創作刀剣男士
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「だーかーらー何度も言ってるけどそんなすぐ帰ってこいなんて無理なんだって」
電話口で無茶を言う母親にななしは机に項垂れながら言った。
『あんたそう言って正月もお盆も帰ってこないじゃないの!!』
母親の言う通りいついつの連休に、親戚が集まるからと、何ヶ月も前から催促されてもななしがこれまで実家に帰る事はなかった。
帰ったら最後、結婚コールに孫の催促ではないかと内心思うななしであるが、言えば何倍にもなって帰って来るのをこれまで何度も経験しているだけに大人しく口をつぐむ。
『あんたに来て貰わないと困るのよ』
急に弱々しくなった母親の声に家族の誰かに何かあったのかとななしは不安になり、机にもたれ掛かっていた身体を起こした。
『今度、蔵の掃除をするんだけど何か曰く付きの物でもあったら大変じゃない?せっかくうちには審神者になった息子がいるんだし、何かあったら除霊してもらおうと思って』
軽い調子で話した母親にななしは脱力する。
再び机に凭れ掛かったななしは溜息を吐いた。
「前々から思ってたけど母ちゃん、審神者を陰陽師か何かと勘違いしてない?!」
『あら、違うの?審神者でも陰陽師でも何でも良いのよ。兎に角、再来週の日曜日はよろしくね』
一方的に電話を切られたななしは顔を両手で覆い、そのまま畳へと倒れ込んだ。
「あーもー!母ちゃんはいつも、突然、無茶を振ってくる!!」
幾ら母親とはいえ腹が立つと声を上げたななし。
埃が立つのも構わず足をバタつかせて畳を叩いた。
そうして暫く、落ち着きを取り戻したななしは身体を起こすと自分の後方に控えていた前田藤四郎に声をかけた。
「前田、再来週のスケジュール調整出来る?」
「はい、問題ありません。政府へ外出の申請もしておきましょうか」
「ん、お願い」
そうして先程の行動は無かったかの様に机に向かい直したななしは母親からの電話で中断となっていた仕事を再開させた。
「まあ!本当に来てくれるとは思わなかった」
顔を合わせるなり態とらしく驚いて見せた母親にななしは口元をひくつかせる。
「帰って来るんじゃなかった」
「冗談よ冗談!ほら、時間は有限よ!」
忌々しげに呟いたななしを見て母親は笑った。
そして背中を押して家の敷地内へと誘導する。
「言っとくけどやばいのがあるかないか見るだけだからな」
「もやしっ子のあんたに期待してないわよ。その代わりやばいのがいたらばっちり祓って頂戴よ!」
言外に力仕事を拒否するななし。
そんなななしに相変わらず母親は笑っていた。
息子の背中を叩いてけらけらと笑う母親に呆れながらも、ななしがちらりと視線を横に向ければ護衛兼、お祓い要員として連れて来た石切丸が任せてと言わんばかりに頷いてくれる。
もし、母親の言うやばいのがいても石切丸がいれば何も問題はないだろうとななしは蔵へと足を進めた。
蔵の前には父親が既に待機しており、互いに挨拶を交わすと軽く近況の報告をし合った。
さて、とななしは漆喰の白が眩しい蔵を見上げた。
一般の家庭ならば幾ら蔵があるとはいえその中に曰く付きの物があると思わない。
しかしななしと、その家族はこの蔵に何か一つぐらいはあると確信していた。
というのも、ななしの祖父が大変な好事家で、いわゆるオカルトに分類されるものを集めるのが趣味であった。
祖父は幼少期に幽霊を見たと言うのだが、それが誰にも信じてもらえず、自分の話を信じてもらうには幽霊の存在を証明しなければとなったらしい。
そしてそれなりに裕福だった祖父は西から東へとそう言った類いの物を集めてはこの蔵へと仕舞い込んでいた。
母親と父親が話している隙にななしは石切丸の側へと寄った。
「どう?やばいものとかありそう??」
「今の所は何も感じないよ」
「マジで?」
石切丸の返答にななしはそれは残念そうに応えた。
そんなななしに石切丸は苦笑いを浮かべる。
「確か僕の記憶では呪具でも出てくると対処出来ないからと、君から護衛をお願いされた筈なんだけど」
だというのにななしの態度は呪具の一つでも出てきてほしいという態度であった。
「いや、その時は確かにそう思ったんだけど近頃何かと物騒じゃん?」
見習いを受け入れたら呪具に刀剣男士が惑わされて乗っ取られたーというのが近頃の流行りである。
そんな流行りは嫌だし、本丸を乗っ取られるのはもっと嫌である。
