虎娘が召喚されまして
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草木眠る何たらと言った頃である。
マスターは勿論、彼をサポートするスタッフも殆どが眠りに着いている時間帯。
睡眠を通常は必要としないサーヴァント達もマスターに倣い今は各々の部屋で眠りに着いており、こんな夜中に起きていると言えば一部の作家サーヴァントと研究と当直で見回りをするスタッフ位である。
そのスタッフは館内足元を照らすライトと懐中電灯を片手に館内を見回っていた。
これより前の時間には酒瓶を片手に赤い顔でふらふらと歩いていたサーヴァントとすれ違いもしたが流石にこの時間となると彼等も自室かそこらで眠りに着いているのだろう。
作家サーヴァントの部屋の前を横切った際にはペンが原稿用紙を走る音と唸り声の様な苦悶に満ちた声が聞こえたがそれは何時も通り。
研究が乗りに乗り、剰え成功したのだろう某錬金術師の部屋の前を通り過ぎた際は薬の効果を見る為、誰かで試してみようと不穏な言葉が聞こえたので後程ダヴィンチに報告する事に決めていた。
さてさて幾つかの倉庫の施錠が出来ている事を確認したスタッフは召喚室の前に立っていた。
マスター事、藤丸立夏は今どうしても召喚したいサーヴァントがいるらしく昼間も金色の呼符と虹色に輝く聖晶石を腕いっぱいにして召喚を行なっていたが出てきたのはこれ以上増えてそろそろ一人一台も目前となってきた裏ごしシンジ君と湯気が目に入るだけで誰もが涙を流し悶絶する激辛麻婆豆腐であった。
要は爆死である。
その結果に藤丸の落ち込みは凄まじいものであったがそんな彼を慰めるマシュとの光景が微笑ましくその場にいたスタッフ達の心を暖かくしていたなんて話は藤丸が拗ねてしまうかもしれないのでオフレコである。
そんな昼間の事を思い出し一人笑っていたスタッフは召喚室の異常に気付いた。
扉の隙間から光が漏れている。
しかしこの扉の向こうの部屋は使用時以外は電気を落としており、万が一に電気を落とすのを忘れていても召喚サークルが動かず数時間放置されていれば自動で電源が落とされる様になっており電気が付けっ放しというのはおかしな事であった。
不審に思ったスタッフが扉の施錠を開けて部屋に飛び込むと、召喚サークルが煌々と輝いていた。
藤丸立夏は爆死した。
文字の通り爆ぜて死んだ訳では無いが爆死した。
日々のクエストで懸命に溜めたマナプリズムをダヴィンチに交換してもらい集めた呼符。
それにやはりこちらもこつこつと溜めに溜めた聖晶石で挑んだ召喚であったが召喚サークルから出てきたのは会いたかった彼でも彼女でも無く何故か頑なにキッチンへの寄付を赤い弓兵に断られる裏ごしシンジ君と出せば何故か槍ニキと金ピカ王様の顔面を蒼白にさせる麻婆豆腐。
申し訳ない程度に金枠の礼装も何枚か出たが慰めにもならなかった。
藤丸はそんな召喚の結果に暫く呆然としたが気を戻して泣いた。
藤丸も泣いたし側に立っていたマシュも泣いた。
多少の感傷もあったし召喚の結果に納得出来ない事も大いにあったが何より召喚サークルを埋め尽くさんとばかりに現れた麻婆豆腐の湯気に涙腺が痛ぶられて涙を零した。
けれどそんな麻婆豆腐に泣かされた藤丸とマシュを何やら勘違いと心配をしてくれたサーヴァント達が二人を慰め様と普段以上に優しくしてくれるので藤丸の下がっていた気持ちは次第にゆっくりと上昇した。
料理が得意なサーヴァント達により優しさと気遣いの篭った少し何時もより豪勢な夕食をマシュと一緒に食べていた頃には藤丸の機嫌は何時も通りであった。
明日からは自分を気遣ってくれたマシュとサーヴァント達に報いる為にもっと頑張ろうと、行き込みながら眠りに着いた藤丸であったが眠りに入って数時間後起こされた。
「先輩!起きて下さい先輩!」と藤丸を揺り起こしたマシュは昼間の様な格好では無く、まるで戦闘時の様な鎧を身に付けている。
その戦闘態勢の格好のマシュに藤丸は今、自分はレイシフト中であっただろうかと頭を傾げた。
が、眠りがまだ浅かった為覚醒も早かった頭は辺りを見てそうではないとその考えを否定する。
眠る前に見たのと同じ、変わらぬ自室に戦闘服を着たマシュ。
