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招いた覚えはない。
それどころか会った事もない筈なのに彼女は私を見るなり嬉しそうな顔をして
「孔明様!」
と、呼んだ。
「あなたは誰ですか?」
尋ねた瞬間に彼女の表情は笑顔から落胆へと変わる。
何か言いたげな様だったが口を開く事はなく少し間を置いてから
「そういえば孔明様とは初対面でしたね」
と笑った。
着ている服から古代人の様だが部屋に置かれた機材に驚いている様子は無く、寧ろ慣れている様にも見える。
分からない。
先程の言動も
この時代の人間なのかも
害をなすのかなさないかも
じっと見つめる諸葛亮の視線に気付いてか少女は苦笑いを浮かべて
「私は孔明様の味方です」
と言った。
まるで自分の心の内を呼んだかの様に答えた少女に諸葛亮は眉をひそめる。
「私は今も昔も、未来も孔明様の味方です」
「昔も未来もってあなたは、一体何者何ですか?」
もうわけが分からない。
何者なのかも
どうやってここに入ったのかも
何が目的なのかも
「私は、
運命を変える者です」
「ユメ、このデータの入力お願いしますね」
そう言って机に紙の束を置けば「はい」と元気な返事が返ってきた。
彼女もといユメは中々使える。
突然私のもとに現れたユメは古代人の格好をしていたがこの部屋にあった機材は全て使えたし古代人としての知識、技術も持っていた。
「孔明様、入力終わりました」
それに仕事は早い。
「そうですか。ご苦労様です」
フリルが沢山付いたヘッドドレスをずらさないようによしよしなんて撫でれば子供の様に喜ぶユメ。
いや、子供と言うよりも猫かもしれない。
「何か飲み物を用意しましょうか」
「いえ、もう夜遅いですしあなたは眠りなさい」
仕事が出来て色々と気が利くユメだが面倒臭い所もある。
「孔明様は?」
大きな翠の瞳で私を見つめるのは一緒に寝ないのかと訴える為。
只の子供なら放っておくであろう私は何故かこの翠の瞳に弱い。
「・・・私も寝ます」
「やったぁ!じゃあ寝間着に着替えて着ます」
先にベッドにいて下さいとユメは部屋を出た。
そこで思わずため息が出る。
「私は何をやっているんでしょう」
見知らぬ少女を一緒に住まわして
仕事を手伝わせ
一緒に寝ている。
考えれば考える程、自分は何をしているんだ言いたくなってまたため息をついた。
「またため息をついてる。
幸せが逃げますよ?」
部屋の外から中を伺う様に顔を出したユメはため息をつく諸葛亮を笑った。
誰のせいでため息をついているんだと思った諸葛亮にユメは
「まあ、原因は私のせい何でしょうけど」
笑った。
ユメは会った時から諸葛亮が思っている事を言い当てている。
あまりにも心の内を読むので諸葛亮はどうして分かるのかユメに尋ねた事があったが答えは
『長く付き合えば分かります』
と謎な返しをされた。
ユメは会った時から謎だった。
初対面だと自分から言っておいて諸葛亮と前から付き合いがあるかの様な言動をするのだ。
「今日もぎゅーってして良いですか?」
「どうぞお好きになさい」
一緒にベッドで眠る様になり初めてこの要求をされた時は断っていた諸葛亮であったが、やはりあの翠の瞳に負けてから抱きつかれて眠る様になってだいぶ慣れていた。
ユメは眠ると鼾もかかず歯軋りもしない。
それどころか眠っていると死人の様に大人しくて抱きつかれても
鬱陶しさはなく、子供独特の体温が諸葛亮に安眠を与えてくれる。
真っ暗な天井を見つめていた諸葛亮は「そうだ」と思った。
「訊いてもいいですか」
「・・・はい、」
「あなたは以前、私に何者かと尋ねられた時に自分は運命を変える者だと答えましたがどういう意味なんですか?」
諸葛亮の問いにユメは口を閉ざしたままだった。
暫くして「ま、いっか」なんて呟きが聴こえる。
「そのままの意味です。私は孔明様の運命を変える為にここにやって来ました」
「私の、ですか?」
抱きつくユメの手から逃れて体を起こした諸葛亮は暗闇に慣れた目でユメを見た。
暗闇に溶けてしまったユメの瞳の翠は今は真っ黒で、それでもやはり効果はありそうな気がする。
「孔明様のです。
本当は言わないつもりでしたけど私は未来から来たわけでもなく違う世界からきました」
「異世界から、という事ですか?そんなまさか」
