成り代わりの高杉妻は来世で好き勝手する事にした
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Q.貴女のお名前は?
「渡辺恵美と申します」
「君は高杉の家に嫁いだのだから高杉姓だろ」
「元旦那様はお忘れかもしれませんが私は既に生まれ変わった身。高杉のお家とはもう縁もゆかりもない身なのですよ」
Q.このカルデアにどの様な経緯で来たのですか?
「元同僚のロマニ・アーキマン氏の紹介です。私自身、新しい職を探している所でしたのでお話しを受ける事にしました」
Q.前世の記憶があるという事ですが、その事を我々以外に話した事はありますか?
「他人はもちろん、家族にも話した事はありません。内容が内容だけに前世の事はこのまま墓迄持っていくつもりでした」
(それからしばらく恵美自身に関わる質問が続いた)
Q.好きな男性のタイプは?
「は?は??・・・すみません。急に質問の趣向が変わったものですから思わず。ああ、成る程、元旦那様の希望でしたか。
タイプの男性は兄の様な人です」
兄弟はいないと先程、伺いましたが
「紛らわしくてごめんなさい。正しくは前世の兄ですね。冷やかしたり時たま意地の悪い事を言う人ではありましたが昔から変わらない態度で接してくれたの兄だけだったものだからその影響で」
最後の質問です。
Q.高杉晋作についてはどう思われておりますか?
「前世の夫、今は赤の他人ですね」
・・・質問は以上です。お疲れ様でした。
「藤丸君もお疲れ様です」
こうして藤丸立香と恵美とで行われた名ばかりの尋問は終わった。
何故、こんな事を行ったかと言うと恵美が前世の記憶を持っていたという事が発覚したからである。
平時で有れば前世の記憶があろうとなかろうと然程気にする者はいないのだが今は人類焼却という戦いの真っ只中。
他の職員達の心の平穏の為にも少しでも疑わしき事は明らかにする必要があった。
「社長、生きてますか?」
立香は血溜まりに倒れる男、高杉晋作に声を掛ける。
が、返事がない。
ただの屍のようだ。
本来、この尋問は藤丸ではなくそれこそそういった事に慣れたサーヴァントが受け持つ筈であった。
のだが、この床に倒れたまま微動だにしない高杉が意を唱えた。
「僕の妻が他所の男と二人っきりになるなんて僕は決して許さないぞ!」
そう彼が訴えるので、ならば女性サーヴァントにお願いしようとダヴィンチが言ったら
「羨ましい!僕だって召喚されてから未だ妻と二人っきりになった事がないのに!!」
そう言って床に転がり、幼児の如く駄々を捏ねた。
そうして幾ら案を出しても高杉が嫌がり駄々を捏ねるので尋問は藤丸と監視役として高杉が行う事となったのだ。
しかしその高杉は一つ目の質問から余計な口出しをした結果、自身の吐いた血に沈む事となる。
「どうしてだ雅子。どうしてあんなにも冷たいんだ」
「うーん、確かに恵美さんって社長にだけは妙によそよそしいですよね」
今世において恵美との付き合い長さでいえば先日召喚された高杉よりも藤丸の方が長い。
そんな藤丸の知る恵美は誰にでも親切で丁寧な女性である。
お陰でカルデア内での人間関係はもちろん、サーヴァント達との仲も良好だ。
好かれ過ぎてどこぞのケルトの勇士や円卓の一部騎士、元羊飼いの王様からのアピールが凄まじく悩みの種にもなっている為一概に好かれ過ぎるのも良いともいえないが兎に角、恵美の高杉に対する態度は藤丸にとって珍しいものであった。
「社長、生前に恵美さんから嫌われる様な事をしたんじゃないんですか?」