「せっかくだから相手の呪具に対抗出来る強い呪具でも出てきたらなーと思いまして」
「呪具に呪具をぶつけるとは、主は恐ろしい事を考えるね」
「え、駄目な感じ?」
ななしなりに妙案と思っていたのだ。
決して最近見たホラー映画に影響を受けた訳ではない。
「上手いこと互いの力を打ち消すならいいけど場合によっては呪具の効果を高めてしまう恐れもある」
それこそ石切丸達でも対処出来なくなってしまう可能性も有ると聞いて、ななしは顔色を青褪めさせた。
「呪具なんて止めよう!何事も堅実に行くのが一番だ!」
石切丸の言葉を聞いてすぐさま考えを改めたななしは拳を突き上げ宣言した。
「という訳で、呪具らしき物が見つかったらすぐさま浄化をお願いします!!」
腰を直角に曲げて頭を下げたななしに石切丸は「任された」と笑いながら答えた。
ちなみにこのやりとり、石切丸の姿が見えないななしの両親にはただ、息子が一人でを騒いでいる様にしか見えていない。
その為、両親共にうちの子は色々と大丈夫なのだろうかと心の底から心配されているのだが、石切丸との会話しているななしは知る由もなかった。
「うへぇ」
蔵の中は家族が定期的に空気を入れているとはいえ埃っぽい。
度々、咳き込みながらななしは石切丸を先頭にして蔵の中を進んだ。
右を見れば鏡に水晶玉、それから何かよく分からない像。
左を見れば古い背表紙の本がずらりと並んでいた。
「これは全て主のお祖父さんが集めたのかい?」
蔵いっぱいに積み上げられたその物量は石切丸も目を見張る程である。
「うん。当時、爺ちゃんの事業が軌道に乗っててさ。元々うちは裕福だったらしいしから余計ね」
その為、祖父は有り余る財産で世界各地から怪しげな逸品、珍品を掻き集めていた。
おかげでななしの父親の代になってから家の財政は散々で、祖父が行っていた事業も土地も他人へと売りに出した程である。
それでも祖父がこさえた負債は未だ払いきれていない。
せめて息子、孫の代になる迄には同じ苦労はさせまいと思っていた父親の所に現れたのは祖父同様そう言った物が好きな好事家であった。
その好事家が祖父の集めた品々を高値で買い取ってくれる事となり、今回の蔵掃除に発展した。
幾ら相手がオカルトを愛好するとはいえ、いわば恩人である相手に曰くつきの物までは売れないとなり、ななしが呼ばれたのである。
「本当に呪具とかないの?」
「呪具というかよくないモノが憑いているのは幾つかあるね」
石切丸の言葉を聞いてななしはすかさず彼の背中に飛び付いた。
「何処?!どれ?!!」
「大丈夫だよ。幾つかあるにはあるけどこの蔵にいるモノ達は何故か大人しいから」
結界でも貼ってあるのだろうかと石切丸は不思議そうに視線を彷徨わせる。
そして、視線を蔵の二階へと向けた石切丸は瞳を細めた。
「石切丸さん?」
石切丸の剣呑な雰囲気に怯えたななしは彼の袖を引いて弱々しく声を掛ける。
そんなななしに石切丸は視線を向けず、口元で指を一本立て、静かにするようジェスチャーした。
「主、何かいる」
「何かって」
「多分、私達と同じモノだ」
586.某審神者と申します
いやーしかし、オカルト案件かと思いきやまさか政府も未確認の刀剣男士が見つかるなんてな
587.某審神者と申します
イッチの所の石切丸が自分達と同じものって言うからまさかとは思ったけどさ
588.某審神者と申します
本当に刀剣男士なんだもんな
しかも正真正銘の本霊様
589.某審神者と申します
そりゃあイッチも驚いて腰抜かすわ
590.某審神者と申します
イッチ、元気にしてるかな
591.某審神者と申します
このスレ立ててイッチはみんなに相談してきたけどスレ民じゃどうしようもならないから担当の役人に相談したんだよな
592.某審神者と申します
でも担当にまったく信じてもらえず、とりまこんのすけを呼んで証人を増やす羽目にwwww
593.某審神者と申します
イッチ、信用なさすぎw
594.某審神者と申します
でも、俺もあの後自分の担当にイッチと似た状況になったらどうすれば良いか尋ねたら「そもそもその状況がないだろう」って一刀両断されたわ
595.初恋ブロークン
なっとるやろがい
596.某審神者と申します
でも594の担当が言うようにあり得ない事なんだろうな、って
597.某審神者と申します
>595
イッチ!!
598.某審神者と申します
>595
イッチ!おかえり!