ありえないと笑った諸葛亮にユメは珍しく反論した。
「それがあり得るんです。
私は違う世界から来ました。
運命を変える為に世界から世界へと飛んでこの世界へと来た」
「面白い冗談ですね」
「冗談じゃありません」
真面目な顔をしたユメに諸葛亮は冗談を言っているとは思えなくなってくる。
むくりと、諸葛亮の様に体を起こしたユメは諸葛亮の目を見つめた。
「今度こそ、
今度こそ、
私はこの袋小路の様な運命から孔明様を出して見せます。
絶対にどんな手を使っても孔明様を、
あなた様を・・・」
ぽろりとユメの瞳から涙が零れた。
ぼろぼろと零れる涙を気にする様子はなくユメは言葉を続ける。
「だから、
どんな事が起こっても諦めないで下さい。
絶対に諦めないで前へ進み続けて下さい。
私は進むあなたを全力で守ります
だから、
だから・・・」
顔を俯かせたユメの肩に諸葛亮は手を置く。
「馬鹿ですね。
私にだって目的があるんです。そう簡単には諦めるなんて事はしませんよ」
「孔明様・・・
っ・・・そうですよね!!」
「そうです」
涙が止まり何時もの笑顔を見せたユメに諸葛亮は笑って頷くとユメの体をベッドへ寝かせる。
それに続いて諸葛亮も横になると布団をかけてユメを抱き締めた。
「さあ、もう眠りましょう。
明日も早いんです」
「はい」
変える者
瞼を閉じた諸葛亮は暫くして目を開けた。
「あの、後一つ質問なのですが」
寝ているか、と思った諸葛亮であったがユメもまだ眠っていなかった様ですぐに返事が返ってくる。
「あなたが異世界の住人というのは信じます。
あなたは別の世界からこの世界にやって来たなんて言いましたがあなたが元いた世界の人々は異世界に飛ぶなんて事が出来たんですか?」
「出来ません。
この異世界に飛ぶ力は死んでから手に入れました」
ユメの「死んだ」発言に諸葛亮は驚いた。
ユメは確かに死んだと言ったが自分が抱き締めている体からはちゃんとした体温を感じるのだ。
「私は確かに死にました。
その世界で孔明様を失い、
叫んで
泣いて
恨んで
泣いて
泣いて死にました。
衰弱死です」
最後はがりがりだったんですよ、何てユメは笑っていたが諸葛亮は笑えなかった。
そんな彼の反応に苦笑いをしながらもユメは話す。
「私、最後まで世界を恨んだんです。
世界を恨んで神様を恨んだ」
"どうして殺したんですか"
どうして、
返してよ
「恨んで死んだからその後もずっと恨みだけが残ってて、
そんな私に目を付けたのが"奴"」
「"奴"とは誰なんです」
諸葛亮の疑問にユメは分からないと答えた。
「たぶん、私達の世界でいう神様
で、超~!の付く暇人。
"奴は"色々な世界から納得出来ない者を集めて言ったんです」
『お前達に望む力をやろう
その力を使い自分の納得する世界を作るがいい』
「だから私は"奴"から飛ぶ力と運命を変えるだけの力、
それに各世界の記憶を留める力を貰いました」
「なるほど、・・・ちょっと待って下さい。運命を変える力を貰ったのなら飛んですぐの世界であなたは世界を変えたのではないですか?」
「・・・さっきも言いましたが"奴"は超のつく暇人なんです。
運命を只変えるだけじゃつまらないから変えは運命をまた正しい方向へ修正する。
運命はその世界に一本です。
私には過去に戻る力がないから変えた運命を元に戻されるとどうする事も出来ない」
変えた運命が元に戻されている事に気付いた時にはいつも手遅れだった。
その度に叫ぶ私、
そんな私を笑う天の声。
「次こそは、次こそは、って世界を飛んでこの世界にきました。
あれ?何の話をしてましたっけ?あ、私の元いた世界の人は皆、異世界に飛べるのかでしたよね。
たぶん元いた世界で飛べるのは私だけです。
でも"奴"に集められた人間は全員飛べますよ」
黙ってしまった諸葛亮に「何だか暗くなっちゃいましたね」とユメは笑った。
「でも、大丈夫です」
何が大丈夫なのか思った諸葛亮の体にユメは跨ぐ。
瞳を近付けたユメは笑ったまま。
「今の話はすぐに忘れてしまいますから」
真っ暗な暗闇の筈なのに確かにユメの瞳に翠を見る。
見た瞬間に諸葛亮を襲った眠気は抵抗する暇を与える事もなく諸葛亮を眠りに落とす。
諸葛亮が完全に眠った事を確認してユメは再度、彼に抱きついた。
「おやすみなさい孔明様・・・」