そのちぐはぐな光景に何故マシュがこんな夜中に自分を起こしたのか理解した藤丸は、一旦彼女を部屋の外に出すとハンガーにかけていた洗濯済みの制服に着替えた。
藤丸は走りながらマシュに事の詳細も聞きつつ途中で騒ぎを聞きつけ廊下に出ていたサーヴァントも巻き込み問題の召喚室へと急行した。
「やあ、藤丸君。すまないね。こんな夜中に起こしてしまって」
召喚室の前には数人のスタッフと戦闘用の杖を持ち出したダヴィンチ女史が立っていた。
ダヴィンチとしては藤丸にもマシュも起こさず内々に対処したかったのだが異常が見つかってから数分未だ光輝く召喚サークルから何が出てくるかも分からず、原因も分からない為に呼び出した次第を話した。
申し訳ないというダヴィンチに藤丸は首を横に振るいこういう時だこそ自分を頼って欲しいと言う藤丸に、同意する様に彼の隣で頷くマシュ。
ダヴィンチはそんな二人を見て微笑んだ。
「しっかし本当に光ってるね」
何か出てきた際には迅速に行動できる様にと扉を開けた状態でロックされており、開け放たれた召喚室からは普段と同じく眩い光で輝いていた。
暫く室内の様子を伺っていた藤丸達であるが、それまで室内が明るいだけであった召喚室に変化が起きる。
横に伸びる三本の青白い光。
それはサークルからサーヴァントが召喚される際の物で、その光を見たマシュは他の者達より一歩前に出るとその黒鉄の盾を立てて構えた。
「先輩、来ます」
マシュが見つめる先、それまで三本の光が輝くに留まっていたサークルから激しい光が稲妻の如く縦横左右に伸びる。
廊下の途中で合流したサーヴァント、ロビンフットと呪腕のハサンも構えた。
召喚サークル上に金色のカードが現れる。
猛々しい獣の画、バーサーカーである。
その現れた絵図に誰もが息を飲み込む。
ダヴィンチはすぐさま近くにいたスタッフ達を退避させ、藤丸は現れたサーヴァントが襲ってくる事も想定して令呪を一画消費するとマシュに守りの宝具を解放する様に命じた。
その間にもサークル上に浮かんでいたカードが消えて、暗い影が人型を作っていく。
次第にその暗い影は色を持ち、
「気配を辿って此処まで来たんだけど此処何処?」
金髪の少女が姿を現した。
マスターは勿論、彼をサポートするスタッフも殆どが眠りに着いている時間帯。
睡眠を通常は必要としないサーヴァント達もマスターに倣い今は各々の部屋で眠りに着いており、こんな夜中に起きていると言えば一部の作家サーヴァントと研究と当直で見回りをするスタッフ位である。
そのスタッフは館内足元を照らすライトと懐中電灯を片手に館内を見回っていた。
これより前の時間には酒瓶を片手に赤い顔でふらふらと歩いていたサーヴァントとすれ違いもしたが流石にこの時間となると彼等も自室かそこらで眠りに着いているのだろう。
作家サーヴァントの部屋の前を横切った際にはペンが原稿用紙を走る音と唸り声の様な苦悶に満ちた声が聞こえたがそれは何時も通り。
研究が乗りに乗り、剰え成功したのだろう某錬金術師の部屋の前を通り過ぎた際は薬の効果を見る為、誰かで試してみようと不穏な言葉が聞こえたので後程ダヴィンチに報告する事に決めていた。
さてさて幾つかの倉庫の施錠が出来ている事を確認したスタッフは召喚室の前に立っていた。
マスター事、藤丸立夏は今どうしても召喚したいサーヴァントがいるらしく昼間も金色の呼符と虹色に輝く聖晶石を腕いっぱいにして召喚を行なっていたが出てきたのはこれ以上増えてそろそろ一人一台も目前となってきた裏ごしシンジ君と湯気が目に入るだけで誰もが涙を流し悶絶する激辛麻婆豆腐であった。
要は爆死である。
その結果に藤丸の落ち込みは凄まじいものであったがそんな彼を慰めるマシュとの光景が微笑ましくその場にいたスタッフ達の心を暖かくしていたなんて話は藤丸が拗ねてしまうかもしれないのでオフレコである。
そんな昼間の事を思い出し一人笑っていたスタッフは召喚室の異常に気付いた。
扉の隙間から光が漏れている。
しかしこの扉の向こうの部屋は使用時以外は電気を落としており、万が一に電気を落とすのを忘れていても召喚サークルが動かず数時間放置されていれば自動で電源が落とされる様になっており電気が付けっ放しというのはおかしな事であった。
不審に思ったスタッフが扉の施錠を開けて部屋に飛び込むと、召喚サークルが煌々と輝いていた。
