キミと行く。
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吹雪が酷くて前が見えない。
でも、立ち止まる事も出来ず僕は歩き続ける。
頼りにするのは自分の感覚だけ
こんな事になるのならちゃんと彼に付いていれば良かった。
いつも僕を気にかけてくれる顔の恐いあの人。
優しいのは知っている。
でもやっぱり恐くて少し後ろに下がっていたらこのざまだ。
歩かなければ
歩かなければ
そう思うのだが、お腹は空いているし寒いし雪が吹雪いていても夜は夜で暗い。
なんだかもう、限界だった。
足ががくがくして白い地面へ崩れる。
「あーあ、僕死んじゃうのかなぁ」
この状況下では笑えない冗談だが笑ってしまう。
死ぬと思いながらも死なないとも思っている自分。
「死なないよねこんな事じゃ。だって僕は国だもん」
僕の呟きは吹き荒ぶ雪に吸い込まれた。
楽しげな鼻歌が聴こえた。
それに美味しそうな匂いもする。
こんな鼻歌は・・・あの人達が唄う筈がない。
あの人達が鼻歌なんて想像できない。
するとしたら戦場とかぐらいだろう。
じゃあ、誰が?
鼻歌を唄う候補を頭が勝手に消していく。
そして候補は全てなくなった。
誰が 誰が 誰が
頭が働きぐるぐる回る。
でも誰か分からない。
『そろそろ起きたかなぁ』
優しそうな女性の声。
足音がこちらに向かって近づいてくる。
『あ、まだ寝てる・・・熱とかは出てないかな』
そう呟き触れた手は思っていたよりも冷たい。
冷たい手だ。
いつも僕には優しい彼の顔が頭に浮かんだところで頭が切り替わった気がする。
「あら、起きた」
妙に頭が覚めてきて目を開けた僕に彼女は微笑み「お粥と普通の料理、どっちがいい?」と尋ねてくる。
ここは何処なのかとか起きた挨拶とか僕には言うことがたくさんあったのにお腹が空いていた僕は
「どっちも頂きます」
と答えた。
がちゃがちゃと食器同士がぶつかる音と同時に皿に盛られた料理が消えていく。
いったい小さな体のどこにそれだけの料理が消えていくのかと思ってしまう程食べる少年の姿を女は顔色一つ変えず眺めていた。
起きたら食べるかもしれないとたくさん用意した女の料理は次々になくなり、残すは起きたばかりの胃を考慮したお粥だけ
しかもそれもすぐになくなってしまう。
作った料理がなくなり、女は話を切り出す。
「君はどこの子?名前は?」
尋ねた女は私はリンネよと向かい合い座る少年に名前を告げる。
「リンネさん・・・料理、凄く美味しかったです!見たことない料理ばかりだったけど凄く美味しくて」
そこで話が止まる。
リンネの目を見て言おうとしていた言葉が消えた。
「僕は、えっと・・・名前は無くてですね」
名前がない。
それは嘘である。
自分には生まれて決まった名前がある。
だが、リンネには言えなかった。
リンネの家であろう、暖かな木造の家は自分の見たことのないものばかりでリンネの顔つきも自分達と幾らか違う。
自分が今、何処にいるのか分からないこの状況でも明らかにここが異国である事が分かった。
異国なら自分の名前を告げるのは危ない。
美味しい料理だったけど自分の身の安全を得るため嘘をついた。
「名前がないの?それは不便ね」
困ったわ どうしましょ
と、自分の嘘を疑う様子もなく彼女は何か悩んでいる。
ああでもない、こうでもない
彼女の呟きは以外にも長く終わったのは一刻は過ぎた頃だ。
