刀剣乱舞
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ななしは夢を見た。
出張に出ていた父親が家に帰ってきてななしにお土産を渡してくる。
ほんのり温かくて甘く香ばしいタレの香りにななしは渡された袋の中身が自身の好物であると察し、玄関でおおいにはしゃいだ。
そんなななしを母親がこれではいつまで経っても父親が家に上がれないと嗜める。
しかしはしゃぐななしは母親の言葉など聞いていない。
それどころか父親に抱きついてお土産を食べて良いのか尋ねていた。
お土産はななしの為に買ってきた物だから父親は駄目だという筈はないのだが少しだけ困った様に母親を見た。
父親の視線の先には悉く自身の言葉を無視されて立腹の母親が腰に手を当て立っている。
お土産を食べれるか否かは母親次第と気付いたななしは父親から母親へと抱き着く相手を変えた。
そのおかげで漸く父親は靴を脱ぎ、家へと上がる。
お母さんお願い、とななしは甘えた声を出して強請った。
対して母親は時刻が21時を回っている事もあり難色を示す。
何時もならば父親はもう2、3時間速く帰ってきていた為お土産もすぐに食べれたのだが今日に限っては電車のトラブルにより帰宅が遅れたのだ。
しかしお土産から漂う甘辛いタレの匂いを嗅いでしまってはななしは諦められないし寝れる気もしない。
そう訴えれば母親はどれだけ食い意地がはっているのかと呆れた視線をななしへと向けた。
「僕からも頼むよママ」
元はと言えば自身の帰宅が遅れたからだと父親はななしの援護に回る。
「貴方は何時も、」
「それに君も好きだろ」
父親はななしが抱えるお土産の袋を指差して微笑む。
お土産はななしの好物であり、母親の好物でもあった。
「期限は今日中だし、少し冷めてしまったけど美味しい内に食べて欲しいな」
そう言われてしまえば母親もこれ以上反論は出来ず、ななしは家族三人で仲良くお土産を頬張った。
「という訳で手羽先が食べたいのです!」
「一体どういう事だい」
突然の事に歌仙兼定は呻いた。
あれから父親は部署替えにより出張がなくなったことで家族で手羽先を食べるという事はなくなった。
どうしても食べたくなって最寄りのスーパーに売っている物を買った事もあったがななしやその家族にとって手羽先といえば出張帰りの父親が買ってくるものであり、ななしも、両親も何か違うと思ったのだろうそれ以後手羽先が食卓に上がる事はなかった。
暫く忘れていた思い出の味をうっかり夢に見たななし。
どうしてもあの味が食べたい。
しかし今のななしは審神者というなかなか現世に帰れない身の上の為、現世にある店に行くにも申請や護衛がどうのと何かと面倒くさく時間も掛かった。
店に直接買いに行けないのならばせめて近い物は食べれないものかとインターネットで調べてみると再現レシピが出るわ出るわ。
その中から高評価、お店の元従業員による再現、というレシピを印刷するとこの本丸の厨を担う歌仙兼定にうやうやしく差し出した。
「レシピも用意してるとは、本当に君は食べ物の事となると行動が早いね」
いつもこうならばと、初期刀としてななしと共に過ごしてきた時間が誰よりも長い歌仙兼定は溜息混じりに嘆いて見せた。
「まあまあ、今日の夕飯のメニューを決めかねていた所だし丁度良いんじゃないかな」
歌仙兼定と同じく日頃から本丸の厨を支える燭台切光忠がななしの援護に回る。
「分かった」
「やったー」
そのおかげかあっさりとリクエストを受諾されたななしは両手を挙げて喜んだ。
この度の功労者である燭台切光忠の手を握り、喜びのあまりその場で飛び跳ねるななし。
それを咎める様に咳払いをした歌仙兼定は「そのかわり」と言葉を続ける。
「確か君は明日提出の書類がまだ終わっていないだろう?それを終わらすのが夕飯のリクエストを受ける条件だよ」
「えっ」
「取り敢えず今から頑張れば夕飯までには終わるだろう」
そしてそこで歌仙兼定に視線で後方を見るよう促されたななしが振り向くとそこには腕を組み、額に青筋を浮かべた山姥切長義が笑みを浮かべて立っていた。
「ひょえ」
「やっと見つけたよ、主」
山姥切長義から発せられる気迫に慄いたななしは思わずといった調子で後退り、その場から離脱しようとしたのだが何故か身体が動かない。