藤丸立夏は爆死した。
文字の通り爆ぜて死んだ訳では無いが爆死した。
日々のクエストで懸命に溜めたマナプリズムをダヴィンチに交換してもらい集めた呼符。
それにやはりこちらもこつこつと溜めに溜めた聖晶石で挑んだ召喚であったが召喚サークルから出てきたのは会いたかった彼でも彼女でも無く何故か頑なにキッチンへの寄付を赤い弓兵に断られる裏ごしシンジ君と出せば何故か槍ニキと金ピカ王様の顔面を蒼白にさせる麻婆豆腐。
申し訳ない程度に金枠の礼装も何枚か出たが慰めにもならなかった。
藤丸はそんな召喚の結果に暫く呆然としたが気を戻して泣いた。
藤丸も泣いたし側に立っていたマシュも泣いた。
多少の感傷もあったし召喚の結果に納得出来ない事も大いにあったが何より召喚サークルを埋め尽くさんとばかりに現れた麻婆豆腐の湯気に涙腺が痛ぶられて涙を零した。
けれどそんな麻婆豆腐に泣かされた藤丸とマシュを何やら勘違いと心配をしてくれたサーヴァント達が二人を慰め様と普段以上に優しくしてくれるので藤丸の下がっていた気持ちは次第にゆっくりと上昇した。
料理が得意なサーヴァント達により優しさと気遣いの篭った少し何時もより豪勢な夕食をマシュと一緒に食べていた頃には藤丸の機嫌は何時も通りであった。
明日からは自分を気遣ってくれたマシュとサーヴァント達に報いる為にもっと頑張ろうと、行き込みながら眠りに着いた藤丸であったが眠りに入って数時間後起こされた。
「先輩!起きて下さい先輩!」と藤丸を揺り起こしたマシュは昼間の様な格好では無く、まるで戦闘時の様な鎧を身に付けている。
その戦闘態勢の格好のマシュに藤丸は今、自分はレイシフト中であっただろうかと頭を傾げた。
が、眠りがまだ浅かった為覚醒も早かった頭は辺りを見てそうではないとその考えを否定する。
眠る前に見たのと同じ、変わらぬ自室に戦闘服を着たマシュ。
そのちぐはぐな光景に何故マシュがこんな夜中に自分を起こしたのか理解した藤丸は、一旦彼女を部屋の外に出すとハンガーにかけていた洗濯済みの制服に着替えた。
藤丸は走りながらマシュに事の詳細も聞きつつ途中で騒ぎを聞きつけ廊下に出ていたサーヴァントも巻き込み問題の召喚室へと急行した。
「やあ、藤丸君。すまないね。こんな夜中に起こしてしまって」
召喚室の前には数人のスタッフと戦闘用の杖を持ち出したダヴィンチ女史が立っていた。
ダヴィンチとしては藤丸にもマシュも起こさず内々に対処したかったのだが異常が見つかってから数分未だ光輝く召喚サークルから何が出てくるかも分からず、原因も分からない為に呼び出した次第を話した。
申し訳ないというダヴィンチに藤丸は首を横に振るいこういう時だこそ自分を頼って欲しいと言う藤丸に、同意する様に彼の隣で頷くマシュ。
ダヴィンチはそんな二人を見て微笑んだ。
「しっかし本当に光ってるね」
何か出てきた際には迅速に行動できる様にと扉を開けた状態でロックされており、開け放たれた召喚室からは普段と同じく眩い光で輝いていた。
暫く室内の様子を伺っていた藤丸達であるが、それまで室内が明るいだけであった召喚室に変化が起きる。
横に伸びる三本の青白い光。
それはサークルからサーヴァントが召喚される際の物で、その光を見たマシュは他の者達より一歩前に出るとその黒鉄の盾を立てて構えた。
「先輩、来ます」
マシュが見つめる先、それまで三本の光が輝くに留まっていたサークルから激しい光が稲妻の如く縦横左右に伸びる。
廊下の途中で合流したサーヴァント、ロビンフットと呪腕のハサンも構えた。
召喚サークル上に金色のカードが現れる。
猛々しい獣の画、バーサーカーである。
その現れた絵図に誰もが息を飲み込む。
ダヴィンチはすぐさま近くにいたスタッフ達を退避させ、藤丸は現れたサーヴァントが襲ってくる事も想定して令呪を一画消費するとマシュに守りの宝具を解放する様に命じた。
その間にもサークル上に浮かんでいたカードが消えて、暗い影が人型を作っていく。
次第にその暗い影は色を持ち、
「気配を辿って此処まで来たんだけど此処何処?」
金髪の少女が姿を現した。
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