星野に好きな人がいるなんて、知ってたけど。それでも私は、星野が好き。報われないってわかってるから、本人には言わないけどね。
「星野ー、大気さんは?」
「いないのか?」
「うん。夜天くんもいなくて、こまってたとこ」
「しゃーねーな、あいつら…。うし、一緒に探してやるよ!」
「え、あ、ありがとう!」
いちいちやさしい星野に、時には胸がしめつけられる。だけど、やっぱり好きなんだ。
「
名無はほんと、大気が好きなんだな」
「…は? いやいや、私別に大気さんのファンじゃないですよ?」
「かくさなくってもいいだろ?」
「えー、私むしろ星野のファンなんだけどなー」
「まじ? うれしい。ありがとう」
星野の言ううれしいっていうのがそういう意味じゃないってわかってはいるんだけど、どきっとしてしまう。
「まあでも、スリーライツのファンだからね、うん」
「ははっ」
苦笑いでごまかせば、星野も苦笑いを返してくる。
「最初は外見だけだったけどね、こうやって実際に話してみると、やっぱちがうなーって思う」
「…イメージこわれた?」
「逆だよー。逆に、よけい好きになった」
アイドルってきっといろいろあって。私はただのファンの1人にすぎなくて。それでもこうやってお話させてもらっていて、それはすごくしあわせなことで。
「知ってみたら、逆に魅力がわかったって言ったらいいのかな。…なに言ってるんだろうね、私」
「いや…ありがとう。すげーうれしいよ」
「…ふふ…」
あー、恥ずかしい。なに告白みたいなこと言ってるんだか……。
「おまえってほんと、不思議なやつだな」
「…そ?」
「いい意味でさ、変わってる」
「そうなんだ」
「ああ」
そりゃまあ、自分が普通だとは思ってなかったけどさ……。
「そう言われちゃうと、なんだか複雑だわ」
「俺は、好きだぜ」
「…へ」
「おまえのそういうとこ、好きだぜ」
……星野の言う好きは、私の思うそれとはちがう。わかっちゃいるけど、ドキドキがとまらない。
「なあ…なに赤くなってんの?」
「…なってないわよ…」
なんで私も、こんなにぶいやつ好きになっちゃったのかな……。
「星野のばか」
「うわ、ひでえ」
だけど結局はほれた弱味で、なんでも許してしまう自分に、思わず苦笑いをした――。
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片想いだからこそ、大切にしたい気持ち、みたいなね(´∀`)
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お題2111204