目が覚めると暗い森。

リンネはキョロキョロと辺りを見渡す。


｢え・・・私、部屋で本を読んでて｣

うとうとしてて

確かに部屋で眠ってしまった筈なのだ。

では、

｢ここ何処？｣

バサバサと激しく近くの木が揺れる。
聴いた事のない鳥の声が辺りに響く。
周りは薄暗く、今にもそういう類いのモノが出てきそうな雰囲気にリンネは唾を飲み込んだ。


人の手が加えられていないのか詰め合い我こそと、太陽に向かって生い茂る木々が森へ射し込む筈の光を閉ざし辺りは薄暗い。


暗く不気味な雰囲気の森に、リンネは持っていた本を抱き締めた。
そして、気付く。

｢何で私、本を持ってるの？｣

わざわざ森に来てまで眠っていた筈の自分は本が読みたかったのだろうか

しかも、よく見ればその本は自分が寝てしまう前に読んでいた本である。

｢あ、もしかしたら！｣

これは夢なのかもしれない。

そんな考えが頭に浮かぶ。
住んでいる屋敷の側にはこんな薄暗い森はないし、眠った筈の自分が眠ったまま移動したなんて考えられない。

ああ、何だ夢か

と思うと不気味に感じていた森もそう雰囲気には感じなくなる。
寧ろ、わくわくしている。

｢夢だけど屋敷から出るのは久しぶりだなぁ｣

屋敷での家事で外に出かける暇もなく、買い物には出たこともない。
そんなリンネにとっては不気味な森ではあるが久しぶりの外出は嬉しかった。

｢よし、せっかくだし探検するぞ！｣

お～とリンネは意気込んだ。












森に現れた。

(さて、ここは何処？)