キミと行く。
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昔々、大きな力を持った地中海の覇者は小さな町の小さな丘に一本の木を植えて高らかに言った。
『此処で喧嘩したり喧嘩に巻き込んでみろ、俺は許さねぇからな!したら俺がそいつの家に殴りこんでやる』
と、
たかが小さな町の小さな丘にと普通なら笑うのだが言ったのが地中海の覇者となると話しは違う。
彼の恐ろしさを知るものは皆、口煩く言った。
『あの丘を戦争に巻き込んではいけない。
勿論、近くでもだ』
彼の言葉は絶大で、彼が宣言して以来小さな丘も、町も、暗黙の了解で戦禍に巻き込まれる事はない。
『オーストリア、あの木を覚えておくのだ。ハンガリーと戦い、負けてしまいそうになった時はあの木を目指せ』
『どうしてあの木なのですか?』
『あの木が立つ丘では戦う事も喧嘩も出来ないのである』
『分かりました!」
窓の外にまで聴こえた元気な声にリンネは笑った。
「寝言かしら?」
窓から子供の様子を覗けばベッドでぐっすりと寝息をたてている。
それを見て寝言みたいね、と笑っていれば誰かが此方に走ってきた。
見たことある、彼は確か・・・
「ロマーノ君の部下の人」
丘を走って登ったのであろう。
息を切らす彼にリンネは洗濯物を置き、家へと入ると飲み物を持って戻ってきた。
「良かったらどうぞ」
飲み物を差し出せば余程、喉が渇いていたのであろう彼は勢いよく飲み干す。
「ありがとうございます」
「いえ、それで家に何か?」
「今日は家に帰れない事をお知らせに
あ、ちゃんと食事も用意しますし徹夜をさせたりしませんので!」
男の言葉にリンネは安堵した。
そして着替えを取って来ますと中へ入る。
パタパタと駆ける音にオーストリアは目を醒ます。
視界には見知らぬ天井が、視線を動かせば見知らぬ女性が鞄を片手に部屋を駆けていた。
「私は、どうしたんでしたっけ」
女性が家を出ていったのを見て、オーストリアはベッドからおりると窓に手をかけて外を見る。
窓から見えたのは夢でも見たあの丘の木、なのだろうか?
「あ、君。起きたんだね」
さっきまで外にいた女性が家に入ってきた。
オーストリアは思わず窓から離れてリンネを距離をとる。
その様子を見て苦笑いを浮かべた彼女は優しい声で「何もしないよ」と言った。
「私はリンネ、貴方は?」
「私は、・・・」
オーストリア、と言いそうになり親友が言っていた事を思い出す。
『無闇に自分の名前を明かしてはいけないのである。国とバレて酷い目に合う、という事もあるかもしれん』
オーストリアはちらりとリンネを見た。
そんな酷い事をするような人には見えないのだが
『人を見掛けで判断するな』
親友の言葉がオーストリアの意思を固める。
「実は名前が無いんです」
丁度、体も服も汚れていて真実味もあった。
「・・・私、失礼な事を訊いちゃったね。
ごめんなさい」
本当に申し訳なさそうな顔をして頭を下げてきたリンネにオーストリアは心が傷んだ。
「いえ、別に気にしてなどいませんので
名前は好きに呼んで下さい」
「そう?じゃあ、暫く考えておくね」
「はあ、」
一体、何が暫くなのかオーストリアには意味が分からなかった。
多分、一時間程度
(う~ん・・・)
(何をそんなに悩んでいるのでしょうか?)
『此処で喧嘩したり喧嘩に巻き込んでみろ、俺は許さねぇからな!したら俺がそいつの家に殴りこんでやる』
と、
たかが小さな町の小さな丘にと普通なら笑うのだが言ったのが地中海の覇者となると話しは違う。
彼の恐ろしさを知るものは皆、口煩く言った。
『あの丘を戦争に巻き込んではいけない。
勿論、近くでもだ』
彼の言葉は絶大で、彼が宣言して以来小さな丘も、町も、暗黙の了解で戦禍に巻き込まれる事はない。
『オーストリア、あの木を覚えておくのだ。ハンガリーと戦い、負けてしまいそうになった時はあの木を目指せ』
『どうしてあの木なのですか?』
『あの木が立つ丘では戦う事も喧嘩も出来ないのである』
『分かりました!」
窓の外にまで聴こえた元気な声にリンネは笑った。
「寝言かしら?」
窓から子供の様子を覗けばベッドでぐっすりと寝息をたてている。
それを見て寝言みたいね、と笑っていれば誰かが此方に走ってきた。
見たことある、彼は確か・・・
「ロマーノ君の部下の人」
丘を走って登ったのであろう。
息を切らす彼にリンネは洗濯物を置き、家へと入ると飲み物を持って戻ってきた。
「良かったらどうぞ」
飲み物を差し出せば余程、喉が渇いていたのであろう彼は勢いよく飲み干す。
「ありがとうございます」
「いえ、それで家に何か?」
「今日は家に帰れない事をお知らせに
あ、ちゃんと食事も用意しますし徹夜をさせたりしませんので!」
男の言葉にリンネは安堵した。
そして着替えを取って来ますと中へ入る。
パタパタと駆ける音にオーストリアは目を醒ます。
視界には見知らぬ天井が、視線を動かせば見知らぬ女性が鞄を片手に部屋を駆けていた。
「私は、どうしたんでしたっけ」
女性が家を出ていったのを見て、オーストリアはベッドからおりると窓に手をかけて外を見る。
窓から見えたのは夢でも見たあの丘の木、なのだろうか?
「あ、君。起きたんだね」
さっきまで外にいた女性が家に入ってきた。
オーストリアは思わず窓から離れてリンネを距離をとる。
その様子を見て苦笑いを浮かべた彼女は優しい声で「何もしないよ」と言った。
「私はリンネ、貴方は?」
「私は、・・・」
オーストリア、と言いそうになり親友が言っていた事を思い出す。
『無闇に自分の名前を明かしてはいけないのである。国とバレて酷い目に合う、という事もあるかもしれん』
オーストリアはちらりとリンネを見た。
そんな酷い事をするような人には見えないのだが
『人を見掛けで判断するな』
親友の言葉がオーストリアの意思を固める。
「実は名前が無いんです」
丁度、体も服も汚れていて真実味もあった。
「・・・私、失礼な事を訊いちゃったね。
ごめんなさい」
本当に申し訳なさそうな顔をして頭を下げてきたリンネにオーストリアは心が傷んだ。
「いえ、別に気にしてなどいませんので
名前は好きに呼んで下さい」
「そう?じゃあ、暫く考えておくね」
「はあ、」
一体、何が暫くなのかオーストリアには意味が分からなかった。
多分、一時間程度
(う~ん・・・)
(何をそんなに悩んでいるのでしょうか?)