それどころか会った事もない筈なのに彼女は私を見るなり嬉しそうな顔をして
「孔明様!」
と、呼んだ。
「あなたは誰ですか?」
尋ねた瞬間に彼女の表情は笑顔から落胆へと変わる。
何か言いたげな様だったが口を開く事はなく少し間を置いてから
「そういえば孔明様とは初対面でしたね」
と笑った。
着ている服から古代人の様だが部屋に置かれた機材に驚いている様子は無く、寧ろ慣れている様にも見える。
分からない。
先程の言動も
この時代の人間なのかも
害をなすのかなさないかも
じっと見つめる諸葛亮の視線に気付いてか少女は苦笑いを浮かべて
「私は孔明様の味方です」
と言った。
まるで自分の心の内を呼んだかの様に答えた少女に諸葛亮は眉をひそめる。
「私は今も昔も、未来も孔明様の味方です」
「昔も未来もってあなたは、一体何者何ですか?」
もうわけが分からない。
何者なのかも
どうやってここに入ったのかも
何が目的なのかも
「私は、
運命を変える者です」
「ユメ、このデータの入力お願いしますね」
そう言って机に紙の束を置けば「はい」と元気な返事が返ってきた。
彼女もといユメは中々使える。
突然私のもとに現れたユメは古代人の格好をしていたがこの部屋にあった機材は全て使えたし古代人としての知識、技術も持っていた。
「孔明様、入力終わりました」
それに仕事は早い。
「そうですか。ご苦労様です」
フリルが沢山付いたヘッドドレスをずらさないようによしよしなんて撫でれば子供の様に喜ぶユメ。
いや、子供と言うよりも猫かもしれない。
「何か飲み物を用意しましょうか」
「いえ、もう夜遅いですしあなたは眠りなさい」
仕事が出来て色々と気が利くユメだが面倒臭い所もある。
「孔明様は?」
大きな翠の瞳で私を見つめるのは一緒に寝ないのかと訴える為。
只の子供なら放っておくであろう私は何故かこの翠の瞳に弱い。
「・・・私も寝ます」
「やったぁ!じゃあ寝間着に着替えて着ます」
先にベッドにいて下さいとユメは部屋を出た。
そこで思わずため息が出る。
「私は何をやっているんでしょう」
見知らぬ少女を一緒に住まわして
仕事を手伝わせ
一緒に寝ている。
考えれば考える程、自分は何をしているんだ言いたくなってまたため息をついた。
「またため息をついてる。
幸せが逃げますよ?」
部屋の外から中を伺う様に顔を出したユメはため息をつく諸葛亮を笑った。
誰のせいでため息をついているんだと思った諸葛亮にユメは
「まあ、原因は私のせい何でしょうけど」
笑った。
ユメは会った時から諸葛亮が思っている事を言い当てている。
あまりにも心の内を読むので諸葛亮はどうして分かるのかユメに尋ねた事があったが答えは
『長く付き合えば分かります』
と謎な返しをされた。
ユメは会った時から謎だった。
初対面だと自分から言っておいて諸葛亮と前から付き合いがあるかの様な言動をするのだ。
「今日もぎゅーってして良いですか?」
「どうぞお好きになさい」
一緒にベッドで眠る様になり初めてこの要求をされた時は断っていた諸葛亮であったが、やはりあの翠の瞳に負けてから抱きつかれて眠る様になってだいぶ慣れていた。
ユメは眠ると鼾もかかず歯軋りもしない。
それどころか眠っていると死人の様に大人しくて抱きつかれても
鬱陶しさはなく、子供独特の体温が諸葛亮に安眠を与えてくれる。
真っ暗な天井を見つめていた諸葛亮は「そうだ」と思った。
「訊いてもいいですか」
「・・・はい、」
「あなたは以前、私に何者かと尋ねられた時に自分は運命を変える者だと答えましたがどういう意味なんですか?」
諸葛亮の問いにユメは口を閉ざしたままだった。
暫くして「ま、いっか」なんて呟きが聴こえる。
「そのままの意味です。私は孔明様の運命を変える為にここにやって来ました」
「私の、ですか?」
抱きつくユメの手から逃れて体を起こした諸葛亮は暗闇に慣れた目でユメを見た。
暗闇に溶けてしまったユメの瞳の翠は今は真っ黒で、それでもやはり効果はありそうな気がする。
「孔明様のです。
本当は言わないつもりでしたけど私は未来から来たわけでもなく違う世界からきました」
「異世界から、という事ですか?そんなまさか」
ありえないと笑った諸葛亮にユメは珍しく反論した。
「それがあり得るんです。
私は違う世界から来ました。
