「うーん、やっぱり居心地悪いなあ…」
配属されたばかりの鎮守府で、加古は毎日のようにため息ばかり。それというのも……。
「なんで古鷹はいないんだよー…」
だいすきな古鷹とも放され、しかも居心地のよくない鎮守府となれば、ため息しかでないだろう。
「古鷹ぁ…」
じゃっかん涙目になったところで、提督に呼ばれ、あわててふりかえる。
「どうした、加古」
「…古鷹がいない…」
「ああ、それはいずれな。今は加古がいるから、古鷹の手は必要ない。いずれ必要になったら、必ず呼んであげるから」
軽巡と駆逐艦しかいないこの艦隊で、戦艦のつぎに強いはずの重巡である加古は、非常に居心地が悪い。ひがんだりする艦娘はいないのだが、強くてうらやましい、などと毎日のように言われては。
「あたし、ここにいてもいいんかなあ…」
「…ん? ああ、駆逐艦や軽巡しかいなかった我が艦隊が、おまえのおかげで戦力強化につながっているからな」
「…だって…」
ふっと、笑う。
「…加古が重荷になるというなら、しばらく任務から外そう。つぎにまた重巡が仲間になったときに、いっしょに進撃してくれたらいいよ」
「それもいやだ!」
「…なら、がんばって戦力になってくれたまえよ?」
「う…うん…」
3食昼寝つきで、むちゃはさせないこの提督は、彼女にとってはいい上司なのである。
「提督は、あたしがいたほうがいい?」
「…あたりまえだろう。いらないなら、今ごろはとっくに切りすてている」
もっとも……とつけくわえると。
「かんじんなときにはずしたり、まちがえて味方艦を攻撃してしまうくせは、なんとかしてほしいが」
「…うう…」
それも、加古の魅力の1でもある。そう、苦笑いをかえされた。
「だからね、加古。こまかいことを気にしたり、他人と自分をくらべなくてもいいんだ。きみはきみだよ」
「…うん」
なんだ、ばれてたのか。そう気づいたら、なんだかすっとする。
ここには古鷹はいないけれど、自分を理解してくれる、すくなくともしようとしてくれている人がいるのだから。
それでもかなうことならば、いつの日にか、古鷹と2人で提督のとなりに立ちたいものだ。
だがそのためには、まずここでがんばらなければならないのだと、あらためて思う。
「いつか古鷹をむかえるためにも、がんばるよ」
「がんばりすぎないで、加古らしくやりなさい」
「…わかった」
名無の言葉を胸に、加古は今日も、演習へとむかうのだった……。
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うーん、加古ちゃんのキャラが今一行方不明なような…
お題配布元
言葉遊び。140325