この屋敷は広いから一人ぐらいお手伝いさんを雇ったら？

て言ったらお爺ちゃんは｢そうだな｣と悩む様な素振りを見せた。

それから数日して何となく生活が変わったような気がする。


｢ヴ、ヴェ～｣

ごしごしと目を擦りながら台所に行くと美味しそうな匂いがした。
高い机に椅子を使って覗けば美味しそうな料理。

｢今日も作ってある｣

沢山の皿の上にのせられた料理の中には見た事もないのもあったけど、匂いを嗅いでみたら大丈夫。

絶対美味しい。

本当はお爺ちゃんや兄ちゃん達を待ってなくちゃいけないけど僕のお腹は待ちきれないと鳴いていた。

うん、僕も待ちきれない。

そう思い、一番手近にある卵料理に手を伸ばす。

｢今日のは甘いのかな？塩辛いのかな？どっちも好きだけど僕は｣

甘いのがいいな

まだほんのり温かい卵を行儀が悪いけど手で掴んで口元まで運ぶ。

甘い匂いがほんのりと鼻にした。

あ、甘い卵だ。


やった～！


｢あ、ヴェネチアーノ！何勝手に食べてんだよコノヤロー｣

｢ほんまやーあかんでイタちゃん、ご飯はみんなで揃ってて決めたやろー｣

｢ヴェー兄ちゃん、スペイン兄ちゃんも・・・ごめんなさい｣

見つかっちゃった。
卵食べたかったなぁ・・・

名残惜しいけど兄ちゃんが怒るから大人しく皿に戻す。

｢それにしてもいつも誰が作ってるんだろね｣

フランス兄ちゃんが机を覗きこむ。

｢ほんとやなーこの屋敷に俺等以外の奴がおるんやろか｣


僕達以外の人？ってことはお爺ちゃんがお手伝いさんを見つけてきたのかな？

｢おい、ヴェネチアーノ。朝飯の準備するぞ｣

｢は～い！｣












いただきます！

(美味しいね～)
(まあ、不味くはないよな)
(一体誰が作っとるんやろな)
(俺は綺麗なお姉さんだといいなー)