リンネは笑顔で
「じゃあティノって呼ぶね」
と言った。
名前をつけられた。
初めて付けてもらった名前。
国じゃない名前。
リンネは笑顔で僕の名前を呼ぶ。
何だか嬉しくて恥ずかしい。
顔が熱くなるのを感じる。
「・・・リンネさん」
「はい」
「素敵な名前ありがとうございます」
ティノが礼を言うと、リンネはティノには聞こえない小さな声でやっと笑ったと呟く。
「何か飲む?っていっても井戸水が凍っちゃって知り合いから貰った蜂蜜酒しかないんだけど」
あはは、と苦笑いをして杯と壷を机の上に置く。
ティノは頂きますと壷と杯に手を伸ばす。
リンネは腰に白い布を巻き、ティノが食べた食事の食器を流しへ移動させる。
「あ、僕も手伝います」
蜂蜜酒の入った杯を机に置き、服の袖を捲る。
「いいのよ。ティノはお客様何だから座ってて」
「でも、僕いっぱい食べたし片付け位はしないと」
ティノの押しに負けてはいるが、まだ納得していない様なリンネにティノは笑いかけた。
「僕、知り合いには料理が不味いとよく言われるんですがお掃除とか片付けとかは早くて綺麗って評判がいいんですよ」
「うーん・・・じゃあ、お願いしてもいい?」
はい!とティノは力強く返事をする。
リンネが桶に溜めた水で食器を洗い、ティノがその濡れた食器を拭いていく。
山程あった食器達はすぐに洗い終わった。
ガタガタと打ち付ける風に硝子が揺れる。
「凄い風ですね」
「そうね。何時もはもっと穏やかなんだけど」
そう言えば、とティノは思い出したかの様に話を切り出す。
「僕、どうしてリンネさんの家にいたんですか」
本当、今更だが
「私が連れて来たの」
リンネの話ではこうだ。
今日は珍しく雪が降り、吹雪が起こり外に出れない。
日課の菜園いじりも外に出れないんじゃあ出来ず家にこもっていた。
「そんな時に扉を叩く音がしたの」
元々、人の出入りが激しい家だ。
リンネはすぐに出ようとした。
が、外は猛吹雪で時間としては夜である。
こんな日に
こんな時間に
疑問を感じ、扉を開けるのを止めた。
風のせいかもしれない。
そう思う事にしようとしているとまた、扉を叩く音。
しかも叩く音の間隔が短い。
軽く叩く音は次第に大きくなる。
「最後は恐かったなぁ、音が蹴ってるみたいな音なんだもん」
で、音に負けて扉を開けたんだよとリンネは笑って言う。
そんな事があったんだと相槌を打ちつつも、扉を開けて悪い人が入ってきたりしたらどうするつもりだったんだろう何て事を考えていた。
「開けたらティノが倒れてたの」
「え、僕、扉を叩いた覚えは」
「うん、分かってるよ。倒れてたティノの体に雪が積もってたから違う」
じゃあ、誰がと言えば
「妖精さんかしら」
「妖精・・・」
妖精はいるなんて随分メルヘンな女性だと思うのだが、もう何百年と妖精の存在を信じる知り合いがいた事を思い出す。
「妖精はいるわよ」
まるでティノの心を読むかのようにリンネは言う。
「妖精はいるの。私は見たことがないけど」
「リンネさんはどうして見たことのないものの存在を信じるんですか?」
「私の友達に妖精が友達って子がいるから
だから信じるの」
「友達が信じてるから信じる、ですか」
そうよ、と短く答えたリンネは小さく欠伸をする。
「久しぶりのお客様だからはしゃぎ過ぎて眠くなっちゃった」
「本当だ。外も真っ暗です」
そろそろどうしよっかと話していると聞こえる扉を叩く音。
