虎娘が召喚されまして
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召喚サークルの異常から始まった緊張感は現れた少女の暢気な言葉に霧散した。
ダヴィンチに一時避難を命じられたスタッフ達は戻って来ると召喚サークルの点検に、ダヴィンチや藤丸達は突然現れた少女に話を聞こうと一同連れ立って食堂へと移動する。
「ふむふむ、名前は桃乃ちゃんね」
机を挟んで先程召喚サークルから出て来た少女、桃乃の向かいに座ったダヴィンチは手に持つタブレットの情報を眺める。
【クラス】バーサーカー
【保有スキル】スキル1 怪力EX
自身の攻撃力をアップ(3ターン)
【クラススキル】
・スキル1 狂化EX
自身のバスターカードの性能をアップ
・スキル2 陣地作成D
自身のアーツカードの性能をアップ
・スキル3 道具作成E
自身の弱体性付与成功率をアップ
・スキル4 騎乗E
自身のクイックカードの性能をアップ
【宝具】未だ叶わぬ夢想
ランク:B バスター/対軍宝具
敵全体に対して防御力無視の超強力な攻撃
【コマンドカード】
バスター×3/アーツ×1/クイック×1
【パラメーター】
筋力:EX
耐久:C
敏捷:A
魔力:A
幸運:D
宝具:B
「うん、見事な迄のバスターゴリラだね!」
「ダヴィンチちゃん!」
タブレットに出された桃乃の情報から何の取り繕いも無く初対面の桃乃に対して「ゴリラ」と形容したダヴィンチをマシュはすかさず咎める。
しかしダヴィンチが持つタブレットを横から覗き混んだ藤丸がこれまた素直に「これは確かにまごう事無きバスターゴリラ」と呟くのでマシュは慌てふためき、ちらりと向かいの桃乃を見た。
怒りまで行かなくても不快感を示しているのではとマシュが気にした桃乃は何でもない様にしており、それどころか笑みを漏らしている。
「怒らないんすか?おたく今、初対面でゴリラって形容されたんですよ」
「私、虎みたいだって言われた事はあってもゴリラなんて言われた事は無いから新鮮で」
目の前の桃乃がのんびりした発言に彼女がバーサーカークラスのサーヴァントである事を忘れかける藤丸。
そんな藤丸に気付いてか、藤丸の後ろで見張りをしていたロビンは藤丸の肩を叩くとタブレットの一文を指差す。
クラススキル、狂化の側にあるEXの字に藤丸は思わず変な声が出た。
クラススキルと冠する通りバーサーカークラスのサーヴァントならば皆が持つスキルであるが藤丸の驚いたのはそのランクである。
同じバーサーカークラスのサーヴァントでも茶々はE+、フランでD、ヘラクレスでもB。
そのスキルがEXと言うのは目の前の少女の狂化具合が某ギリシャの英雄絶対殺すウーマンや某ストーカー竜娘と同等と言う事である。
つまりこの今迄穏やかに話す桃乃も禁句により変貌するタイプかまともに見えて実は結構バグっているタイプなのか藤丸は考えた。
タイプにより接し方に気をつけ無いと痛い目に見るのがバーサーカーである事を藤丸はこのマスター生活で学んでいる。
彼が最近やらかした事と言えば召喚に応じてくれたペンテシレイアにうっかり同じギリシャだからとアキレウスを紹介してしまった事である。
アガルタは既に攻略済であった藤丸であるが召喚に応じたのはアガルタにいた女王とは別人だろうと言う考えと召喚から暫く話した彼女の印象が落ち着いた知的な女性であった事。
因縁はあるものの彼女の最後の事はアキレウス本人も気にしていたのでカルデアで過ごす短い間だけでも仲良く迄はいかなくとも多少の会話が出来る仲になればと少しのお節介がカルデアを半壊に迄追い込んだ。
すぐに優秀なカルデアスタッフとキャスターを中心としたサーヴァント達でカルデアの修復が行われたが藤丸はこっ酷くダヴィンチからもサーヴァント達からもお叱りを受けた。
カルデアが半壊した事は置いておいて藤丸自身に何かあったらどうするのか。
実際、ペンテシレイアが暴走した時はアキレウスがその身でペンテシレイアの攻撃を受けてくれたのとアキレウスと一緒にいたケイローンの健脚のおかげでその場から早々に退避出来たから良かったがもし、アキレウスもケイローンも誰もいない廊下でペンテシレイアに禁句を放っていたならば藤丸は彼女の暴走に巻き込まれていて死んでいたかもしれない。
其れ程ペンテシレイアとアキレウスの死闘の末に粉々となった場所は酷い有様であった。
その時の事を思い出して思わず身震いした藤丸にマシュが食堂に来て始めに用意した紅茶を全て飲み終えた桃乃は孔明は何処かと尋ねる。
召喚サークルから現れた際にも孔明の姿を探す素ぶりを見せており、彼女が孔明の関係者なのか因縁でも持つ相手なのかいまいち分からず藤丸は二人の関係性に頭をぐるぐると巡らせる。
サーヴァントと付き合う以上、彼等に対する最低限の知識は大切だろうと日々歴史、伝説、伝記とご本人もしくは当事者という豪華な講師を招いて勉強している藤丸は三国志を正史も演義も一応読破してはいるが何せ三国の起こりから滅亡迄を物語としている為登場人物が多い。
カルデアにいる呂布と孔明の関係者位は何とか頭に入れているがその何れにも該当者はいなかった。
藤丸は素直に孔明の部屋を教えるべきか悩む。
しかしもし桃乃がペンテシレイアと同タイプだった場合はカルデアは勿論であるが孔明自身の身も危ぶまれる。
藤丸の悩みの訳を重々理解していたダヴィンチは思い切って桃乃に尋ねた。
「君は先程から随分諸葛孔明を気にしているが彼と君はどういう関係なんだい?」
合わせてカルデアの安全上桃乃と孔明が恨み恨まれの関係ならば合わせる事は出来ないと説明した。
もし桃乃が孔明を恨む関係で、何としても会って孔明を殺すと言うならば強制的にカルデアから退去してもらうと迄説明する。
ダヴィンチの強気の発言に藤丸もマシュも驚いていたがダヴィンチは未だ目の前の少女を訝しんでいた。
召喚に応じるサーヴァント達は一癖、二癖、何なら十癖位あるような者達であるが善性を持つ者も悪性を持つ者も皆、気まぐれでも人理を守ろうという気概を感じる事が出来たがこの桃乃にはそれを感じる事が出来ない。
それどころか人理等どうでもいいと言う風に感じているようにダヴィンチは思っていた。
それに何故無人の召喚室で聖晶石も呼符も触媒も無く召喚出来たのか原因は未だ不明。
ダヴィンチとしてはこの人当たりの良さそうな少女が実は敵では無いのか疑念を抱いていた。
「関係、私と孔明様の関係?」
ダヴィンチの問いに桃乃は自身の頬に手を当てて悩んで見せる。
余程複雑なのか言葉を探す桃乃は暫くあーでもないこうでもないと考えて見せた。
けれどそれは数分と掛からない物で、自身の中で纏めて答えたのは至ってシンプルな回答だった。
「かつての娘とその父親かな」