それもそのはず、先程迄ななしの味方をしてくれていた燭台切光忠がななしの肩を押さえて逃げられない様にしていたのだ。
「主の好物を沢山作っておくから頑張ろうね!」
燭台切光忠に声援を送られたななしはそのまま山姥切長義によって執務室へとドナドナされた。
苦手な事務作業を終えて見るからに窶れたななしの前にリクエストした手羽先が置かれた。
これまで手羽先が出る事がなかったため食堂の至る所で初めて見る料理にこれは何だと不思議がる声が上がっている。
それはななしの向かいに座った五虎退達短刀も同じであった。
皆、一様に不思議そうにしていたがななしの好物なのだと聞いて、ならばきっと美味しいのだろうと笑顔を見せる。
そうして各々食べ始めるのだが暫く手羽先に夢中になっていたななしは辺りから聴こえる音に頭を傾げた。
ごりごりぱきぱきと、食事中に聴こえるにしてはあり得ない音に周りを見渡す。
そうしてななしはふと思う。
彼等は手羽先の食べ方を知っているのだろうか、と
ななしが鍛刀、戦場でドロップしてきた刀は皆、始めは人としての生活に不慣れであった。
なので新人が来る度にななしや歌仙兼定、後は人としての生活に慣れた者達でフォローしていた。
それは食事の仕方も含まれる。
一通り教えたつもりであったが手羽先の食べ方、太い骨がある食べ物の食べ方など教えただろうかとななしは疑問を抱く。
そして向かいに座る五虎退の様子を伺えば綺麗な箸使いで手羽先を持ち上げ、それを口に持っていくと、まるで普通の唐揚げでも食べているかのように咀嚼していた。
それは他の短刀や、隣りに座っていた亀甲貞宗もそうである。
彼等が咀嚼するのと同時にななしが不思議に思ったごりごり、ぱきぱきという音も彼等から聞こえてくる。
その音の正体に気付いたななしは「わぁ」と思わず零した。
「どうしたんだい?ご主人様」
「何でもないの。気にしないで」
「調子が悪かったらいつでも僕に声をかけてね」
「ありがとう亀甲」
笑ってそう返したななしは白米を口にした。
「(刀剣男士って、歯も強靭なんだなぁ)」
ありありと見せつけられた彼等の人外っぷりにななしは内心、驚きながらも何とか平静を装いつつ味噌汁を啜るのであった。
出張に出ていた父親が家に帰ってきてななしにお土産を渡してくる。
ほんのり温かくて甘く香ばしいタレの香りにななしは渡された袋の中身が自身の好物であると察し、玄関でおおいにはしゃいだ。
そんなななしを母親がこれではいつまで経っても父親が家に上がれないと嗜める。
しかしはしゃぐななしは母親の言葉など聞いていない。
それどころか父親に抱きついてお土産を食べて良いのか尋ねていた。
お土産はななしの為に買ってきた物だから父親は駄目だという筈はないのだが少しだけ困った様に母親を見た。
父親の視線の先には悉く自身の言葉を無視されて立腹の母親が腰に手を当て立っている。
お土産を食べれるか否かは母親次第と気付いたななしは父親から母親へと抱き着く相手を変えた。
そのおかげで漸く父親は靴を脱ぎ、家へと上がる。
お母さんお願い、とななしは甘えた声を出して強請った。
対して母親は時刻が21時を回っている事もあり難色を示す。
何時もならば父親はもう2、3時間速く帰ってきていた為お土産もすぐに食べれたのだが今日に限っては電車のトラブルにより帰宅が遅れたのだ。
しかしお土産から漂う甘辛いタレの匂いを嗅いでしまってはななしは諦められないし寝れる気もしない。
そう訴えれば母親はどれだけ食い意地がはっているのかと呆れた視線をななしへと向けた。
「僕からも頼むよママ」
元はと言えば自身の帰宅が遅れたからだと父親はななしの援護に回る。
「貴方は何時も、」
「それに君も好きだろ」
父親はななしが抱えるお土産の袋を指差して微笑む。
お土産はななしの好物であり、母親の好物でもあった。
「期限は今日中だし、少し冷めてしまったけど美味しい内に食べて欲しいな」
そう言われてしまえば母親もこれ以上反論は出来ず、ななしは家族三人で仲良くお土産を頬張った。
「という訳で手羽先が食べたいのです!」
「一体どういう事だい」
突然の事に歌仙兼定は呻いた。
あれから父親は部署替えにより出張がなくなったことで家族で手羽先を食べるという事はなくなった。
