キミと行く。
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「スイス、今日から私の事はローデリヒって呼んで下さいね?」
「はぁ?」
突然の事にわけが分からず、「何を言っているんだオーストリア」なんて言えば、
「だから、私は今日からローデリヒ何ですってば!」
と珍しく怒られた。
色々疑問はあったが話を進めるのが優先と考えたスイスは「分かった分かったのである」とオーストリアを宥める。
すると、期待にも似た視線がオーストリアからスイスに向かって向けられた。
口に出さずとも早く!と急かされる空気に流されて、スイスはオーストリアを
「ローデリヒ」
と呼んだ。
途端に、先程迄怒っていたのを忘れたかの様にオーストリアの表情はにこやかなものへと変わった。
「やっぱり自分の名前って良いですね!」
「国としての名前も人間の名前もあまり変わらないと思うのだが」
「そんな事ないですよ!」
せっかく機嫌が直ったと思ったのにまた怒りだすオーストリアにスイスはため息をつく。
「たかが名前ごときにそこまで怒らなくても良いであろう」
「名前はとても大切です!スイスはちゃんとした名前を貰っていないからそんな事が言えるんです」
「我輩にもちゃんとした名前がある。
スイス、それが我輩の名前だ」
「でもそれは国を指す呼び名であって私達個人を指す名前ではありません」
「我輩もお前も"国"だ。
国である我輩達に個"人"を指す名前があってはおかしいのである。」
「おかしくなんて・・・」
オーストリアの声がだんだんと小さくなっていく。
掠れていく声を聞かなかった振りして「夕飯の時間である」とスイスはオーストリアの背中を押した。
いつもの様に後ろをついてくるかと思ったがその様子はなく、少し歩いた所で振り替えればさっきと同じ場所に立つオーストリア。
こんなにも我を通すオーストリアはいただろうか、と考えて初めてだとスイスは思った。
「オースト・・・ローデリヒ」
「スイスは私達"国"が"人"の様な生活をしていてはおかしいと言うのですか?」
「我輩は一言もそんな事を言ってはいない。我輩はただ」
「でも、貴方が言っているのは同じ事です。おかしいなら笑って下さいよ。人の名を貰って喜んだ
私を」
そう言うとオーストリアは涙を溢した。
スイスにあたる訳でもなく喚くわけでもなく、ただはらはらと涙を溢す。
そんなオーストリアを見てスイスは一言だけ言う
「すまない」
と。
「すまないローデリヒ。だが我輩は」
「分かっています。貴方が言っている事も間違いではないのです。
でも悲しくありませんか?
私も
貴方も
同じ者は皆、
こんなにも中途半端なんです」
結局、
(私達はどちらだと言うのだ)