次の日、起きると彼はいつもと変わらない笑顔だった。

｢リンネ、早く起きるね。朝飯はもう出来てるあるよ｣

いつもと変わらない風景に戸惑いながらも私は身仕度をして朝餉を済ます。

｢今日は良い天気あるからな。家の周りの草抜きでもするあるか｣

｢え～・・・良い天気って外、凄く日射しが強いですよ｣

｢だからって部屋に籠って書物でも読むあるか？｣

｢・・・草抜きします｣



その日は１日家の周りの草抜きをした。
気付いた頃には時は夕暮れ。
太陽は西の山に沈みかかっている。
蝉の鳴き声も変わり涼しくなっていた。

｢もう夏も終わりか｣

ふと、そう思う。
彼に拾ってもらってからここで何年も過ごしている。
けれどその生活はもう少しで終わる。

季節が変わる前には自分はもうここにはいない。

そう思うと胸の奥が苦しくなった。



彼と一緒にいられるのも後少し・・・

｢私は何をしたら喜んでくれるだろ｣













あなたに喜んでいただけるなら

(あなたの嬉しい顔が見たいだけ)