その音に二人は顔を見合わせる。
「また、誰か倒れているのかしら」
「そんな。きっと風か何かですよ」
ティノが否定しているとまた扉を叩く音がする。
「やっぱり叩く音だわ。
はーい、すぐ開けます」
何も疑わず扉へと向かい、鍵を開けようとするリンネ。
止めるのだが、リンネは「大丈夫、大丈夫」と変な自信を持って鍵を開ける。
こうなったら、いざという時は僕がとティノが腰に付けたままだった短剣に手を伸ばしたのと鍵が開いたのは同時だった。
リンネは手を振って見送った。
見送りを惜しみつつ歩いて行けば手を振るリンネの姿も暖かな家の灯りも雪の白にに混じって消えていく。
「リンネさん、優しい人でしたね」
「ん・・・そだな」
「・・・」
「・・・」
会話終了。
違う、まだ終わってない。頭を左右に振って会話終了の文字を消す。
普段喋る機会がすくない人なのだからもっと話さなければ、と自分に言い聞かせる。
心の中で、よしっ!と勢い付けると適当な話題を探し話かけた。
「ノルウェーさん、リンネさんが呼んでたあの名前って・・・」
「リンネが付けてくれだ。国としてじゃなくで、俺個人の名前」
ノルウェーの言葉にやっぱりと顔を輝かせ、「僕も付けてもらったんです」と嬉しげに話す。
「よがったな、フィンランド」
「はい!あ、そう言えばどうしてノルウェーさんが僕を迎えにきて下さったんですか?」
「スーもデンもお前を心配するあまり喧嘩始めでな。喧嘩しても何も変わらねぇのに・・・」
ノルウェーは呆れて溜め息をつく。
だから、迎えに来たのがスーさんじゃなかったのかとフィンランドは納得した。
「ノルウェーさんが僕を迎えにきた理由は分かったんですが、どうして僕がリンネさんの家にいる事が分かったんですか?」
僕、スーさんとはぐれたまま遭難してたんですよ。
と、言えば
「妖精に聞いた」
と、短い答えが返ってくる。
また、メルヘンな事を言っているとか思ったのだが、彼が冗談を言っている様には見えなかった。
「フィンランド?」
「・・・妖精さん、ですかじゃあ、今度お会いできたときにでも今日のお礼しないとだめですね」
「そうしてぐれ、そしたら妖精達も喜ぶ」
ノルウェーがふっと笑う。
その背後に、影の様な、薄い姿が
"どういたしまして"
見えた、気がした。
妖精さん 妖精さん
(おっひゃあぁぁっ!!)
(どげしたフィンランド?)
(今、今、何か見えて!)
でも、立ち止まる事も出来ず僕は歩き続ける。
頼りにするのは自分の感覚だけ
こんな事になるのならちゃんと彼に付いていれば良かった。
いつも僕を気にかけてくれる顔の恐いあの人。
優しいのは知っている。
でもやっぱり恐くて少し後ろに下がっていたらこのざまだ。
歩かなければ
歩かなければ
そう思うのだが、お腹は空いているし寒いし雪が吹雪いていても夜は夜で暗い。
なんだかもう、限界だった。
足ががくがくして白い地面へ崩れる。
「あーあ、僕死んじゃうのかなぁ」
この状況下では笑えない冗談だが笑ってしまう。
死ぬと思いながらも死なないとも思っている自分。
「死なないよねこんな事じゃ。だって僕は国だもん」
僕の呟きは吹き荒ぶ雪に吸い込まれた。
楽しげな鼻歌が聴こえた。
それに美味しそうな匂いもする。
こんな鼻歌は・・・あの人達が唄う筈がない。
あの人達が鼻歌なんて想像できない。
するとしたら戦場とかぐらいだろう。
じゃあ、誰が?
