家を出て少し歩けば林の中。

林の中を何か目的があるわけでもなく適当に進む。

そういえば昔もこんな風に二人で散歩したな

なんてリンネが考えていると彼も同じ事を考えていた様で

｢リンネは覚えているあるか？昔もこうしてよく一緒に散歩をしたあるな｣

と笑顔で言った。

｢そうですね。散歩してると・・・うわぁっ｣

ずるっという音と共にリンネの体勢が崩れると、地面へ倒れそうになるリンネを彼は受けとめる。

｢リンネはこうやっていつも転びそうになってたあるな｣

｢でも、そんな私をあなたがいつも受け止めてくれました｣





｢しかし、リンネと一緒にいられるのはもう今日だけあるか｣

そう呟き彼は悲しそうな表情を浮かべた。

｢あ、すみません。でも私は｣

どうしてもあなたのお役にたちたかったそう言いかけると頭を撫でられる。
俯いていた顔をリンネが上げるとさっきの悲しい表情とは変わり彼は優しい笑みを浮かべていた。

｢分かっているあるよ。お前はいつも我の事を考えてくれている｣



大好きあるよ、リンネ



そう言って彼はリンネを抱き締めた。
始めは何が何だが分からなかったリンネだが、彼に抱き締められて徐々に視界が潤んでくる。

｢私も・・・私も、大好きです｣

今まで抑えていた涙が零れた。

ぼろぼろと真珠の様な大粒の涙がリンネの瞳から零れていく。

悲しいよりも

寂しいよりも


彼に初めて


『大好き』


と言われ、涙が止まらない。














嬉し涙。

(何で嬉し涙なんだろ？変なの)