「ねー、さんぞー。三蔵にとって、私ってなに?」
「…あ?」
突然なにを訊くかと思えば、また意味のわかんねぇ質問をしてきた、のうてんきなやつは
七子だ。
「くだらねぇ質問をするんじゃねーよ」
「くだらなくないよ!」
「…くだらねぇ」
新聞から目をはなさないでいると、急に影がせまる。
「…暗い」
と、新聞をとりあげ、にらみつける
七子がいた。
「…おい」
「応えてくれるまで、かえさないんだからね!」
「…めんどくせぇ…」
「…それ、私のこと?」
他に誰がいるんだ。
「これだから女は嫌いなんだよ。…もういい」
「ちょっと、三蔵っ」
さっさと背中を向けて、外にでた──。
「三蔵のバカ…」
私は八戒じゃない。目を見ただけで三蔵の考えてることなんてわかるわけがないし、三蔵は美人だから、不安にだってなる。私は三蔵と釣りあうような美人ではないし、むしろ、ならんで立ったらただの引き立て役だし。浮気は心配してないけど、本当にとなりにいていいのかな? 第一、本当に私、三蔵に愛されてるのかな? ……なんて、毎日不安はつきないのに。
「…三蔵のバカ…」
「誰が、バカだと?」
「うひゃっ!?」
突然冷たい物を首にあてられて、おどろく。
「ちょ、何…?」
「くだらねーことをウダウダ考えてねぇで、これ飲んで、さっさと寝ろ」
私が好きなめいがらの、チューハイだ。ビールが飲めないから、みんなで飲むときは、八戒がビールのかわりに買ってきてくれるやつ。
「言っておくが、俺は嫌いなやつを近くに置いておくほど、お人好しじゃねえ」
「…うん。でも…でもさ、私、三蔵のそばにいて…」
「…やっぱりくだらねえな」
「なっ、こっちは真剣になやんで…」
「なやむようなことじゃねえ。俺は嫌いなやつや役に立たんやつなら切り捨てる。それだけだろ」
でもね、三蔵。やっぱり言葉にしてくんないと、わかんないよ……。
「…ん、そだね…。もう、言わない…ごめん…」
「おい」
「おやすみ」
灯りを消して、自分のベッドにもぐりこむ。
「勝手に悩んで、勝手に結論だしてんな、バカ女が」
三蔵に背中を向けてむししていたら、ベッドに重さがくわわって、次の瞬間……上を向かされた。目の前には、三蔵がいる。
「1度しか言わねぇぞ?」
耳許に顔をよせて、"お前だからそばに置いておくんだよ"とささやかれた。
「三蔵…」
「…さそってんじゃねぇよ」
「…悟浄みたいなこと言わないでよ…」
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言葉に出さないでも理解しろ、な三蔵様。乙女心とは無縁w
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お題3100803