赤ちゃん本丸
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ななしはお金に困っていた。
彼女は大家族の長女で、幼い兄妹を育てる為に中学卒業後は進学もせず家事と育児、アルバイトに励んでいた。
両親は宛にはならず、何処かで子供を産んでは一か月のおむつ代にもならないお金と共に赤ん坊をななしに丸投げしていた。
両祖父母は援助をしてはくれるが年金暮らしの彼等にも限界がある。
すぐ下の弟や妹は頭がよく、特待生として進学した為学費はかからないが他の子までもそうも上手く行くまい。
自分が行きたくても行けなかっただけに、せめて下の子達だけは行きたい進路に行ける様にしてあげたかった。
そんな時にやって来たのが時の政府を名乗る黒服の男である。
初対面時はとうとうあのどうしようもない両親は借金迄もこさえたのかと身構えたななしであったがよくよく話を聞くとそうでは無かった。
時の政府職員を名乗る彼はななしに今、何かと世間で話題の審神者になる様、話に来たのだ。
始めは家族と離れての仕事に難色を示したななしであったが給料は勿論の事、支度金、その他諸々にお金が出ると聞き飛びついた。
兄妹達はやめておけと言ったがななしには自身がこれ程稼げる話はこの時限りの様に思った。
そしてななしは兄妹を説得すると兄弟を祖父母に預け、政府職員と共に出ていったのだった。
それから一ヶ月に及ぶ講習の末にななしは審神者に就任した。
初期刀を選び、本丸に向かったななしはサポート役であるこんのすけと合流し、これから審神者と始まる新たな生活に不安と期待を胸に初期刀の顕現を挑んだのだが
「な、なんと」
「えーっと、刀剣男士って始めは赤ちゃんなんだね」
眩い光、満開の桜が散ったかと思うとそこにはそれはそれは愛らしい赤ん坊がいた。
制服の様な戦装束に特徴的な白い布。
全て赤ん坊サイズであったもののそれらは全て資料で見た山姥切国広の姿であった。
「これは一体どういう事なのでしょう」
こんのすけはななしから見てもかなり動揺していた。
ななしも初期刀は青年の姿で顕現すると習っていただけに戸惑いはしたが、それよりもこの間別れた末の弟を彷彿させる姿にときめいた。
あぶあぶと一生懸命喋っている姿からきっと講習の映像でも見た顕現時の口上だろう。
そう思いこんのすけに伝えるが
「そんな訳ないでしょう!!!」
そんな馬鹿なと、こんのすけは怒って見せた。
「ふっ、ふえっ」
そのこんのすけの剣幕に山姥切国広は驚いたのか涙を瞳に浮かべて泣き出す。
部屋いっぱいに響いた赤ん坊の泣き声にこんのすけは小さく飛び跳ねた。
狐の姿だからか、耳が良いのか苦しげに耳を押さえてその場に蹲るこんのすけ。
ななしはというとやはり末の弟と再会した様な気分になり、嬉しそうな表情で顔を真っ赤にして泣く赤ん坊を抱き上げた。
「急に大きな声がして怖かったねー」
よちよち、と慣れた調子で山姥切国広を抱いた腕を揺籠の様にゆったりと揺らした。
始めは泣き喚いていた山姥切国広であるがだんだんと落ち着いてくる。
そうして暫くの後に赤ん坊は泣き止み、すやすやとななしの腕の中で眠った。
「助かりました」
「どういたしまして」
「赤ん坊の扱いに慣れているのですね」
「伊達に大家族の長女をしていませんよ」
兄妹のおしめはほとんど自分が変えたななしに赤ん坊を泣き止ませる事など造作もなかった。
「流石に赤ん坊では戦場に行くのは不可能なので審神者様には申し訳ございませんがもう一度、初期刀を選んで貰います」
気を取り直し、こんのすけは何処からともなく四振りの刀を取り出す。
「でも、初期刀は一振だけなんじゃ」
「やむ終えません。そちらの山姥切国広様と思わしき赤ん坊は政府で預かります」
末の弟に続いて腕の中の赤ん坊ともお別れする事に心が痛んだななしであったが仕方がないと再度、初期刀を選び直した。
その結果、
「どういう事ですか!!!」
こんのすけは天井に向かって叫んだ。
ななしの周りには赤ん坊が五人。
刀を五振全て顕現させたにも関わらずその全てが赤ん坊であったのである。
こんのすけの叫びに赤ん坊達は驚き一斉に泣き出した。
泣き声の五重奏にこんのすけは耐え切れず白目になって倒れた。
流石のななしも耳を押さえながら必死にあやす。
「こんのすけ?こんのすけー!!」
返事はない。
ただの屍の様である。
「参ったな」
子育て経験豊富なななしでも五人の赤ん坊をいっぺんに育てるなど経験がない訳で、
