キミと行く。
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「遅いのである!」
スイスは勢いよく机を叩くと机に置かれた杯が揺れて倒れる。
幸いにも中は空であったが、何て事を考える余裕が無いほどスイスは苛ついていた。
「オーストリアは一体何処まで行ったのだ」
オーストリアが外に出たきり帰ってこない。
朝には
『今日こそハンガリーに勝ってみせますね!』
何て張り切り出て行ったが、何時も負けて帰ってくる時間には帰っては来ず外はとうとう真っ暗になってしまった。
苛つくスイスの頭にまさか、何て嫌な予感が過る。
「とうとうハンガリーに・・・?
いや、今まで負けても帰って来たのだ。今日だって何時もの様にボロボロになりながらも笑って帰ってくるだろう」
"国"はいつ死ぬのか、
それは誰も知らない。
そもそも"国"は人間の様に
倒れ、
朽ちて、
自然に戻るのだろうか?
暖炉の暖かな炎が暗い部屋に光を灯しスイスの横顔を赤く染めた。
小さな彼の影は暖炉の火に合わせてゆらゆら踊る。
外がにわかに騒がしい。
騒ぎが段々と近付き、扉が破れそうな勢いで開いた。
入って来た男にスイスは見覚えがある。
「どうしたのである。確かオーストリアの部下だったな、奴は帰って来たのであるか?」
そう、尋ねれば男は俯き表情が暗くする。
「何なのだ。言いたい事があって来たのであろう!
なら、さっさと話すのである」
促して男はやっと口を開き、話す。
戦いの経緯を、
戦況を、
自分達が敗走した事を、
そして、オーストリアの行方が分からなくなった事を
「今回の戦闘では地の利がハンガリーにあり、奇襲で陣を乱した私達は一度退き体勢を立て直す事になりた。その際にオーストリア様がご自分で殿に立つと仰られまして・・・」
「それで奴を殿に立たせたのか!騎馬を得意とするハンガリー相手に殿がどうなるか分かる事だろう」
「はい・・・、
ですが戦場もそれだけ混乱していたのです」
奇襲を受け、皆が混乱していた場合よくある事。
それはスイス自身、戦場にはよく向かうのでよく分かっていることなのだが気持ちが落ち着かず整理がつかなかった。
何とか落ちつこうと机の上の杯に手を伸ばすが倒れていて中身が入っていない。
スイスは舌打ちをし、立てかけていた剣を腰に下げると外へ通じる扉に向かった。
「どちらに行かれるのですか?!」
「戦場から殆どの者が帰ってきた様だが殿を務めたのがあのオーストリアだ。ハンガリーが今も此方に向かっているかもしれんからな、囲まれる前に我輩達の軍勢で牽制する」
「それでは、オーストリア様はどうするのです?」
「奴はああ見えて子供という年ではない。その内ひょっこり帰って来るだろう」
部屋を出るスイスの後ろから「そんな」と嘆きにも似た男の声が聞こえた。
(何かを振り払うかの様に)
彼は剣を手に取った。
スイスは勢いよく机を叩くと机に置かれた杯が揺れて倒れる。
幸いにも中は空であったが、何て事を考える余裕が無いほどスイスは苛ついていた。
「オーストリアは一体何処まで行ったのだ」
オーストリアが外に出たきり帰ってこない。
朝には
『今日こそハンガリーに勝ってみせますね!』
何て張り切り出て行ったが、何時も負けて帰ってくる時間には帰っては来ず外はとうとう真っ暗になってしまった。
苛つくスイスの頭にまさか、何て嫌な予感が過る。
「とうとうハンガリーに・・・?
いや、今まで負けても帰って来たのだ。今日だって何時もの様にボロボロになりながらも笑って帰ってくるだろう」
"国"はいつ死ぬのか、
それは誰も知らない。
そもそも"国"は人間の様に
倒れ、
朽ちて、
自然に戻るのだろうか?
暖炉の暖かな炎が暗い部屋に光を灯しスイスの横顔を赤く染めた。
小さな彼の影は暖炉の火に合わせてゆらゆら踊る。
外がにわかに騒がしい。
騒ぎが段々と近付き、扉が破れそうな勢いで開いた。
入って来た男にスイスは見覚えがある。
「どうしたのである。確かオーストリアの部下だったな、奴は帰って来たのであるか?」
そう、尋ねれば男は俯き表情が暗くする。
「何なのだ。言いたい事があって来たのであろう!
なら、さっさと話すのである」
促して男はやっと口を開き、話す。
戦いの経緯を、
戦況を、
自分達が敗走した事を、
そして、オーストリアの行方が分からなくなった事を
「今回の戦闘では地の利がハンガリーにあり、奇襲で陣を乱した私達は一度退き体勢を立て直す事になりた。その際にオーストリア様がご自分で殿に立つと仰られまして・・・」
「それで奴を殿に立たせたのか!騎馬を得意とするハンガリー相手に殿がどうなるか分かる事だろう」
「はい・・・、
ですが戦場もそれだけ混乱していたのです」
奇襲を受け、皆が混乱していた場合よくある事。
それはスイス自身、戦場にはよく向かうのでよく分かっていることなのだが気持ちが落ち着かず整理がつかなかった。
何とか落ちつこうと机の上の杯に手を伸ばすが倒れていて中身が入っていない。
スイスは舌打ちをし、立てかけていた剣を腰に下げると外へ通じる扉に向かった。
「どちらに行かれるのですか?!」
「戦場から殆どの者が帰ってきた様だが殿を務めたのがあのオーストリアだ。ハンガリーが今も此方に向かっているかもしれんからな、囲まれる前に我輩達の軍勢で牽制する」
「それでは、オーストリア様はどうするのです?」
「奴はああ見えて子供という年ではない。その内ひょっこり帰って来るだろう」
部屋を出るスイスの後ろから「そんな」と嘆きにも似た男の声が聞こえた。
(何かを振り払うかの様に)
彼は剣を手に取った。