どうしても食べたくなって最寄りのスーパーに売っている物を買った事もあったがななしやその家族にとって手羽先といえば出張帰りの父親が買ってくるものであり、ななしも、両親も何か違うと思ったのだろうそれ以後手羽先が食卓に上がる事はなかった。
暫く忘れていた思い出の味をうっかり夢に見たななし。
どうしてもあの味が食べたい。
しかし今のななしは審神者というなかなか現世に帰れない身の上の為、現世にある店に行くにも申請や護衛がどうのと何かと面倒くさく時間も掛かった。
店に直接買いに行けないのならばせめて近い物は食べれないものかとインターネットで調べてみると再現レシピが出るわ出るわ。
その中から高評価、お店の元従業員による再現、というレシピを印刷するとこの本丸の厨を担う歌仙兼定にうやうやしく差し出した。
「レシピも用意してるとは、本当に君は食べ物の事となると行動が早いね」
いつもこうならばと、初期刀としてななしと共に過ごしてきた時間が誰よりも長い歌仙兼定は溜息混じりに嘆いて見せた。
「まあまあ、今日の夕飯のメニューを決めかねていた所だし丁度良いんじゃないかな」
歌仙兼定と同じく日頃から本丸の厨を支える燭台切光忠がななしの援護に回る。
「分かった」
「やったー」
そのおかげかあっさりとリクエストを受諾されたななしは両手を挙げて喜んだ。
この度の功労者である燭台切光忠の手を握り、喜びのあまりその場で飛び跳ねるななし。
それを咎める様に咳払いをした歌仙兼定は「そのかわり」と言葉を続ける。
「確か君は明日提出の書類がまだ終わっていないだろう?それを終わらすのが夕飯のリクエストを受ける条件だよ」
「えっ」
「取り敢えず今から頑張れば夕飯までには終わるだろう」
そしてそこで歌仙兼定に視線で後方を見るよう促されたななしが振り向くとそこには腕を組み、額に青筋を浮かべた山姥切長義が笑みを浮かべて立っていた。
「ひょえ」
「やっと見つけたよ、主」
山姥切長義から発せられる気迫に慄いたななしは思わずといった調子で後退り、その場から離脱しようとしたのだが何故か身体が動かない。
それもそのはず、先程迄ななしの味方をしてくれていた燭台切光忠がななしの肩を押さえて逃げられない様にしていたのだ。
「主の好物を沢山作っておくから頑張ろうね!」
燭台切光忠に声援を送られたななしはそのまま山姥切長義によって執務室へとドナドナされた。
苦手な事務作業を終えて見るからに窶れたななしの前にリクエストした手羽先が置かれた。
これまで手羽先が出る事がなかったため食堂の至る所で初めて見る料理にこれは何だと不思議がる声が上がっている。
それはななしの向かいに座った五虎退達短刀も同じであった。
皆、一様に不思議そうにしていたがななしの好物なのだと聞いて、ならばきっと美味しいのだろうと笑顔を見せる。
そうして各々食べ始めるのだが暫く手羽先に夢中になっていたななしは辺りから聴こえる音に頭を傾げた。
ごりごりぱきぱきと、食事中に聴こえるにしてはあり得ない音に周りを見渡す。
そうしてななしはふと思う。
彼等は手羽先の食べ方を知っているのだろうか、と
ななしが鍛刀、戦場でドロップしてきた刀は皆、始めは人としての生活に不慣れであった。
なので新人が来る度にななしや歌仙兼定、後は人としての生活に慣れた者達でフォローしていた。
それは食事の仕方も含まれる。
一通り教えたつもりであったが手羽先の食べ方、太い骨がある食べ物の食べ方など教えただろうかとななしは疑問を抱く。
そして向かいに座る五虎退の様子を伺えば綺麗な箸使いで手羽先を持ち上げ、それを口に持っていくと、まるで普通の唐揚げでも食べているかのように咀嚼していた。
それは他の短刀や、隣りに座っていた亀甲貞宗もそうである。
彼等が咀嚼するのと同時にななしが不思議に思ったごりごり、ぱきぱきという音も彼等から聞こえてくる。
その音の正体に気付いたななしは「わぁ」と思わず零した。
「どうしたんだい?ご主人様」
「何でもないの。気にしないで」
「調子が悪かったらいつでも僕に声をかけてね」
「ありがとう亀甲」
笑ってそう返したななしは白米を口にした。
「(刀剣男士って、歯も強靭なんだなぁ)」
ありありと見せつけられた彼等の人外っぷりにななしは内心、驚きながらも何とか平静を装いつつ味噌汁を啜るのであった。