刀剣乱舞
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第一部隊の様子を見ていたななしが「わっ」と声を上げる。
普段であれば無言で戦場に出ている者達を見守っているななしにしては珍しい反応に執務室にいた者達は何事かと立ち上がり、ななしが見つめる画面を覗く。
何かあったのか、誰か怪我でもしたんじゃないのか、もしや新手の敵でも出たのかと各々に予想を立てつつ画面を覗くがそこに映し出される部隊の様子はといえば特におかしなところはない。
何なら今先程、部隊長である人間無骨が敵の大将首を取ったところであった。
桜の花弁を散らしながら敵の首を掲げ、満足気に笑う人間無骨。
その手に持つ首はというと撮影者であるこんのすけの配慮であり、機能の一つであるモザイク処理が施されていた。
「あー良かった良かった」
ななしは戦場にいる者達が誰も怪我をしなかった事に胸を撫で下ろすと、初陣である人間無骨が誉を取った事に一人拍手をし、喜んでいる。
「それで主、先程は何に驚いていらしたのですか?」
ななしが落ち着くのを待っていたへし切長谷部は様子を見計らい尋ねた。
「え、何の話」
「いやいや。先程、君は戦場の様子を見ながら何かに驚いていたじゃないか」
へし切長谷部の質問がよく分からない様子のななしに山姥切長義は指摘をする。
その指摘にななしは「はて?」と頭を傾げた。
「本当に覚えていないのかい?」
少し前の記憶に覚えがないななしに呆れた様子の山姥切長義に対し、松井江は優しく尋ねる。
ななしに覚えがなかったが一緒にいた三人がこう言うのだから自分は何かに驚いていたのだろうと、ななしは腕を組み、記憶の巻き戻しにかかった。
「ああ!」
ななしは暫くして思い出したのか声を上げた。
「あれはね、」
先程、ななしが声を上げたのは人間無骨の迫る槍の迫力に驚いての事であった。
「無骨君の槍がさ、こっちに向かって迫るもんだから驚いて思わず声を上げちゃったんだ」
「それ程なのかい?」
「凄いよ。今にも画面から穂先が飛び出て来そうだった」
ななしの証言に一体どれほどなのか気になった三人が記録の映像を戻して見てみれば確かに迫力があった。
「これは」
「まあ」
「確かに」
戦場に出る三人ですら納得の迫力である。
ならば日頃、いくら刀剣男士達と共に生活していてもななしは元々、平和な時代生まれの人間、先程の様に驚き声を上げるのも仕方がない。
「今度からは主を驚かさない為にももう少し引いて映像の記録をするようにさせましょう」
そう言ってへし切長谷部は手を叩き、こんのすけを呼び出す。
「出たよ。へし折切長谷部の甘やかし」
「まあ、今回は良いんじゃないかな?あまり刺激が強いのは良くないよ」
「それもそうだね」
何時もならばすぐにななしを甘やかそうとするへし切長谷部に苦言を程する山姥切長義も今回は賛成らしい。
へし切長谷部は何処からともなくやって来たこんのすけに戦場でのカメラワークについて指示を入れるのだが
「私は大丈夫だよ」
ななし本人がそれを止めた。
「ですが主、」
「あまり離れ過ぎちゃうと戦況や皆の様子がが分かり辛いし」
「無理はしてないんだね」
「してないしてない。そりゃあさっきは驚いちゃったけど、無骨君かっこよかったし」
その言葉を受けて三人に衝撃が走る。
「人間無骨が、かっこ良かった?」
「うん!すっごく」
声を震わし尋ねるへし切長谷部に対しななしは笑顔で答える。
「第一部隊が帰って来たから出迎えてくるね」
自身のスマホに入ってきた第一部隊帰還の知らせを受けてななしは執務室を出る。
何時もならばななしを一人にはせず誰かしらは後を付いていくのだが先程の衝撃が残る三人はその場から動けず呆然としていた。
「これは拙いな」
始めに意識を取り戻したのは山姥切長義である。
「何が拙いの?」
「分からないか松井江。このままでは主の愛刀の座が人間無骨に奪われるという事だ」
「そんなまさか」
松井江は半信半疑である。
ななしは松井江から見て平等な主である。
誰が一番とは決めず、皆全てを大切にし、戦場や内番、近侍であっても誰一人とは定めず皆で回している。
「だが、お前だって知っているだろう。主が好きな武将は人間無骨の元主人だ」
正しくは容姿や性格をデフォルメして史実とはかけ離れたゲームのキャラクターとして好きであるのだが彼等にとってそこはどうでも良い。
「つまり人間無骨は主が好きな武将が持っていたというアドバンテージがある」
「それに今回の事が合わさると主の愛刀は人間無骨となるかもしれん」
神妙な顔付きとなると山姥切長義とへし切長谷部。
「いや」と否定の言葉を言いかける松井江であるが、人間無骨の実装を知らせる政府の瓦版を見たななしがいつになく嬉しそうにしていた事を思い出す。
「それは拙いね」
「ああ、非常に拙い」
「だからこそ俺達がする事は一つだ」
そうして後日、三人は人間無骨ばりに迫力がある様でカメラに写るのであった。
やはりそれもななしには好評で、その頃にはななしの執務室での発言が本丸中に知れ渡っていた。
すると自分も、私も、僕も、と皆が皆、ななしにかっこいいと言って貰いたいが為に迫力のある姿でカメラに写ろうとするものだから撮る側のこんのすけがあわや、という事態が増えた。