599.某審神者と申します
>595
おかえり!待ってた
600.初恋ブロークン
600ゲト
ただいま!事態に進展があったから速報を携えて帰ってきた
【速報】うちの蔵にいた刀剣男士、実装決定!!!
601.某審神者と申します
600おめでとう
・・・はぁ?!
602.某審神者と申します
なん、だと
603.初恋ブロークン
と言うわけで詳細は政府がまたすると思うからもう少し待ってくれ
俺はこの後、調整や話相手役で忙しいから落ちる!
相談に乗ってくれてみんなありがとうノシ
604.某審神者と申します
待ってくれイッチ
605.某審神者と申します
もっと話を聞かせろ!!!
数日に渡り、審神者向け掲示板を賑わせていたイッチこと、書込み主はそれ以降浮上する事はなかった。
代わりに実装の決まった新刀剣男士についての考察や、実装を今かと待ち侘びる審神者達の雑談スレが賑わう。
そして、
「呼ばれて飛び出てパンパカパーン!」
とうとう、その刀は実装された。
「オッス!オラ瓜切丸!自己紹介すっぞ!」
瓜切丸を蔵で見つけた書き込み主の初恋の相手が実は瓜切丸だったという。
審神者達の前に顕現した瓜切丸は確かにその姿を見た誰もが一度は恋せざるおえない程に美しい容貌をしていた。
光の中現れた姿は女神か天女の如く、淡い髪色に新緑を思わせる薄緑色の瞳、薄桃色の頬にふっくらとした唇。
瓜切丸を顕現させた審神者の中には初恋の相手が実は付喪神、しかも男であった書き込み主を笑った審神者も数多くいたが、実際に生の瓜切丸を前にして幾人もが頬を紅潮させた。
それほどに誰もが見惚れ、魅了される美しさだと言うのに開かれた唇から飛び出すのは思いもよらぬものであった。
「元はすんげぇ名前があった気がするけど名前がころころ変わるもんだからオイラ忘れちった!今は名前の通り瓜を切るの専門だから必要な時は俺を読んでくれよな!次回「瓜を切るにも太刀では無理があった」デュエルスタンバイ!」
12.困惑の審神者
って言った翌日には自分の太刀で見事なカービングを披露されたんだけどアイツなんなの???
13.困惑の審神者
瓜切丸だしなぁ
14.困惑の審神者
実装、三日も経たずしてここまで審神者達に言われる瓜切丸wwww
いや、本当なんなんだあの刀
15.困惑の審神者
うちの瓜切丸、瓜科どころか何でも飾り切するからとうとう厨から追い出された
16.困惑の審神者
>15
自分の名前の由来位大切にしようよ
17.困惑の審神者
かと思えばカービング飽きたとか言って短刀達に混じって遊び出すし自由すぎだろ
18.困惑の審神者
どうも話を聞いてると平安生まれらしいから俺はアイツを愉快じじいって呼んでる
19.困惑の審神者
瓜切丸、何故か楽しい事に並々ならぬ執着を持ってるよね
顔を合わせる度に「主は今、楽しいか?」って聞いてくる
20.困惑の審神者
聞いてくるのはどっかのびっくりじじいで慣れてるからいいんだけどその都度「主」とか「主様」とか呼び方変わるのなんとかならないかな
21.困惑の審神者
それどころか一人称も定まってないよな
「俺」って言ったり「私」って言ったり
22.困惑の審神者
でも一人称に関しては「オラ」が多くない?
23.困惑の審神者
そう思って聞いたら「田舎の蔵にしまってあった刀ぽいだろ?」って笑われた
24.困惑の審神者
え?つまり俺達の持ってるイメージに合わせて演じてるって事??
25.困惑の審神者
26.困惑の審神者
27.困惑の審神者
28.困惑の審神者
ここは無言の多いインターネットですね!!!
って、本当あの刀何?!
