籠の中の鳥(複数/黒執事)
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彼女はまさに籠の中の鳥だった。
黒い籠の中、白い翼を折り曲げて僕に笑いかける。
『震えてる』
『恐いの?』
『寂しい?』
『そう、私と一緒だね』
そう言ってずっと僕を檻の中で抱き締めてくれていた。
『この白い羽根、本物かしら偽物かしら?』
止めて
『そんなもの切ってみれば分かる事さ』
連れていかないで
『さあ、メインの前に前菜といこうではないか』
そう言って男は彼女に斧を降り下ろした。
目の前で彼女の羽根を切り落とされる。
『うわあああああああッ!!!」
「シエル、シエル」
起きて、とぼやけた視界に紫の瞳が飛び込んでくる。
馬車の揺れに擦れた帽子を直して、自分に跨がる様に座るユメをシエルは無言で抱き締めた。
「大丈夫だよ。怖くない、
怖くないよ」
抱き締め返されて伝わる体温に不安だった気持ちが不思議と無くなっていく。
「坊ちゃん」
「何だセバスチャン」
「皆さんが見ていますよ」
セバスチャンの指摘に辺りを見渡せば四方八方からの突き刺さる様な使用人達の視線。
しかも屋敷の使用人だけならまだしもそうではない馬車を操る騎手迄も見ていた。
「見るな!僕は見世物じゃない」
その言葉でやっと突き刺さる様な視線がなくなる。
怒鳴り声にも似たシエルの声に驚いたのか抱きついていたユメはそっと離れた。
「シエル、恐い」
「おや、坊ちゃんユメ様に嫌われてしまいましたね」
そう言ったセバスチャンは笑みを浮かべている。
こいつはまた腹の中で楽しんでいるな
「五月蝿いぞセバスチャン・・・」
「これは失言でしたね」
コン コン
噎せる様なか細い咳が隣から聞こえる。
咳はユメからだった。
何度も体を揺らして咳をするユメの背中をシエルは慌てて擦る。
「皆さん窓を開けて下さい馬車の空気を入れ換えなければ」
セバスチャンがそう指示すると使用人達は慌てて窓を開けた。
その間にセバスチャンはあらかじめ用意していたのであろうお茶を用意する。
「どうぞ」
差し出されたお茶を飲み、やっとユメの咳は止まる。
「ありがとう、セバスチャンさん」
「うわぁ、大きいお船!」
フィニの言葉に皆が窓から外を覗く。
人が小さく見える程の巨体に各々に驚きの声が上がる。
「さあ、もうすぐ降りるのですから坊ちゃんとユメ様以外は降りる準備を・・・
タナカさんは何時も通りで」
手を叩き指示するセバスチャンに使用人達は準備を始める。
「私も・・・!」
「ユメは大人しくしてろ。そうじゃなくても狭い馬車内でユメ迄動かれると困る」
忙しなく何か仕事を始める使用人達に流されそうになるユメをシエルは止めた。
ユメが大人しく座ったのを見てシエルは溜め息をつく。
「やはり、まだ外が恐いか?」
「・・・・・・うん」
そう言ったユメの手を掴むとシエルは強く握った。
「大丈夫だ。僕はあの時の様に手を離したりしない
絶対に」
「・・・うん。私もシエルから離れたりしない」
黒い籠の中、白い翼を折り曲げて僕に笑いかける。
『震えてる』
『恐いの?』
『寂しい?』
『そう、私と一緒だね』
そう言ってずっと僕を檻の中で抱き締めてくれていた。
『この白い羽根、本物かしら偽物かしら?』
止めて
『そんなもの切ってみれば分かる事さ』
連れていかないで
『さあ、メインの前に前菜といこうではないか』
そう言って男は彼女に斧を降り下ろした。
目の前で彼女の羽根を切り落とされる。
『うわあああああああッ!!!」
「シエル、シエル」
起きて、とぼやけた視界に紫の瞳が飛び込んでくる。
馬車の揺れに擦れた帽子を直して、自分に跨がる様に座るユメをシエルは無言で抱き締めた。
「大丈夫だよ。怖くない、
怖くないよ」
抱き締め返されて伝わる体温に不安だった気持ちが不思議と無くなっていく。
「坊ちゃん」
「何だセバスチャン」
「皆さんが見ていますよ」
セバスチャンの指摘に辺りを見渡せば四方八方からの突き刺さる様な使用人達の視線。
しかも屋敷の使用人だけならまだしもそうではない馬車を操る騎手迄も見ていた。
「見るな!僕は見世物じゃない」
その言葉でやっと突き刺さる様な視線がなくなる。
怒鳴り声にも似たシエルの声に驚いたのか抱きついていたユメはそっと離れた。
「シエル、恐い」
「おや、坊ちゃんユメ様に嫌われてしまいましたね」
そう言ったセバスチャンは笑みを浮かべている。
こいつはまた腹の中で楽しんでいるな
「五月蝿いぞセバスチャン・・・」
「これは失言でしたね」
コン コン
噎せる様なか細い咳が隣から聞こえる。
咳はユメからだった。
何度も体を揺らして咳をするユメの背中をシエルは慌てて擦る。
「皆さん窓を開けて下さい馬車の空気を入れ換えなければ」
セバスチャンがそう指示すると使用人達は慌てて窓を開けた。
その間にセバスチャンはあらかじめ用意していたのであろうお茶を用意する。
「どうぞ」
差し出されたお茶を飲み、やっとユメの咳は止まる。
「ありがとう、セバスチャンさん」
「うわぁ、大きいお船!」
フィニの言葉に皆が窓から外を覗く。
人が小さく見える程の巨体に各々に驚きの声が上がる。
「さあ、もうすぐ降りるのですから坊ちゃんとユメ様以外は降りる準備を・・・
タナカさんは何時も通りで」
手を叩き指示するセバスチャンに使用人達は準備を始める。
「私も・・・!」
「ユメは大人しくしてろ。そうじゃなくても狭い馬車内でユメ迄動かれると困る」
忙しなく何か仕事を始める使用人達に流されそうになるユメをシエルは止めた。
ユメが大人しく座ったのを見てシエルは溜め息をつく。
「やはり、まだ外が恐いか?」
「・・・・・・うん」
そう言ったユメの手を掴むとシエルは強く握った。
「大丈夫だ。僕はあの時の様に手を離したりしない
絶対に」
「・・・うん。私もシエルから離れたりしない」