キミと行く。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ふと、した時
地面が恋しくなる。
「なあ、リンネ姉ちゃん何しとん」
あんなにも照りつけていた日光が突然消えると、代わりに影が顔にかかる。
スペインが地面に寝転がるリンネに顔を覗きこませ尋ねてきた。
「なんだスペインさんの影だったんですか。
地面で大の字です」
スペインさんもやりますか?
と尋ねると「楽しそうやな」と返ってきた。
ダブル大の字で地面に寝転がる二人の姿はなかなか奇妙。
「なあ、これ楽しいん?」
「私は楽しいと言うより落ち着きますよ」
「ふうん。そうなんや」
ふわぁ、とスペインは欠伸をする。
「そういえばリンネ姉ちゃんって人間より、俺達と近いんやよな」
俺達とは"国"と近いと言っているのだろうか
リンネはう~んと考えた。
確かに数十年で死んでしまう人間よりも長く生きている気がする。
「どうなんでしょう?でも確かに長く生きていますし」
もし自分がただの人ならば燿と一緒にいる間に年老いて死んでいるだろう。
「もし、リンネ姉ちゃんが国やったらどんな国なんやろな~
国名はリンネ国やろ~」
「私の名前は国の名前じゃないですよ?
名前はある人から貰ったものです」
「そうなん?」
へーと声を上げるスペインに少しだけ昔話をした。
ぐずっ
ずびっ
「めっちゃええ話やん」
何故か正座をして目から溢れる涙を服の袖でふくスペイン。
そんなに泣く話をしたつもりじゃなかったんですが
目の前でぐずぐずと鼻を啜るスペインにリンネは困った。
スペインは目に残った涙を袖で全て拭く。
「でも、この話聞いたら俺も名前が欲しくなったはー」
「スペインさんは今の名前が好きじゃないんですか?」
リンネの問いかけにスペインは「そうやなー」と考える。
「何か国名ってどうも堅苦しいやろ?だからあんまり好きじゃないんやわ」
国名はあくまでも国名で
その者自身を示す名ではない。
「確かに堅苦しそうですね。特にこちらの国名は」
燿の所では一文字で済む国名が、こちらは何文字も必要になる。
「私、こちらに来て未だに読み書きが出来ませんもの」
「そうなん?それやったら今度、俺の所の言葉教えたるで」
「本当ですか!それは助かります」
「そのかわり」
スペインがにんまり笑う。
「そのかわり?」
何か食べたい物があったら作りますよ?
と、笑顔で言えば「ちゃうちゃう」とスペインは手を大袈裟に振る。
「俺にも人間みたいな名前付けてぇな」
「・・・へ?」
リンネの驚く声が庭一帯に響いた。
「いいやん!いいやん!俺だって国名とちゃう人間みたいな名前欲しいわ」
な?な?いいやろ?
そう言って、リンネの服を掴み上目遣いに見上げるスペイン。
最近、リンネは気付いたのだが
どうも彼女は子供達に甘えられると弱いようで、今スペインが見つめているように甘えられるととても弱い。
スペインに断れる理由もなく、しばらくしてリンネは折れた。
「分かりました。でもフランスさんやイタリアちゃん達には内緒ですよ」
居候の自分がそう易々と人様の子供に名前を付けてはどうかと思う。
そんな思いからの言葉にスペインは笑顔で頷く。
「良いで!俺は名前を付けてくれたリンネ姉ちゃんが呼んでくれるだけで満足やで」
「それは、嬉しい言葉です。
スペインさんの名前・・・」
ちょっと待って下さいね。
今、考えてますから
とリンネは頭を押さえ考えた。
さて、どんな名前を付けようか
「う~ん・・・」
何度、それを言ったのだろう。
リンネは名前を考えてから唸りっぱなしで、隣にいたスペインは眠そうな顔をしている。
「う~ん」
「今ので、五十回目な」
「え、そんなに言ってましたか?!う~んって」
「うん。ずっと言っとる
因みにさっきので五十一回や」
そんなに言っていたのかと、考えているとピンッと何か閃く。
「ア、アントーニョ何てどうですか?」
「アントーニョ?」
「はい・・・アントーニョです」
聞き返してからスペインは固まる。
やっぱり駄目だったか
リンネは小さくため息をついた。
そもそもこちらの名前がどういうものか分からない。
とりあえずそれっぽいモノを言ってみたがスペインさんのこの様子じゃ駄目だ。
何か言い名前は・・・
「アントーニョ!めっちゃいいやん」
きらきらと目を輝かせ、スペインはリンネの手を握った。
「なあ、リンネ姉ちゃん。アントーニョって呼んでくれへん?」
な?な?と顔を近づけねだるスペインにリンネはただ首を動かし頷く。
「・・・アントーニョ、さん」
リンネがスペインに言われるがままアントーニョとよぶととても嬉しそうな笑顔で「なに?」と返事をする。
その笑顔につられ、リンネも笑い「何でもありませんよ」と答えた。
新しい名前が出来ました。
(あ、でも名前の最後に"さん"はつけやんでもええで)
(そ、そうですか?)
(国名の方も"さん"つけやんでええからな)
(頑張ります)