よく朝。
「ほらほら、みなさん起きてください! 朝ごはんですよー!」
堀川国広といったか。見た目は少年だが、意外に強い力で、ふとんをひっぺがしにかかる。
「食いっぱぐれても、知りませんからねー? ここの人たち、食欲旺盛なんですよー?」
まだ寝ぼけている頭で、最初に覚醒したのは星矢であった。
「腹へった…」
ついで紫龍、氷河、瞬が覚醒したようだ。一輝は、すでに食堂にいた。なぜ起こしてくれなかったのかと、星矢がぶーたれている。
「兄さん、ついでに起こしてくださいよ…」
「よく寝てたからな」
「もう、兄さんってば…」
すでに出陣した部隊が3部隊ほどあるとかで、18人ほどいなくなった食堂は、昨夜よりだいぶしずまっていた。
「今日は、第1部隊は出陣はどうしようか?」
「今日は星矢さんたちの服とか入り用のものを買いだしに、私は堀川ちゃんとおでかけするから、第1部隊は待機しててください」
「うーん、堀川くんだけで、だいじょうぶかい? 荷物持ちがいるんじゃないかな?」
「燭台切さん、堀川ちゃん、これでもかなり力持ちですよ?」
「いや、うん、それは知ってるけどさ…」
燭台切の心配をさとれないほど、頭の悪い審神者ではない。ならば、これ以上は言ってもむだだろう。
「あ、でも、次郎さんが買いたいものがあるって言ってたから…いっしょに行ってもらいますね」
「うん、それがいいよ」
本人はそんなつもりはないのかもしれないが、ほっとした顔を見せる燭台切に、審神者が苦笑った。
「というわけなので、次郎さん、おねがいしますね」
「はいはい、次郎姐さんにまかせときなー!」
朝食をすませて、さっそく街へとむかう準備をすると、玄関へ。あらかじめ時間はつたえてあったからか、時間までにはみなそろって本丸をでる。
「よろず屋なら、たいがいのものはそろうかと。お金のほうは政府負担になりますから、気になさらないでください」
入り用のものは、自分たちでえらんできてもらうため、ひとまずいくらかの小判をわたす。まにあわなくなったら、また取りにきてくれ。自分はここにいるから、と、出入口付近のベンチをさす。
「あたしはちょっと用があるから、堀川、主をたのむねー」
「はい、まかせてください!」
次郎や星矢たちが行ってしまうと、堀川がぽそりと口をひらく。
「主さんは、なぜあの人たちを信用できると思ったんですか? 悪い人ではなさそうですけど、あの一輝って人は、主さんを信用していないみたいだし…」
「なんでかな。勘…だと思う。あの人たちの目は、とても澄んでいたから。本当に悪い人は、目にもあらわれると思うし」
「勘って…。まあ、主さんの勘は、よくあたりますけど…」
「うたがってばかりいたら、悲しいと思う。自分が信じると決めて信じたうえで、うらぎられるならそれはそれ。私は、信じることからはじめたいだけよ」
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お題配布元:
文章想像バトン