結局、このブームはこんのすけの訴えによりななしに発覚。
無茶なカメラ写りは禁止され、早々にブームは終結を迎えた。
普段であれば無言で戦場に出ている者達を見守っているななしにしては珍しい反応に執務室にいた者達は何事かと立ち上がり、ななしが見つめる画面を覗く。
何かあったのか、誰か怪我でもしたんじゃないのか、もしや新手の敵でも出たのかと各々に予想を立てつつ画面を覗くがそこに映し出される部隊の様子はといえば特におかしなところはない。
何なら今先程、部隊長である人間無骨が敵の大将首を取ったところであった。
桜の花弁を散らしながら敵の首を掲げ、満足気に笑う人間無骨。
その手に持つ首はというと撮影者であるこんのすけの配慮であり、機能の一つであるモザイク処理が施されていた。
「あー良かった良かった」
ななしは戦場にいる者達が誰も怪我をしなかった事に胸を撫で下ろすと、初陣である人間無骨が誉を取った事に一人拍手をし、喜んでいる。
「それで主、先程は何に驚いていらしたのですか?」
ななしが落ち着くのを待っていたへし切長谷部は様子を見計らい尋ねた。
「え、何の話」
「いやいや。先程、君は戦場の様子を見ながら何かに驚いていたじゃないか」
へし切長谷部の質問がよく分からない様子のななしに山姥切長義は指摘をする。
その指摘にななしは「はて?」と頭を傾げた。
「本当に覚えていないのかい?」
少し前の記憶に覚えがないななしに呆れた様子の山姥切長義に対し、松井江は優しく尋ねる。
ななしに覚えがなかったが一緒にいた三人がこう言うのだから自分は何かに驚いていたのだろうと、ななしは腕を組み、記憶の巻き戻しにかかった。
「ああ!」
ななしは暫くして思い出したのか声を上げた。
「あれはね、」
先程、ななしが声を上げたのは人間無骨の迫る槍の迫力に驚いての事であった。
「無骨君の槍がさ、こっちに向かって迫るもんだから驚いて思わず声を上げちゃったんだ」
「それ程なのかい?」
「凄いよ。今にも画面から穂先が飛び出て来そうだった」
ななしの証言に一体どれほどなのか気になった三人が記録の映像を戻して見てみれば確かに迫力があった。
「これは」
「まあ」
「確かに」
戦場に出る三人ですら納得の迫力である。
ならば日頃、いくら刀剣男士達と共に生活していてもななしは元々、平和な時代生まれの人間、先程の様に驚き声を上げるのも仕方がない。
「今度からは主を驚かさない為にももう少し引いて映像の記録をするようにさせましょう」
そう言ってへし切長谷部は手を叩き、こんのすけを呼び出す。
「出たよ。へし折切長谷部の甘やかし」
「まあ、今回は良いんじゃないかな?あまり刺激が強いのは良くないよ」
「それもそうだね」
何時もならばすぐにななしを甘やかそうとするへし切長谷部に苦言を程する山姥切長義も今回は賛成らしい。
へし切長谷部は何処からともなくやって来たこんのすけに戦場でのカメラワークについて指示を入れるのだが
「私は大丈夫だよ」
ななし本人がそれを止めた。
「ですが主、」
「あまり離れ過ぎちゃうと戦況や皆の様子がが分かり辛いし」
「無理はしてないんだね」
「してないしてない。そりゃあさっきは驚いちゃったけど、無骨君かっこよかったし」
その言葉を受けて三人に衝撃が走る。
「人間無骨が、かっこ良かった?」
「うん!すっごく」
声を震わし尋ねるへし切長谷部に対しななしは笑顔で答える。
「第一部隊が帰って来たから出迎えてくるね」
自身のスマホに入ってきた第一部隊帰還の知らせを受けてななしは執務室を出る。
何時もならばななしを一人にはせず誰かしらは後を付いていくのだが先程の衝撃が残る三人はその場から動けず呆然としていた。
「これは拙いな」
始めに意識を取り戻したのは山姥切長義である。
「何が拙いの?」
「分からないか松井江。このままでは主の愛刀の座が人間無骨に奪われるという事だ」
「そんなまさか」
松井江は半信半疑である。
ななしは松井江から見て平等な主である。
誰が一番とは決めず、皆全てを大切にし、戦場や内番、近侍であっても誰一人とは定めず皆で回している。
「だが、お前だって知っているだろう。主が好きな武将は人間無骨の元主人だ」
正しくは容姿や性格をデフォルメして史実とはかけ離れたゲームのキャラクターとして好きであるのだが彼等にとってそこはどうでも良い。
「つまり人間無骨は主が好きな武将が持っていたというアドバンテージがある」
「それに今回の事が合わさると主の愛刀は人間無骨となるかもしれん」
神妙な顔付きとなると山姥切長義とへし切長谷部。
「いや」と否定の言葉を言いかける松井江であるが、人間無骨の実装を知らせる政府の瓦版を見たななしがいつになく嬉しそうにしていた事を思い出す。
「それは拙いね」
「ああ、非常に拙い」
「だからこそ俺達がする事は一つだ」
そうして後日、三人は人間無骨ばりに迫力がある様でカメラに写るのであった。
やはりそれもななしには好評で、その頃にはななしの執務室での発言が本丸中に知れ渡っていた。
すると自分も、私も、僕も、と皆が皆、ななしにかっこいいと言って貰いたいが為に迫力のある姿でカメラに写ろうとするものだから撮る側のこんのすけがあわや、という事態が増えた。
結局、このブームはこんのすけの訴えによりななしに発覚。
無茶なカメラ写りは禁止され、早々にブームは終結を迎えた。