「一体これからどうなるの!!」
頼れる者もいないななしは赤ん坊に囲まれて叫んだ。
彼女は大家族の長女で、幼い兄妹を育てる為に中学卒業後は進学もせず家事と育児、アルバイトに励んでいた。
両親は宛にはならず、何処かで子供を産んでは一か月のおむつ代にもならないお金と共に赤ん坊をななしに丸投げしていた。
両祖父母は援助をしてはくれるが年金暮らしの彼等にも限界がある。
すぐ下の弟や妹は頭がよく、特待生として進学した為学費はかからないが他の子までもそうも上手く行くまい。
自分が行きたくても行けなかっただけに、せめて下の子達だけは行きたい進路に行ける様にしてあげたかった。
そんな時にやって来たのが時の政府を名乗る黒服の男である。
初対面時はとうとうあのどうしようもない両親は借金迄もこさえたのかと身構えたななしであったがよくよく話を聞くとそうでは無かった。
時の政府職員を名乗る彼はななしに今、何かと世間で話題の審神者になる様、話に来たのだ。
始めは家族と離れての仕事に難色を示したななしであったが給料は勿論の事、支度金、その他諸々にお金が出ると聞き飛びついた。
兄妹達はやめておけと言ったがななしには自身がこれ程稼げる話はこの時限りの様に思った。
そしてななしは兄妹を説得すると兄弟を祖父母に預け、政府職員と共に出ていったのだった。
それから一ヶ月に及ぶ講習の末にななしは審神者に就任した。
初期刀を選び、本丸に向かったななしはサポート役であるこんのすけと合流し、これから審神者と始まる新たな生活に不安と期待を胸に初期刀の顕現を挑んだのだが
「な、なんと」
「えーっと、刀剣男士って始めは赤ちゃんなんだね」
眩い光、満開の桜が散ったかと思うとそこにはそれはそれは愛らしい赤ん坊がいた。
制服の様な戦装束に特徴的な白い布。
全て赤ん坊サイズであったもののそれらは全て資料で見た山姥切国広の姿であった。
「これは一体どういう事なのでしょう」
こんのすけはななしから見てもかなり動揺していた。
ななしも初期刀は青年の姿で顕現すると習っていただけに戸惑いはしたが、それよりもこの間別れた末の弟を彷彿させる姿にときめいた。
あぶあぶと一生懸命喋っている姿からきっと講習の映像でも見た顕現時の口上だろう。
そう思いこんのすけに伝えるが
「そんな訳ないでしょう!!!」
そんな馬鹿なと、こんのすけは怒って見せた。
「ふっ、ふえっ」
そのこんのすけの剣幕に山姥切国広は驚いたのか涙を瞳に浮かべて泣き出す。
部屋いっぱいに響いた赤ん坊の泣き声にこんのすけは小さく飛び跳ねた。
狐の姿だからか、耳が良いのか苦しげに耳を押さえてその場に蹲るこんのすけ。
ななしはというとやはり末の弟と再会した様な気分になり、嬉しそうな表情で顔を真っ赤にして泣く赤ん坊を抱き上げた。
「急に大きな声がして怖かったねー」
よちよち、と慣れた調子で山姥切国広を抱いた腕を揺籠の様にゆったりと揺らした。
始めは泣き喚いていた山姥切国広であるがだんだんと落ち着いてくる。
そうして暫くの後に赤ん坊は泣き止み、すやすやとななしの腕の中で眠った。
「助かりました」
「どういたしまして」
「赤ん坊の扱いに慣れているのですね」
「伊達に大家族の長女をしていませんよ」
兄妹のおしめはほとんど自分が変えたななしに赤ん坊を泣き止ませる事など造作もなかった。
「流石に赤ん坊では戦場に行くのは不可能なので審神者様には申し訳ございませんがもう一度、初期刀を選んで貰います」
気を取り直し、こんのすけは何処からともなく四振りの刀を取り出す。
「でも、初期刀は一振だけなんじゃ」
「やむ終えません。そちらの山姥切国広様と思わしき赤ん坊は政府で預かります」
末の弟に続いて腕の中の赤ん坊ともお別れする事に心が痛んだななしであったが仕方がないと再度、初期刀を選び直した。
その結果、
「どういう事ですか!!!」
こんのすけは天井に向かって叫んだ。
ななしの周りには赤ん坊が五人。
刀を五振全て顕現させたにも関わらずその全てが赤ん坊であったのである。
こんのすけの叫びに赤ん坊達は驚き一斉に泣き出した。
泣き声の五重奏にこんのすけは耐え切れず白目になって倒れた。
流石のななしも耳を押さえながら必死にあやす。
「こんのすけ?こんのすけー!!」
返事はない。
ただの屍の様である。
「参ったな」
子育て経験豊富なななしでも五人の赤ん坊をいっぺんに育てるなど経験がない訳で、
「一体これからどうなるの!!」
頼れる者もいないななしは赤ん坊に囲まれて叫んだ。