「リョウ…」
2日も帰ってこないリョウに、また危険な依頼があったんだろうな、なんて考える。1度本気で怒ってからはなくなったのだけれど、たまに言わずにでかけてしまう。
リョウは優しい。優しいからこそ、私を巻きこむまいとしてくれることも多い。でもそれは、私には結構精神的な負担になる。それは、彼も知っているはずなのに。
「ただーいまー。リョウちゃん、すっかり酔っちゃったのら~」
「リョウ! どこ行ってたのよ!」
「はら~、
七子ちゃん怒らせちゃったのー、ボキ」
「ふざけてないで、きちんと説明してよね」
おちゃらけたふりをしているだけで、酔ってないなんて、承知なんだから。と思いながら、そっとコートをつかむ。
「あ…硝煙の臭い」
かすかだけど、アルコールにまじって硝煙の臭いがする。ほぼ毎日射撃練習をしていたし、鼻は利くんだ、これでも。
「…また黙って依頼受けてたの…」
「…今回は、な。ちょっとまずい依頼だった。あんまり汚い世界を、お前には見せたくない…」
「汚くなんかない。リョウがそこにいるだけで、私にはその世界がすべてなんだから…!」
うつむく私に、優しく抱きしめてくれるリョウ。
「俺が、嫌なんだよ。お前にはこのまま、きれいなままでいてほしい。…なんて、ただのわがままなんだけどな」
「きれいなままでなければ、私はここにいたらいけないの? 私…リョウの相棒じゃないの…?」
「そうじゃない。…おまえが笑顔でむかえてくれる場所があるから、俺は帰らなきゃと思えるんだ。だから…」
言いたいことはわかる。でも、手だすけすらさせてくれないなんて、あんまりよ……。
「あなたのいない世界なら、いっそ死んだほうがいい。…だからもう、だまっていなくならないで…!」
「…わーった。わーったから…そんな顔すんな」
そっと抱きしめてくれた腕はあたたくて、あなたが生きてここにいることのよろこびに、涙が1すじながれた──。
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なんだかなー…
中々書けないで放置しているうちに、書き方が行方不明になりましたorz
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お題130531