「お夕食は、うちの料理自慢たちが作りますので、できたらお呼びします。それまでは、自由になさっていてください。パソコンもゲームも、ひととおりそろえてありますので」
パソコンやら据え置きゲーム機、タブレット端末に携帯端末、携帯ゲーム機を見せる。エアコンは全室完備だというし、まさにいたれりつくせりだ。
「古風かと思いきや、なんとハイテクな…」
「政府に言えば、全部経費で落とせますからね。とりあえず男士がほしいと言ったものをそろえて行ったら、こうなりました。
厨…キッチンも、いろいろ導入してあります」
最近導入したIH調理器具やら圧力鍋や保温調理鍋は、はやくかつ効率よく調理ができると、おおむね好評価らしい。
「1つ、疑問があるんだけどさ、あの人たちって、神さまなんだろ? 人間のこととかって、わかってるのか?」
「錬度にもよりますね。錬度…レベルがあがればあがればほど、人間によりちかづいて行く…と言えば、わかってもらえるかと」
顕現……人間のすがたになってすぐのうちは、力加減をまちがえて物をこわしてしまったり、うまくハシが使えなかったりする。ちいさい子とおなじような状態で、言葉こそたいがいは理解できるものの、人のうつわにはなれるのはすぐに……というわけはいかない。と、審神者は言う。
「でも、うちにはそこまで錬度のひくい男士はいないので、特にこまることはないと思うのですが…」
「今の主のがんばりのおかげじゃき。この人は、こう見えて根性もあるし、がんばりやじゃからのう」
「
陸奥守さん」
特といって、より刀剣男士が強くなれるシステムがあるのだが、それがついていないのは、今は
蜻蛉切という槍1人しかいない。
「蜻蛉切の旦那も、もうちょっとで特つきじゃ。前の主はほんに、のんびり屋さんじゃったからのう」
「母はみなさんをだいじにするあまり、戦をいやがってましたからね。でもそれじゃ、この戦は終わりません。歴史修正主義者は、この瞬間もどんどん活動範囲を広げています。さっさとたおして、戦を終わらせてしまうほうが、戦が長引かないと思うので」
「その考えかたには、僕も賛成だよ。いつまでも終わりの見えないこの戦を長引かせるより、すこしでもさきに進む。前の主も、のんびりでも、さきに進もうとしていた。そういうところは、主はよく似ている」
陸奥守
吉行と、蜂須賀
虎徹ともに打刀であり、初期に選べる刀の1人だ。もっとも、この本丸の初期刀は
山姥切国広だが。
「そういえば、まんばくんは? 彼はこの本丸のかなめの1人であるのだから、紹介しておかないと…」
「さあ? 彼の考えることは、僕らにはよくわからなくてね。見かけたら、主のところに行くように言っておくよ」
「…そう。ありがとう、よろしくおねがいします」
あてがわれた部屋に、自分たちだけになったとたん、氷河がやっと口をひらく。
「星矢、どう思う、この状況」
「どう思うって言われてもなあ…。帰りかたがわからないんじゃあ、どうにもなんねーだろ」
「紫龍は、どう見ているんだ?」
「うむ、俺も星矢に賛成だ。この世界の政府が、どれだけ信用できるかはわからんが、今はそれにすがるしかないようだ」
→
お題配布元:
光と闇