虎娘が召喚されまして
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
孔明は不機嫌であった。
昨晩は時間が時間にも関わらずマスターである藤丸とマシュに起こされて覚えもない娘を紹介された。
孔明は目の前の少女を覚えが無いと知らないと訴えるのだが結局藤丸は孔明の記憶違いで済ましてしまった。
それどころか頑なに認めない孔明に対し眉を下げた少女に「きっと今は忘れてるだけだから」等と孔明の前で慰めるので、睡眠を邪魔されて苛ついていた孔明は藤丸と少女を無理矢理部屋から追い出した。
追い出された藤丸をマシュが慌てて追いかけ、部屋から出るのを確認して孔明は扉を閉める操作をする。
ついでに朝迄開けられないよう魔術の一つでもかけておこうと考えていた時少女の鮮やかな緑の瞳と目が合った。
少女は孔明を見て何処か安心した様な安堵した様な表情をする。
それは間も無く完全に閉じられる扉で見えなくなったのだが静かになった部屋に一人の孔明には疑問が残った。
孔明の娘と言う少女は一体何者なのか?
藤丸には少女の風貌も含めて彼女が自分の娘では無いと説明をしたが頭の端では本当にそうなのかという疑問が燻っていた。
孔明は無意識に充電中であったタブレット端末を手に取ると諸葛孔明について調べだした。
結局、朝食の時間迄調べた孔明であるが知っている知識以上の収穫は無く今も疑問は彼の中で燻り煙を上げ、未消化の疑問は寝不足と合わさって孔明を朝から不機嫌にさせている。
「孔明!見て見て!」
じゃじゃーんと昨晩と変わらぬテンションの藤丸を孔明は薄目で見た。
大袈裟に両手を広げて示したのは昨日の少女で、その格好は昨晩のシンプルな服装から少し華奢なものに変わっていた。
どうやら藤丸は早朝から少女の再臨の繰り返したらしい。
朝からご苦労な事だと思うがそれ以上の感想が出て来ない。
と言うか二人を見て睡眠を邪魔された上に昨晩のやりとりも思い出し、じわじわと苛つきは込み上げてくる。
「ふーん早速レベルを上げてもらえて良かったじゃないか。それで、僕に態々再臨した姿を見せに来た訳?」
「それもあるけど今日のクエストの編成の変更を連絡に」
不機嫌なのが作用して孔明の口から出た言葉は愛想の良いとは言いがたいものだったが藤丸は勿論、少女も気にした様子はない。
藤丸は言葉を続け、日課のクエスト編成を変えて少女を連れて行く事を話した。
「桃乃ちゃんは初めてのクエストだから孔明もサポートしてあげてね」
よろしくとお願いする藤丸に孔明は盛大に顔を顰めた。
何故、僕がと言う孔明に藤丸は不思議な顔をして「だって二人は親子なんでしょう?」と言うので思わず声を荒げて否定する。
その声が思った以上に大きかったのか騒がしかった食堂は水をうった様に静まりかえった。
朝食を楽しんでいたサーヴァントも職員達も何事かと孔明達の方を注目する。
そこへトレーを抱えたマシュが慌てて駆けて来た。
後ろには藤丸と少女の分であろう二人分のトレーを抱えたエミヤが騒ぎに表情を厳しくさせて歩いて来る。
「何があったんですか先輩」
「食堂での多少のお喋りは良いがあまり騒ぎ立てないでくれるかね」
それで、と騒ぎの発端を話す様促すエミヤに藤丸は困った様に苦笑いを浮かべて頬を掻いた。
視線の先には少女と顔を俯かせた孔明がいる。
見知らぬ少女に気づいたエミヤが藤丸に尋ねると藤丸は少女の肩を掴んで紹介した。
「昨日の晩に新しく来てくれたバーサーカーの桃乃ちゃん。
桃乃ちゃん、こっちはアーチャークラスで」
「エミヤだ。よろしく」
バーサーカークラスと聞いて一瞬、ほんの一瞬だけ遠い目をしたエミヤであるがすぐに表情を改めて手を出した。
握手を求める手に桃乃は握り返して「よろしくお願いします」と言葉を交わす。
その間に残っていた朝食をかき込んだ孔明は食べ終わったトレーを掴むと立ち上がりすたすたと歩き出す。
そんな孔明に藤丸は慌てて声をかけるのだか荒っぽい声で「分かってる」と返すだけで振り向きもしない。
そのままトレーを返却して食堂を出て行った孔明に訳が分からないマシュとエミヤは再度藤丸を見て説明を求めるのだか藤丸は曖昧な回答をするばかりで、結局二人は訳が分からず終いであった。