彼女の朝はとても早い。


｢ん？もう、朝｣

フランスはだるそうに体を起こすと開いたままの扉から美味しそうな匂いが漂ってきた。
そのお腹を刺激する良い香りに残っていた眠気も消え、フランスはベッドから下りる。

向かい側のベッドにはスペインが意味の分からない寝言を言っていた。


起こさない様に、


フランスは極力足音も抑え部屋を出る。

｢リンネお姉さんもうこんな時間に起きているんだ｣

外を見れば日は出ているが、ついさっき昇ったばかりなのだろう。
そんな事を考えながらフランスさ鼻歌を歌いながら台所へ向かった。

＊

｢リンネお姉さ～ん｣
ひょっこりと部屋の入り口から顔をだしリンネの名を呼べば、料理を作りながらもリンネはにっこり微笑んだ。

｢おはようフランスさん｣

よく眠れた？と短い会話をして、フランスは流しを借りて顔を洗う。
早く起きてする事もないので、部屋に置かれた椅子に座る。

｢リンネお姉さんっていつもこんな時間に起きてるの？｣

｢うん、だいたいこれくらいかな？この後もする事はあるし｣

フランスと喋りながらもリンネは次々に料理を仕上げていく。

美味しそうな料理を見ている内にお腹が鳴った。

｢・・・・・・｣

ああ、俺とした事が

お腹の音で静かになる部屋。
フランスは鳴った自分のお腹に恥ずかしくなる。

ここはどう話を変えようかなんて考えていると

クスクスと小さな笑い声。

｢笑わないでよ。お姉さん｣

｢ふふっごめんなさい。あまりにも元気が良かったから｣

これでも我慢したんだよ。と言ったリンネの目には涙が溜まっている。

｢笑ったお詫びにどうぞ｣

机に置かれたのはリンネがさっきまで作っていた料理だろう。
器に入った料理は美味しそうに湯気を上げている。

ごくっと生唾を飲み込む。

ちらっとリンネを見れば｢食べていいのよ？｣と言われスプーンに手を伸ばした。












美味しい朝食。

(この事はイタリアちゃん達には内緒ね)
(ん、分かってるよ)


(ちょっとの優越感)