29.困惑の審神者
考えるな感じろ
30.困惑の審神者
そも、23への返し自体その時の気分で言ってる気がする
31.困惑の審神者
翌日、聞き直したら「おれっちそんな事言いやした〜?」なんて言いそう
部屋の外から聞こえる楽しそうな声に男は拳を握った。
悔しくて畳を殴ってみるが手が傷付くばかりで外の誰にも気付かれない。
どれだけ叫ぼうと音は部屋の外には聞こえず、部屋の中を伺い見る事も出来ない。
その部屋はそういう部屋であった。
部屋の近くから足音が聞こえるがここに誰かがやってくる事はない。
刀剣男士達はこの部屋が審神者の荷物が仕舞われた物置という認識でいる。
まさかそんな物置に審神者以外の人間がいるとは思ってもいない彼等は審神者に命じられなければ部屋に近付く事すら無い。
男は審神者になる筈であった。
その為に勉強をし、この本丸に配属された。
男は初期刀を選ばせてもらう事が出来なかった。
それが不思議に思ったが特に誰が良いとも強い希望の無かった男はそういうものかと流した。
あの時これはおかしいと声でもあげれば今と何か変わっていたのかと当時を思い出す度に男は後悔する。
男が案内された本丸には既に先客がいた。
見るからに良家の令嬢という女で、女は男を見るなり顔を顰め、男の隣に立つ担当に言った。
「さっさと何処かにしまってちょうだい」
男は女が何を言っているのか分からなかった。
しかし男より上背のある担当の役人が男を掴み、轢きづられ、男はこの部屋に閉じ込められた。
そして聞かされたのは驚く話。
女はこの本丸の正式な審神者であった。
そして審神者になると思ってこの本丸にやってきた男は女の為の霊力タンク兼、事務などの仕事を片付ける雑用係であった。
女は審神者を勤められる程の霊力を持っていなかった。
しかし、どうしても審神者になりたかった女は権力にものを言わせて審神者になる筈だった男をこの本丸へと連れてきたのだ。
男という霊力タンクを得た事で女は顕現も手入れもできるようになった。
また、審神者がしなくてはならない業務の殆どを男にさせる事で時間の殆どを見目麗しい刀剣男士達と過ごす事が出来た。
部屋に監禁された男は最低限の生活を強いれられ、女に変わって全ての雑事を押し付けられた。
男は呪具を付けられており、逃げる事はもちろん、女に逆らう事も出来なかった。
今も外からは短刀達と遊ぶ女の楽しげな声が聞こえる。
恨めしい恨めしいと畳を爪を立てる男。
「やあやあ主君。ご機嫌麗しゅう」
男は顔を上げた。
確かに声が聞こえた。
一体何処からかと辺りを見渡せば押入れが少し空いており、そこにそれはそれは美しい女の生首があった。
「ボンジュール」
「あんぎゃーーーーっ?!?!?!」
何故かウインクを飛ばし、フランス語の挨拶をしてきた生首に男は叫び声を上げる。
「いやー今回のご主人様は随分弄り甲斐、おっと失礼。楽しそうなお方だ」
どっこいしょ、という顔に似合わぬ掛け声と共に生首は生首でなくなった。
押入れを大きく開き、出てきた麗人。
腰に差した刀を見て目の前の人物が刀剣男士という事に男は漸く気付いた。
「聞いて驚け!見て笑え!我は源氏が重宝、ではない」
「ないのかよ」
「だが、あながちそうでもないかもしれない。俺は長いこと攫われは下げ渡され、捨てられたは拾われ、盗まれ、売られ、買われたは譲り受けられを繰り返していたからな!そんな時もあったかもしれない!」
「もう訳がわからん」
突然現れ、一人で勝手に喋る刀剣男士に男は頭を抱えた。
「て、いうかお前どうやってここに来たんだよ」
この部屋に本来、刀剣男士が来る事はない。
「どうって軒下に潜り込み、床をぶち破ったのさ!出来れば怒らないでほしい。僕はどうしても本当の主君に会いたかったんだ」
そう言って跪くと男の手を取った。
「私の名は瓜切丸、貴方の、刀だ」
瓜切丸と名乗ったその刀は真剣な顔付きで「主は今が楽しいか?」と尋ねた。
問われた男は眉を下げて俯向く。
再び畳に爪を立てた男は悔しげな声で楽しくないと答えた。
145.元霊力タンク
そしたら姫抱きされてあれよあれよという間に政府の建物にいた
あの時の瓜切丸はまさしく王子様だったね
146.困惑の審神者
ほ、惚れてまうやろー!!
147.困惑の審神者
俺、この瓜切丸になら抱かれても良い
148.元霊力タンク
>146
>147
分かる。あん時の俺は完全に乙女だった
149.困惑の審神者
まさか瓜切丸にこんな恐ろしい一面があるなんて
150.困惑の審神者
瓜切丸、恐ろしい子!(白目)
151.困惑の審神者
しかし元霊力タンクは逃亡防止の呪具を付けられてたんだろう?
どうやってそこの本丸から逃げたんだ
152.元霊力タンク
それが、数いる元主の中に陰陽師や術師がいたとかなんとか言って瓜切丸がすぱすぱすぱーって呪具を切った
153.困惑の審神者
えぇ・・・
154.困惑の審神者
どういう事だってばよ
155.困惑の審神者
この話が本当か、瓜切丸を捕まえて尋ねたら「誰かに呪いをご所望かい?」って良い笑顔でサムズアップされた
156.困惑の審神者
この刀、ノリノリである
157.困惑の審神者
もうなんなんだこの刀