となおちんは酷い事を言う。中学生に色気だなんだ言うなよ、と唇を尖らせながら片付けようとパレットを手に取る。
「ちょ、いいよ私やるって。豪炎寺くん待ってるって言ってたじゃん」
「いやー、あれは自分のことは自分でやれ、それまで待ってるって意味だからさ」
自分の事はできる限り自分でやる。修也はそう言う考えの強い人で、しかも人に自分の考えを強要するきらいがある。幼馴染の自分はもっぱらそれの被害者で、自分でなんとかしろと放置を決め込まれた事は一度や二度ではない。
でも、本当に助けが必要な時はちゃんと助けてくれる。
そういうところがマッチポンプなのに無自覚にヒーローでこっちとしてはたまったものじゃないんだけど、本人はあれで本当に無自覚だからタチが悪いというか何というか。
まあ何にせよ自分のは自分のだし片してから帰るよ、と言えば、なおちんは首を九十度に傾けて唸った。
「いや分からんし」
「そお?」
「いや、あんたがなんでそれで自信がないのかが分からんわ」
「なんでだろうね」
まあ、ただ自分が臆病なだけだろうな。
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