キミと行く。
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「お前が泣かしたのか」
ぐっと男の服を掴み持ち上げる。
服が引っ張られ苦しい筈なのに男はまだ余裕の笑みを浮かべていた。
何だこいつは?と見たこともない男にローマは首を傾げる。
見たことも覚えもない男。
この宴は皇帝も参加するものだからと来客も見張りも、もしもの事を考えてローマは会場に入る全ての者の顔を覚えていた。
だが、
「お前は、誰だ」
今、服を掴む男の名前は知らない。
「帝国に名乗る程の者でもありやせんよ」
「気にするな。出身は、所属は、名前は!」
名乗りも答えもしない男にローマは思わず声を張り上げ尋ねてしまう。
「・・・う~ん、ローマさん?」
ローマの声に起きたのか、リンネが動く。
赤く腫れた目を擦り上半身を起こす。
「何やってるんですか!」
男の胸ぐらを掴むローマにリンネは慌てて離すよう訴える。
「ローマさん、離して下さい!その人は悪い人じゃないんです」
「じゃあ何で名乗れないんだ」
「っう、それは」
リンネはちらりと男を見た。
男はローマに掴まれてもまだ笑っている。
「名前がないならせめて、配属先の名前だけでも教えて貰おうか。見張りに雇われた兵士は決まった場所に振り分けられるからな」
ローマの言葉にリンネは視線を男に送った。
早く配属先の名を言えと、
「嬢ちゃんすまねぇな」
「えっ?」
ガキンっと金属と金属がぶつかり会う音。
互いに剣をぶつける姿にリンネは固まる。
「見覚えのない顔だから可笑しいと思った!その剣、東の奴だな」
「ああ!あんたの東出身だ」
独特な形の剣を打ち付け、男はローマと闘う。
目の前で行われる剣と剣のぶつかりにリンネは何も出来ず、ただ見上げている。
大きく振り上げた男の攻撃をかわすとローマが構えた剣が灯りに照され、ギラリと光った。
ローマの構えた剣は吸い込まれるかの様で、男に向かう。
「!!・・・危ないっ」
リンネの声に男は向かってくる剣に気付き、ローマの剣には動揺が生まれる。
男はその動揺から出来た隙を使い、ローマの剣を持つ手首を掴み器用にローマの体を押さえ込む。
「ローマさん!」
今度はローマの状況が危うくなり、リンネは声を上げ、立ち上がり駆け寄ろうとする。
「おっと嬢ちゃん。それ以上近付いたり、会場の奴等を呼んだらただしゃあすまねぇぜ」
リンネは足を止め、男を睨む。
「嬢ちゃんにあんな顔させるんだ。あんたも中々すみにおけない男だねぇ」
「だろ?俺は愛されてるからな」
周りには聞こえない小さな声でローマと男は会話をする。
その表情はまるで友人と話すかのようで、先程まで剣を打ち合っていたのが嘘のよう。
「だけど、話す事はちゃんと話した方が言いと思いますぜ」
にやりと笑う男にローマは気付く。
「リンネを泣かしたのは俺か」
「泣かすきっかけを作ったのは俺でい」
男は押さえ込むのを止め、立ち上がる。
リンネと目が会うのだが、彼女の視線は剣に向いてばかり。
剣を鞘に戻すと、そのままリンネに近付く。
「あんたは辛い事、言いたい事があるならちゃんと相手に言うんでい。
言えば泣かなくて済むかもしれねぇ」
「あ、あの」
男はリンネの頭を軽く撫でた。
「嬢ちゃんはあの男に聞きたい事言いたい事があるんじゃあねぇのかい?」
そうだろ?という視線を送ると分かったのか男の瞳を見つけ頷く。
「ローマさん、私!」
床に横になるローマにリンネは駆け寄る。
くそー負けたーと悔しがるローマに話を出しつつ、「そうだ」とリンネは振り向く。
「私、まだ仮面さんの名前が
・・・・・・あれ?」
振り向いた先にはもう男の姿は無かった。
