「…河、氷河! ねえ、どうなってるの!?」
「…ん…ここは…?」
「どうやら、城戸邸にもどってきたようだな…」
見おぼえのある屋敷は、たしかに城戸邸である。
「なっ、
七子!?」
やけに重いと思ったら、自分のうえで気をうしなっていた
七子に、すくなからず動揺してしまう。
さっぱり状況がわからない、という顔のみなに、ざっと説明する。まあ、理解できたかはともかく。
説明をしているあいだに、
七子も目をさます。
「夢を、見ていたの…」
ぼんやりと、
七子が話しだす。彼女の父が実は鶴丸国永で、その霊力がつきたこと、あたらしい審神者がすでにきていたこと。
「鶴…は、さびしそうな顔をしてたけど、きっとあの人ならだいじょうぶ。あたらしい審神者とも、うまくやってくれる」
霊力がつきた自分には、もうあそこにいる資格などない。
「こんちゃんがね、言ってたの」
最後のおなさけとして、政府がこの世界に、彼女をやっかいばらいした。こんのすけは反対したが、どうにもならなかった、と。
「それで、いいのか…?
七子にとって、彼らは仲間だったんじゃないのか…? それに、彼らだって仲間だと思っていたはずだ」
「…政府には、だれもさからえないよ。それに、霊力もつきた今、私にはここから帰るすべもない」
あきらめだとか、なげやりにそう言うわけではないが、現実は受けいれるしかないのだから。
「それにね」
私は氷河が好になってしまった。だから、この世界のことを、もっと知りたい。あなたと、もっといっしょにいたい。そう思っていたのも、また事実だとつげると。
「…な、なにを…」
「めいわく?」
「いや、めいわくなどではないが…」
照れかくしにほおをかきながら、目線はすっかりおよいでしまっている。そんな氷河に、一輝はじと目をしているし、ほかの3人もあきれたように見る。
「氷河ってば、いつのまにそんなこと…」
「いや、その…なりゆきでそうなった…」
本丸のことは、あたらしい審神者にまかせて、私はここであたらしいスタートを切ろう。そう、自分にいい聞かせ。
(とりあえず当面の問題は、まず住むところと服だと思うのよね…)
氷河たちが本丸にきたときのことを思いだし、よくまあ彼らは、あんなにどうどうとしていられたものだとあらためて感心する。
「シベリアに、彼女が住む家がないか、さがなければいかんだろうなあ…」
「え、シベリア!?」
「ああ、オレはシベリアにに住んでいるんだ。さむいかもしれんが、ここには瞬しかいないからな。いや、瞬をうたがっているわけではないぞ?」
「氷河、それ、フォローになってないぞ」
「そうなのか? それはすまない」
自分をおいてきぼりで進んで行く話しに、
七子はただ、苦笑いを浮かべていた──。
Ende. 161006
氷河ルート完結…
お題配布元:
最高の相棒