鼻歌を唄う候補を頭が勝手に消していく。
そして候補は全てなくなった。
誰が 誰が 誰が
頭が働きぐるぐる回る。
でも誰か分からない。
『そろそろ起きたかなぁ』
優しそうな女性の声。
足音がこちらに向かって近づいてくる。
『あ、まだ寝てる・・・熱とかは出てないかな』
そう呟き触れた手は思っていたよりも冷たい。
冷たい手だ。
いつも僕には優しい彼の顔が頭に浮かんだところで頭が切り替わった気がする。
「あら、起きた」
妙に頭が覚めてきて目を開けた僕に彼女は微笑み「お粥と普通の料理、どっちがいい?」と尋ねてくる。
ここは何処なのかとか起きた挨拶とか僕には言うことがたくさんあったのにお腹が空いていた僕は
「どっちも頂きます」
と答えた。
がちゃがちゃと食器同士がぶつかる音と同時に皿に盛られた料理が消えていく。
いったい小さな体のどこにそれだけの料理が消えていくのかと思ってしまう程食べる少年の姿を女は顔色一つ変えず眺めていた。
起きたら食べるかもしれないとたくさん用意した女の料理は次々になくなり、残すは起きたばかりの胃を考慮したお粥だけ
しかもそれもすぐになくなってしまう。
作った料理がなくなり、女は話を切り出す。
「君はどこの子?名前は?」
尋ねた女は私はリンネよと向かい合い座る少年に名前を告げる。
「リンネさん・・・料理、凄く美味しかったです!見たことない料理ばかりだったけど凄く美味しくて」
そこで話が止まる。
リンネの目を見て言おうとしていた言葉が消えた。
「僕は、えっと・・・名前は無くてですね」
名前がない。
それは嘘である。
自分には生まれて決まった名前がある。
だが、リンネには言えなかった。
リンネの家であろう、暖かな木造の家は自分の見たことのないものばかりでリンネの顔つきも自分達と幾らか違う。
自分が今、何処にいるのか分からないこの状況でも明らかにここが異国である事が分かった。
異国なら自分の名前を告げるのは危ない。
美味しい料理だったけど自分の身の安全を得るため嘘をついた。
「名前がないの?それは不便ね」
困ったわ どうしましょ
と、自分の嘘を疑う様子もなく彼女は何か悩んでいる。
ああでもない、こうでもない
彼女の呟きは以外にも長く終わったのは一刻は過ぎた頃だ。
リンネは笑顔で
「じゃあティノって呼ぶね」
と言った。
名前をつけられた。
初めて付けてもらった名前。
国じゃない名前。
リンネは笑顔で僕の名前を呼ぶ。
何だか嬉しくて恥ずかしい。
顔が熱くなるのを感じる。
「・・・リンネさん」
「はい」
「素敵な名前ありがとうございます」
ティノが礼を言うと、リンネはティノには聞こえない小さな声でやっと笑ったと呟く。
「何か飲む?っていっても井戸水が凍っちゃって知り合いから貰った蜂蜜酒しかないんだけど」
あはは、と苦笑いをして杯と壷を机の上に置く。
ティノは頂きますと壷と杯に手を伸ばす。
リンネは腰に白い布を巻き、ティノが食べた食事の食器を流しへ移動させる。
「あ、僕も手伝います」
蜂蜜酒の入った杯を机に置き、服の袖を捲る。
「いいのよ。ティノはお客様何だから座ってて」
「でも、僕いっぱい食べたし片付け位はしないと」
ティノの押しに負けてはいるが、まだ納得していない様なリンネにティノは笑いかけた。
「僕、知り合いには料理が不味いとよく言われるんですがお掃除とか片付けとかは早くて綺麗って評判がいいんですよ」
「うーん・・・じゃあ、お願いしてもいい?」
はい!とティノは力強く返事をする。
リンネが桶に溜めた水で食器を洗い、ティノがその濡れた食器を拭いていく。
山程あった食器達はすぐに洗い終わった。
ガタガタと打ち付ける風に硝子が揺れる。
「凄い風ですね」
「そうね。何時もはもっと穏やかなんだけど」
そう言えば、とティノは思い出したかの様に話を切り出す。
「僕、どうしてリンネさんの家にいたんですか」
本当、今更だが
「私が連れて来たの」
リンネの話ではこうだ。
今日は珍しく雪が降り、吹雪が起こり外に出れない。