「まさか!確かに僕は雅子に内緒で妾を側に置いていたがその件についてはちゃんと謝ったし、雅子は僕の死ぬ間際、看病だってしてくれたんだぞ」
嫌いな男の最後を看取る奴なんかいない、だから嫌われていない!と胸を張り、主張する高杉。
「妾?」
しかし藤丸はそんな高杉の主張を聞いていない。
藤丸は徐にタブレット端末を取り出すと検索を始めた。
検索ワードは【高杉晋作 妾】
そうして出てきた内容を一通り読むと、藤丸は深々とした溜息を零した。
「絶対、これが原因じゃないですか!!!!」
藤丸は高杉が恵美と顔合わせをしてからずっと彼女の後を追いかけているのを見て、てっきり高杉の事を一途な愛妻家なのだと思っていた。
しかし高杉の口から出てきた妾という言葉。
調べて見れば出てくる高杉夫婦の実情と妾の存在。
「7年夫婦してて実際に生活していたのは1年半ってどういう事なんです!?」
「しょうがないだろ!その頃は倒幕に忙しくて落ち着いて家にもいられなかったんだ」
「おうのさんとはずっと一緒にいたのに?」
藤丸の口から出た妾の名に高杉は一瞬、言葉を詰まらせた。
そして視線を落とし、小さな声で高杉は答える。
「雅子には僕の妻として子を育て、高杉の家を守ってもらう必要があったんだ」
「ですが、その役目も終わった今、私が貴方の妻でいる必要はないですよね?」
藤丸ではないその声に高杉は俯いていた顔を上げた。
部屋の入り口にはタオルにバケツ、それから雑巾を持った恵美が立っている。
「そんな事はない!君は僕の妻で、」
「雅子は死にました」
震える声で否定する高杉にはっきりと恵美は告げた。
「ここにいるのは雅子だった時の記憶が少しあるだけの別人。貴方とは関係のない他人です」
「君は僕の事を嫌いになってしまったのか?」
高杉の前まで歩いて来た恵美はバケツと雑巾を床へ、タオルを藤丸に預けると未だ床に横たわったままであった高杉の身体を起こした。
そして高杉の口元を濡らしていた血を自前のハンカチで拭うと、恵美は高杉へと笑顔を向ける。
世話を焼かれ、向けられた笑顔に心を明るくする高杉。
「私、今世では自分の為に生きる事にしましたの」
恵美は笑顔のままに告げる。
「だから貴方の妻に戻るつもりはありません。
ごめんなさいね」
「渡辺恵美と申します」
「君は高杉の家に嫁いだのだから高杉姓だろ」
「元旦那様はお忘れかもしれませんが私は既に生まれ変わった身。高杉のお家とはもう縁もゆかりもない身なのですよ」
Q.このカルデアにどの様な経緯で来たのですか?
「元同僚のロマニ・アーキマン氏の紹介です。私自身、新しい職を探している所でしたのでお話しを受ける事にしました」
Q.前世の記憶があるという事ですが、その事を我々以外に話した事はありますか?
「他人はもちろん、家族にも話した事はありません。内容が内容だけに前世の事はこのまま墓迄持っていくつもりでした」
(それからしばらく恵美自身に関わる質問が続いた)
Q.好きな男性のタイプは?
「は?は??・・・すみません。急に質問の趣向が変わったものですから思わず。ああ、成る程、元旦那様の希望でしたか。
タイプの男性は兄の様な人です」
兄弟はいないと先程、伺いましたが
「紛らわしくてごめんなさい。正しくは前世の兄ですね。冷やかしたり時たま意地の悪い事を言う人ではありましたが昔から変わらない態度で接してくれたの兄だけだったものだからその影響で」
最後の質問です。
Q.高杉晋作についてはどう思われておりますか?
