｢それで、その方はどうしてしまったんですか｣

膝の上に座らされた少年は話の先が気になったようで早く、早くとせがむ。
その様子に彼はにっこりと苦笑いをし、何もない場所を見つめた。

｢リンネは宣言通り大秦にいったあるよ。
その時、リンネは我にまた大切なものをくれたね｣

＊

とうとう、リンネが大秦に行く日が明日に来た。
今まで、普段通り過ごしてきた二人もその日は朝から様子が違った。
お互いに喋らず黙っている。

｢今日はいい天気ですね｣

｢そうあるな｣


｢｢・・・・・・｣｣


｢リンネは昼は何が食べたいあるか？｣

｢なんでも良いです｣


｢｢・・・・・・｣｣


そんなお互いに何処か上の空なやり取りで時間は過ぎ、気付けばもう昼を過ぎていた。

明日からもう会えなくなるのに

そう思うリンネだが、彼の顔を見るだけで泣きそうな自分がいて、彼には自分の泣いているところを見られたくはなかった。

今日が一緒にいられる最後の日なのにこうやって終わってしまうのか

そう思うと寂しく悲しくなる。


｢・・・でも明日になるまでにあれだけは言わなくちゃ｣

｢何、一人でぶつぶつ言ってるあるか｣

｢ひぃやぁっっ！｣

突然、耳元で聞こえた彼の声にリンネは思わず奇声にも似た声をあげる。

呆れての溜め息か、声の聞こえた後ろを振り向けば彼が立っていた。

分かっていながらも振り向いてしまった自分に後悔し、涙腺が緩むのを感じてリンネは彼から視線を反らす。

｢凄い奇声あるな｣

｢あなたが嚇かすからですよ。何か用ですか？｣

そう訪ねると彼は答えるより先にリンネと手を繋ぐ。

｢散歩に行くあるよ！｣

今からですか？というリンネの声も無視して彼はリンネを家から連れ出した。












さあ、彼女の話をしよう。
(哥哥の昔の話ですか？)(そうあるよ。昔のうんと昔の話ある)