日課の菜園いじりも外に出れないんじゃあ出来ず家にこもっていた。
「そんな時に扉を叩く音がしたの」
元々、人の出入りが激しい家だ。
リンネはすぐに出ようとした。
が、外は猛吹雪で時間としては夜である。
こんな日に
こんな時間に
疑問を感じ、扉を開けるのを止めた。
風のせいかもしれない。
そう思う事にしようとしているとまた、扉を叩く音。
しかも叩く音の間隔が短い。
軽く叩く音は次第に大きくなる。
「最後は恐かったなぁ、音が蹴ってるみたいな音なんだもん」
で、音に負けて扉を開けたんだよとリンネは笑って言う。
そんな事があったんだと相槌を打ちつつも、扉を開けて悪い人が入ってきたりしたらどうするつもりだったんだろう何て事を考えていた。
「開けたらティノが倒れてたの」
「え、僕、扉を叩いた覚えは」
「うん、分かってるよ。倒れてたティノの体に雪が積もってたから違う」
じゃあ、誰がと言えば
「妖精さんかしら」
「妖精・・・」
妖精はいるなんて随分メルヘンな女性だと思うのだが、もう何百年と妖精の存在を信じる知り合いがいた事を思い出す。
「妖精はいるわよ」
まるでティノの心を読むかのようにリンネは言う。
「妖精はいるの。私は見たことがないけど」
「リンネさんはどうして見たことのないものの存在を信じるんですか?」
「私の友達に妖精が友達って子がいるから
だから信じるの」
「友達が信じてるから信じる、ですか」
そうよ、と短く答えたリンネは小さく欠伸をする。
「久しぶりのお客様だからはしゃぎ過ぎて眠くなっちゃった」
「本当だ。外も真っ暗です」
そろそろどうしよっかと話していると聞こえる扉を叩く音。
その音に二人は顔を見合わせる。
「また、誰か倒れているのかしら」
「そんな。きっと風か何かですよ」
ティノが否定しているとまた扉を叩く音がする。
「やっぱり叩く音だわ。
はーい、すぐ開けます」
何も疑わず扉へと向かい、鍵を開けようとするリンネ。
止めるのだが、リンネは「大丈夫、大丈夫」と変な自信を持って鍵を開ける。
こうなったら、いざという時は僕がとティノが腰に付けたままだった短剣に手を伸ばしたのと鍵が開いたのは同時だった。
リンネは手を振って見送った。
見送りを惜しみつつ歩いて行けば手を振るリンネの姿も暖かな家の灯りも雪の白にに混じって消えていく。
「リンネさん、優しい人でしたね」
「ん・・・そだな」
「・・・」
「・・・」
会話終了。
違う、まだ終わってない。頭を左右に振って会話終了の文字を消す。
普段喋る機会がすくない人なのだからもっと話さなければ、と自分に言い聞かせる。
心の中で、よしっ!と勢い付けると適当な話題を探し話かけた。
「ノルウェーさん、リンネさんが呼んでたあの名前って・・・」
「リンネが付けてくれだ。国としてじゃなくで、俺個人の名前」
ノルウェーの言葉にやっぱりと顔を輝かせ、「僕も付けてもらったんです」と嬉しげに話す。
「よがったな、フィンランド」
「はい!あ、そう言えばどうしてノルウェーさんが僕を迎えにきて下さったんですか?」
「スーもデンもお前を心配するあまり喧嘩始めでな。喧嘩しても何も変わらねぇのに・・・」
ノルウェーは呆れて溜め息をつく。
だから、迎えに来たのがスーさんじゃなかったのかとフィンランドは納得した。
「ノルウェーさんが僕を迎えにきた理由は分かったんですが、どうして僕がリンネさんの家にいる事が分かったんですか?」
僕、スーさんとはぐれたまま遭難してたんですよ。
と、言えば
「妖精に聞いた」
と、短い答えが返ってくる。
また、メルヘンな事を言っているとか思ったのだが、彼が冗談を言っている様には見えなかった。
「フィンランド?」
「・・・妖精さん、ですかじゃあ、今度お会いできたときにでも今日のお礼しないとだめですね」
「そうしてぐれ、そしたら妖精達も喜ぶ」
ノルウェーがふっと笑う。
その背後に、影の様な、薄い姿が
"どういたしまして"
見えた、気がした。
妖精さん 妖精さん
(おっひゃあぁぁっ!!)
(どげしたフィンランド?)
(今、今、何か見えて!)