「ごめん、今日も一緒に帰れないんだ」
恋人でもある
名無七子は、ここ連日、ずっとこんな様子である。
「どうして? オレ、なにか気にさわることでもした?」
「そうじゃないんだけど、ちょっと用事があるだけ」
しかし、こうも毎日となれば……不安にもなるというもの。
「…そう。じゃあ、また明日」
そこはおとなな南野秀一こと蔵馬。おとなしく引き下がる……かに見えたが。
気配を殺し、
七子を追いかける。と、見覚えのある顔と待ち合わせをしていたらしかった。
(幽助…と、桑原くん?)
七子にかぎって、浮気とも考えづらいが。
(まさか、な…)
だが、かくしごとをしているのは、あきらかで。かといって、話したくないものを無理に聴きだすわけにもいかないし。
(だめだな…。どうしてもこういうときは、臆病になってしまう)
そんなことを考えながら、家路についた──。
翌日。
「ねえ、今日ひま?」
「…はい?」
突然
七子に声をかけられ、一瞬反応がおくれる。
「あとさ、蔵馬の力で、ちょっと桜咲かせてもらいたいんだよね。見たくてさ」
「…めずらしいね、
七子がわがまま言うなんて」
「たまにはいいでしょ?」
「…いいですよ?」
七子に案内され、案内された場所にあった、おおきな桜に花を咲かせた。
「あとは、幽助たちが到着すれば…」
「…どうして? …幽助たちがこないと、だめなんですか?」
「うん。だめなの」
「もうきてるぜ?」
と、桜の木の反対がわに、幽助と桑原、ぼたんや螢子に雪菜までいる。なぜか、花見状態だ。
「じゃ、打ち合わせどおり…せーので、いくよ? せーの…」
七子の言葉に、少し首をかしげていると。
「ハッピーバースデー、蔵馬!!」
一瞬おどろき、ああ、という顔をする蔵馬。
「やっぱり、忘れてたよこの顔は」
「
七子ちゃんがおぼえてなかったら、そのままになってたんじゃねーか?」
「あのね、オレ受験生ですよ? いちいち誕生日なんか覚えてられません」
「蔵馬のは、たんに無関心なだけでしょ? ほら、主役なんだから、早くすわったすわった!」
苦笑いをかえしながらも、言われた場所にすわる。
「でも、みんな…ありがとう」
「本当は、飛影にも声かけたんだけどねー…。くだらんって、逃げられちまったのさね」
「そのほうが、彼らしいですよ」
そんな会話を見やりながら、
七子はしゅうし笑顔を見せていた──。
──夜になったら、2人きりでいわってくれるんですよね?(黒笑)
──無理!
──ことわるんだ?(黒笑)
──わ、わかったわよ…。
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実際はオフィシャルで誕生日がないので、ネットの不確かな情報により、3月3日を誕生日に制定されたうちの蔵馬さんでしたw
090302
お題配布元
お題3