「前世の夫、今は赤の他人ですね」
・・・質問は以上です。お疲れ様でした。
「藤丸君もお疲れ様です」
こうして藤丸立香と恵美とで行われた名ばかりの尋問は終わった。
何故、こんな事を行ったかと言うと恵美が前世の記憶を持っていたという事が発覚したからである。
平時で有れば前世の記憶があろうとなかろうと然程気にする者はいないのだが今は人類焼却という戦いの真っ只中。
他の職員達の心の平穏の為にも少しでも疑わしき事は明らかにする必要があった。
「社長、生きてますか?」
立香は血溜まりに倒れる男、高杉晋作に声を掛ける。
が、返事がない。
ただの屍のようだ。
本来、この尋問は藤丸ではなくそれこそそういった事に慣れたサーヴァントが受け持つ筈であった。
のだが、この床に倒れたまま微動だにしない高杉が意を唱えた。
「僕の妻が他所の男と二人っきりになるなんて僕は決して許さないぞ!」
そう彼が訴えるので、ならば女性サーヴァントにお願いしようとダヴィンチが言ったら
「羨ましい!僕だって召喚されてから未だ妻と二人っきりになった事がないのに!!」
そう言って床に転がり、幼児の如く駄々を捏ねた。
そうして幾ら案を出しても高杉が嫌がり駄々を捏ねるので尋問は藤丸と監視役として高杉が行う事となったのだ。
しかしその高杉は一つ目の質問から余計な口出しをした結果、自身の吐いた血に沈む事となる。
「どうしてだ雅子。どうしてあんなにも冷たいんだ」
「うーん、確かに恵美さんって社長にだけは妙によそよそしいですよね」
今世において恵美との付き合い長さでいえば先日召喚された高杉よりも藤丸の方が長い。
そんな藤丸の知る恵美は誰にでも親切で丁寧な女性である。
お陰でカルデア内での人間関係はもちろん、サーヴァント達との仲も良好だ。
好かれ過ぎてどこぞのケルトの勇士や円卓の一部騎士、元羊飼いの王様からのアピールが凄まじく悩みの種にもなっている為一概に好かれ過ぎるのも良いともいえないが兎に角、恵美の高杉に対する態度は藤丸にとって珍しいものであった。
「社長、生前に恵美さんから嫌われる様な事をしたんじゃないんですか?」
「まさか!確かに僕は雅子に内緒で妾を側に置いていたがその件についてはちゃんと謝ったし、雅子は僕の死ぬ間際、看病だってしてくれたんだぞ」
嫌いな男の最後を看取る奴なんかいない、だから嫌われていない!と胸を張り、主張する高杉。
「妾?」
しかし藤丸はそんな高杉の主張を聞いていない。
藤丸は徐にタブレット端末を取り出すと検索を始めた。
検索ワードは【高杉晋作 妾】
そうして出てきた内容を一通り読むと、藤丸は深々とした溜息を零した。
「絶対、これが原因じゃないですか!!!!」
藤丸は高杉が恵美と顔合わせをしてからずっと彼女の後を追いかけているのを見て、てっきり高杉の事を一途な愛妻家なのだと思っていた。
しかし高杉の口から出てきた妾という言葉。
調べて見れば出てくる高杉夫婦の実情と妾の存在。
「7年夫婦してて実際に生活していたのは1年半ってどういう事なんです!?」
「しょうがないだろ!その頃は倒幕に忙しくて落ち着いて家にもいられなかったんだ」
「おうのさんとはずっと一緒にいたのに?」
藤丸の口から出た妾の名に高杉は一瞬、言葉を詰まらせた。
そして視線を落とし、小さな声で高杉は答える。
「雅子には僕の妻として子を育て、高杉の家を守ってもらう必要があったんだ」
「ですが、その役目も終わった今、私が貴方の妻でいる必要はないですよね?」
藤丸ではないその声に高杉は俯いていた顔を上げた。
部屋の入り口にはタオルにバケツ、それから雑巾を持った恵美が立っている。
「そんな事はない!君は僕の妻で、」
「雅子は死にました」
震える声で否定する高杉にはっきりと恵美は告げた。
「ここにいるのは雅子だった時の記憶が少しあるだけの別人。貴方とは関係のない他人です」
「君は僕の事を嫌いになってしまったのか?」
高杉の前まで歩いて来た恵美はバケツと雑巾を床へ、タオルを藤丸に預けると未だ床に横たわったままであった高杉の身体を起こした。
そして高杉の口元を濡らしていた血を自前のハンカチで拭うと、恵美は高杉へと笑顔を向ける。
世話を焼かれ、向けられた笑顔に心を明るくする高杉。
「私、今世では自分の為に生きる事にしましたの」
恵美は笑顔のままに告げる。
「だから貴方の妻に戻るつもりはありません。
ごめんなさいね」