運命を変える為に世界から世界へと飛んでこの世界へと来た」
「面白い冗談ですね」
「冗談じゃありません」
真面目な顔をしたユメに諸葛亮は冗談を言っているとは思えなくなってくる。
むくりと、諸葛亮の様に体を起こしたユメは諸葛亮の目を見つめた。
「今度こそ、
今度こそ、
私はこの袋小路の様な運命から孔明様を出して見せます。
絶対にどんな手を使っても孔明様を、
あなた様を・・・」
ぽろりとユメの瞳から涙が零れた。
ぼろぼろと零れる涙を気にする様子はなくユメは言葉を続ける。
「だから、
どんな事が起こっても諦めないで下さい。
絶対に諦めないで前へ進み続けて下さい。
私は進むあなたを全力で守ります
だから、
だから・・・」
顔を俯かせたユメの肩に諸葛亮は手を置く。
「馬鹿ですね。
私にだって目的があるんです。そう簡単には諦めるなんて事はしませんよ」
「孔明様・・・
っ・・・そうですよね!!」
「そうです」
涙が止まり何時もの笑顔を見せたユメに諸葛亮は笑って頷くとユメの体をベッドへ寝かせる。
それに続いて諸葛亮も横になると布団をかけてユメを抱き締めた。
「さあ、もう眠りましょう。
明日も早いんです」
「はい」
変える者
瞼を閉じた諸葛亮は暫くして目を開けた。
「あの、後一つ質問なのですが」
寝ているか、と思った諸葛亮であったがユメもまだ眠っていなかった様ですぐに返事が返ってくる。
「あなたが異世界の住人というのは信じます。
あなたは別の世界からこの世界にやって来たなんて言いましたがあなたが元いた世界の人々は異世界に飛ぶなんて事が出来たんですか?」
「出来ません。
この異世界に飛ぶ力は死んでから手に入れました」
ユメの「死んだ」発言に諸葛亮は驚いた。
ユメは確かに死んだと言ったが自分が抱き締めている体からはちゃんとした体温を感じるのだ。
「私は確かに死にました。
その世界で孔明様を失い、
叫んで
泣いて
恨んで
泣いて
泣いて死にました。
衰弱死です」
最後はがりがりだったんですよ、何てユメは笑っていたが諸葛亮は笑えなかった。
そんな彼の反応に苦笑いをしながらもユメは話す。
「私、最後まで世界を恨んだんです。
世界を恨んで神様を恨んだ」
"どうして殺したんですか"
どうして、
返してよ
「恨んで死んだからその後もずっと恨みだけが残ってて、
そんな私に目を付けたのが"奴"」
「"奴"とは誰なんです」
諸葛亮の疑問にユメは分からないと答えた。
「たぶん、私達の世界でいう神様
で、超~!の付く暇人。
"奴は"色々な世界から納得出来ない者を集めて言ったんです」
『お前達に望む力をやろう
その力を使い自分の納得する世界を作るがいい』
「だから私は"奴"から飛ぶ力と運命を変えるだけの力、
それに各世界の記憶を留める力を貰いました」
「なるほど、・・・ちょっと待って下さい。運命を変える力を貰ったのなら飛んですぐの世界であなたは世界を変えたのではないですか?」
「・・・さっきも言いましたが"奴"は超のつく暇人なんです。
運命を只変えるだけじゃつまらないから変えは運命をまた正しい方向へ修正する。
運命はその世界に一本です。
私には過去に戻る力がないから変えた運命を元に戻されるとどうする事も出来ない」
変えた運命が元に戻されている事に気付いた時にはいつも手遅れだった。
その度に叫ぶ私、
そんな私を笑う天の声。
「次こそは、次こそは、って世界を飛んでこの世界にきました。
あれ?何の話をしてましたっけ?あ、私の元いた世界の人は皆、異世界に飛べるのかでしたよね。
たぶん元いた世界で飛べるのは私だけです。
でも"奴"に集められた人間は全員飛べますよ」
黙ってしまった諸葛亮に「何だか暗くなっちゃいましたね」とユメは笑った。
「でも、大丈夫です」
何が大丈夫なのか思った諸葛亮の体にユメは跨ぐ。
瞳を近付けたユメは笑ったまま。
「今の話はすぐに忘れてしまいますから」
真っ暗な暗闇の筈なのに確かにユメの瞳に翠を見る。
見た瞬間に諸葛亮を襲った眠気は抵抗する暇を与える事もなく諸葛亮を眠りに落とす。
諸葛亮が完全に眠った事を確認してユメは再度、彼に抱きついた。
「おやすみなさい孔明様・・・」
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