「シーエールー!」
「わっ!」
「リジー、シエルがこまってるでしょ?」
今日は4月1日。シエルをおどろかせるんだとはりきるリジーに、エイプリルフールってウソをつく日じゃないかと訊いたら、シエルはウソがきらいだからいやなんだと言っていた。
「あのね、今日はエイプリルフールでしょ!? シエルをびっくりさせたくて、いろいろ用意してきたんだよー!」
「…ぼくはウソはだいきらいだ」
「だからね、
七子おねえさまにも協力してもらって、シエルをびっくりさせちゃういたずらを用意してきたのよー!」
「いたずらって、それじゃあまるでハロウィ…」
「ほら、はやくきて!」
あーあ、シエルがこまってるよ……。
「セバスチャンさん、とめなくていいんですか?」
「ええ。ぼっちゃんは意外と、エリザベスさまが遊んでくださることを、たのしんでいらっしゃいます。それよりおじょうさま、なんどももうしますが、『セバスチャン』とお呼びください。あなたは、私より立場が上なのですから」
「ついくせで…。あ、そうだ。セバスチャンさ…セバスチャンは、シエルにウソをついたりはしないの?」
「しませんよ。ぼっちゃんとの契約をするさいに、ウソはつくな、とのおおせでしたし」
シエル、ほんとにウソがきらいなんだ。
「そうですねえ…。ぼっちゃんにはウソをつきませんが、あなたになら、ついてもかまいませんか」
「…へ?」
「私はね、
七子さま」
ふと、セバスチャンが私の耳許でささやく。
──本当は、悪魔なんですよ。
「…えっ?」
「どうされました? すべてはエイプリルフールのなせるウソいつわり。真実など、どこにあるのかわからない。それが、人間ではありませんか?」
「…でもたしか、セバスチャンはウソをつかないって…」
「さあ、どうでしょう。そんな非科学的なこと、あるわけがないと思いますけどね」
セバスチャンの笑顔があんまりにも真実味がありすぎて、ウソなのか真実なのかは、結局わからなかった……。
──私は、ウソはつきません。人間のようにね。
Ende. 150402
今更のエイプリルフールネタ(^q^)
だって、降ってきたから…!←
お題配布元:
嘘だよ。