きっと悪い人じゃないんですよ。
(寧ろ、良い人なのかも)
ぐっと男の服を掴み持ち上げる。
服が引っ張られ苦しい筈なのに男はまだ余裕の笑みを浮かべていた。
何だこいつは?と見たこともない男にローマは首を傾げる。
見たことも覚えもない男。
この宴は皇帝も参加するものだからと来客も見張りも、もしもの事を考えてローマは会場に入る全ての者の顔を覚えていた。
だが、
「お前は、誰だ」
今、服を掴む男の名前は知らない。
「帝国に名乗る程の者でもありやせんよ」
「気にするな。出身は、所属は、名前は!」
名乗りも答えもしない男にローマは思わず声を張り上げ尋ねてしまう。
「・・・う~ん、ローマさん?」
ローマの声に起きたのか、リンネが動く。
赤く腫れた目を擦り上半身を起こす。
「何やってるんですか!」
男の胸ぐらを掴むローマにリンネは慌てて離すよう訴える。
「ローマさん、離して下さい!その人は悪い人じゃないんです」
「じゃあ何で名乗れないんだ」
「っう、それは」
リンネはちらりと男を見た。
男はローマに掴まれてもまだ笑っている。
「名前がないならせめて、配属先の名前だけでも教えて貰おうか。見張りに雇われた兵士は決まった場所に振り分けられるからな」
ローマの言葉にリンネは視線を男に送った。
早く配属先の名を言えと、
「嬢ちゃんすまねぇな」
「えっ?」
ガキンっと金属と金属がぶつかり会う音。
互いに剣をぶつける姿にリンネは固まる。
「見覚えのない顔だから可笑しいと思った!その剣、東の奴だな」
「ああ!あんたの東出身だ」
独特な形の剣を打ち付け、男はローマと闘う。
目の前で行われる剣と剣のぶつかりにリンネは何も出来ず、ただ見上げている。
大きく振り上げた男の攻撃をかわすとローマが構えた剣が灯りに照され、ギラリと光った。
ローマの構えた剣は吸い込まれるかの様で、男に向かう。
「!!・・・危ないっ」
リンネの声に男は向かってくる剣に気付き、ローマの剣には動揺が生まれる。
男はその動揺から出来た隙を使い、ローマの剣を持つ手首を掴み器用にローマの体を押さえ込む。
「ローマさん!」
今度はローマの状況が危うくなり、リンネは声を上げ、立ち上がり駆け寄ろうとする。
「おっと嬢ちゃん。それ以上近付いたり、会場の奴等を呼んだらただしゃあすまねぇぜ」
リンネは足を止め、男を睨む。
「嬢ちゃんにあんな顔させるんだ。あんたも中々すみにおけない男だねぇ」
「だろ?俺は愛されてるからな」
周りには聞こえない小さな声でローマと男は会話をする。
その表情はまるで友人と話すかのようで、先程まで剣を打ち合っていたのが嘘のよう。
「だけど、話す事はちゃんと話した方が言いと思いますぜ」
にやりと笑う男にローマは気付く。
「リンネを泣かしたのは俺か」
「泣かすきっかけを作ったのは俺でい」
男は押さえ込むのを止め、立ち上がる。
リンネと目が会うのだが、彼女の視線は剣に向いてばかり。
剣を鞘に戻すと、そのままリンネに近付く。
「あんたは辛い事、言いたい事があるならちゃんと相手に言うんでい。
言えば泣かなくて済むかもしれねぇ」
「あ、あの」
男はリンネの頭を軽く撫でた。
「嬢ちゃんはあの男に聞きたい事言いたい事があるんじゃあねぇのかい?」
そうだろ?という視線を送ると分かったのか男の瞳を見つけ頷く。
「ローマさん、私!」
床に横になるローマにリンネは駆け寄る。
くそー負けたーと悔しがるローマに話を出しつつ、「そうだ」とリンネは振り向く。
「私、まだ仮面さんの名前が
・・・・・・あれ?」
振り向いた先にはもう男の姿は無かった。
きっと悪い人じゃないんですよ。
(寧ろ、良い人なのかも)