キミと行く。
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大声で泣くことは無かった。
だが、確かに抱き締めた腕の中から小さな泣き声は漏れていた。
男は何も出来ず、ただリンネの背中を撫でる。
すると撫でている内に泣く声の間隔が短くなってゆく。
しゃっくりの様に声が上がる過呼吸も収まる。
「嬢ちゃん。大丈夫か?」
何と言って慰めれば良いのか分からず出た言葉は「大丈夫」だった。
返事はない
そう言えば泣く声も聞こえない。
リンネの肩を掴み、顔を見ると、瞼の端を赤くしてリンネは眠っている。
「泣きつかれて眠っちまったか」
まるで子供みたいだな、と男は思わず笑った。
「リンネ、おせぇな」
どこかへと歩いて行ったきりでリンネは帰ってこない。
暫くそっとしておこうなんて思ってどこかへ行くリンネを止めもしなかったローマだが、こうも帰りが遅いと心配になってくる。
既にローマの周りは酒に潰された屍でいっぱい。
「お前らだらしねぇぞ」
誰に向けたか分からぬ言葉に反応したのは顔を知る軍の部隊長だった。
いつもと違い真っ青な顔で男は言う。
「私達がだらしないのではなく、帝国が底なしなのです」
そこまで言って男の顔がよりいっそう青くなる。
口を押さえる男に給仕の女が底の深い壺を持って駆け寄っていた。
「つまんねぇな」
どっこいしょと年を感じさせる声を上げ、ローマは立ち上がる。
会場を歩くローマに見張りの兵士も給仕の女も声を掛けた。
彼等と言葉を適当に交わしてローマは歩く。
だが、宴も終盤で酔いが回って眠るものばかり、
「どいつも酒に弱いし、リンネなら俺の酒に最後迄付き合ってくれんだけどなー」
そういえば、リンネが酔ったところが見たことないとローマは気付く。
「今度、リンネと飲み比べてみるか」
そうだ、そうしよう。とローマはリンネの姿を探した。
「・・・まずは、ちゃんと話さねぇとな」
飲み比べの前に終らせなければならない事を思いだし、ローマはリンネの姿を探す。
だが、広い会場ではそれらしい姿は見当たらない。
じゃあ、外かとローマは歩く方向を変えて外を出た。
「おー今日は一段と星が綺麗だな」
酒でぼやけていた頭も外の空気に冴えてはっきりとしてくる。
「リンネもこの空みたら少しは元気になるかもな」
だと言いがと笑い一人で呟いていると視線を感じてそちらへと向く。
感じた視線の先には男が白い物を抱えて座っていた。
男が座っていたのが柱の影で死角になっていたのかと、冷静に判断する。
しかもよく見れば男が抱えているのは女の様だ。
気まずい雰囲気にローマは頭を掻く。
「あー・・・悪いじゃましちまったみたいだな」
邪魔な奴はすぐに退散するから気にせず続けてくれと、会場へ戻ろうとした。
のだが、
「・・・リンネ?」
よく見れば見覚えのある服、装飾、独特の肌の色。
それに顔。
足を止め、ローマはリンネを抱える男に詰め寄る。
どうして見知らぬ男がリンネを抱えているのか。
ローマは感じた疑問を尋ねようとしたのだが、言葉が止まった。
「リンネ、泣いたのか?」
出会った二人。
(本来なら出会わない二人)
だが、確かに抱き締めた腕の中から小さな泣き声は漏れていた。
男は何も出来ず、ただリンネの背中を撫でる。
すると撫でている内に泣く声の間隔が短くなってゆく。
しゃっくりの様に声が上がる過呼吸も収まる。
「嬢ちゃん。大丈夫か?」
何と言って慰めれば良いのか分からず出た言葉は「大丈夫」だった。
返事はない
そう言えば泣く声も聞こえない。
リンネの肩を掴み、顔を見ると、瞼の端を赤くしてリンネは眠っている。
「泣きつかれて眠っちまったか」
まるで子供みたいだな、と男は思わず笑った。
「リンネ、おせぇな」
どこかへと歩いて行ったきりでリンネは帰ってこない。
暫くそっとしておこうなんて思ってどこかへ行くリンネを止めもしなかったローマだが、こうも帰りが遅いと心配になってくる。
既にローマの周りは酒に潰された屍でいっぱい。
「お前らだらしねぇぞ」
誰に向けたか分からぬ言葉に反応したのは顔を知る軍の部隊長だった。
いつもと違い真っ青な顔で男は言う。
「私達がだらしないのではなく、帝国が底なしなのです」
そこまで言って男の顔がよりいっそう青くなる。
口を押さえる男に給仕の女が底の深い壺を持って駆け寄っていた。
「つまんねぇな」
どっこいしょと年を感じさせる声を上げ、ローマは立ち上がる。
会場を歩くローマに見張りの兵士も給仕の女も声を掛けた。
彼等と言葉を適当に交わしてローマは歩く。
だが、宴も終盤で酔いが回って眠るものばかり、
「どいつも酒に弱いし、リンネなら俺の酒に最後迄付き合ってくれんだけどなー」
そういえば、リンネが酔ったところが見たことないとローマは気付く。
「今度、リンネと飲み比べてみるか」
そうだ、そうしよう。とローマはリンネの姿を探した。
「・・・まずは、ちゃんと話さねぇとな」
飲み比べの前に終らせなければならない事を思いだし、ローマはリンネの姿を探す。
だが、広い会場ではそれらしい姿は見当たらない。
じゃあ、外かとローマは歩く方向を変えて外を出た。
「おー今日は一段と星が綺麗だな」
酒でぼやけていた頭も外の空気に冴えてはっきりとしてくる。
「リンネもこの空みたら少しは元気になるかもな」
だと言いがと笑い一人で呟いていると視線を感じてそちらへと向く。
感じた視線の先には男が白い物を抱えて座っていた。
男が座っていたのが柱の影で死角になっていたのかと、冷静に判断する。
しかもよく見れば男が抱えているのは女の様だ。
気まずい雰囲気にローマは頭を掻く。
「あー・・・悪いじゃましちまったみたいだな」
邪魔な奴はすぐに退散するから気にせず続けてくれと、会場へ戻ろうとした。
のだが、
「・・・リンネ?」
よく見れば見覚えのある服、装飾、独特の肌の色。
それに顔。
足を止め、ローマはリンネを抱える男に詰め寄る。
どうして見知らぬ男がリンネを抱えているのか。
ローマは感じた疑問を尋ねようとしたのだが、言葉が止まった。
「リンネ、泣いたのか?」
出会った二人。
(本来なら出会わない二人)