キミと行く。
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「あーくそっ
仲間と離れちまった」
夕焼けが夜の帳を引きながら西の空へと沈んでいく。
それを眺めながらハンガリーは溜め息をこぼす。
せっかく何時も通り勝ち、オーストリアを追ったら深追いし過ぎて仲間とはぐれてしまった。
これが何時も通りなら今頃、仲間と勝利の祝杯を上げている頃だろう。
そんな事を考えていればハンガリーのお腹が虚しく鳴いた。
さっきまで戦っていたものだからお腹はからっぽでとても空腹だ。
「これからどうするかな」
仲間を探そうにも夜になればまともに動けやしない。
だが何もない原っぱの真ん中でじっとしていれば危ないだろう。
せめて何処か身を潜めれる所はないか。
そう考えて近くの丘を登れば、
「あった・・・」
丘の天辺に立つ小さ過ぎず大き過ぎでもない家が一軒。
ハンガリーは見付けた家が空き家である事を願ったがそこまで事が上手くいく筈もなく、見付けた家からは明かりが漏れ煙突からは煙が上がっていた。
家人に気付かれぬよう家に近付けば確かに人がいる気配。
せっかく見付けた家であるが家人が自分の国の人間ではない場合を考えると見知らぬ家に飛び込める気にはなれなかった。
大人しく今日は野宿か、なんて思うのだが不意にハンガリーを誘う食べ物の匂い。
その空腹の腹に響く匂いにハンガリーの意思がぐらつく。
「うぅっ・・・」
「あら、どなたかしら」
木の扉を叩く音にリンネは足を玄関へと進める。
「何をしているんですか?!」
外は疾うに真っ暗だというのに、こんな時間に来た客人を招き入れようとするリンネの服を掴んだオーストリアは彼女を止めた。
「何ってお客さんが来たみたいだから」
「こんなに外が暗いのに客人とは怪しすぎます!」
でも、と漏らしたリンネは閉じる扉を気にしている。
丁度、その時二回目のノックが鳴ってリンネは思わず返事を
その行動にオーストリアは驚いた。
リンネが返事をして閉まった以上、扉を開けるか閉ざしたまま夜の客人にお帰り願うか何れかの行動を起こさなくてはならならくなってしまったのだ。
オーストリアが一人、「どうしましょう」と慌てている間に三度目のノック。
「ローデリヒ君は扉の向こうのお客さんを悪人かもって疑ってるみたいだけど私は悪人だったらわざわざノックもせずに家に入って来てると思うの」
リンネの言い分は妙に説得力があったのだがオーストリアにはまだ扉な向こうの相手を信じられない。
「でしたらこれを」
もうリンネが扉を開ける気で以上、どうしようもないと諦めたオーストリアは台所の壁にかけられたフライパンを手渡す。
「相手がおかしいと思ったらすぐにこれをお使い下さい」
「分かった。
ありがとう、ローデリヒ君」
さっきつけて貰った自分だけの名前で呼ばれ、頭を優しく撫でられたオーストリアは嬉しさに顔を緩ませるもすぐに自分の武器(木篦)を強く握る。
「待たせてごめんなさい」
四回目のノックが鳴りかけた時、リンネは扉を開いた。
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