刀剣乱舞
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ななしは刀剣をよく知らない。
そもそも社会人になってから暫く、何度目かになる健康診断を受けた際、急に審神者の適正が見つかったという事でろくに講習も受けぬままに審神者になったという経歴を持つ。
本来であれば審神者となる前に講習を受けて力を貸してくれる刀剣男士について、正しい歴史について最低限の学びを受けてから着任となるのだが仕事の引き継ぎや借りていたアパートの解約、行政への手続きなど社会人であったななしには審神者になるまでにする事が多く、講習を受ける暇がなかった。
時の政府もななし一人にばかり構ってはいられないので講習は後で受けるならば後回しにしても良いなどと許可をするものだからななしが審神者に着任してすぐは大変だった。
何せ刀の種類が分からず見分けもつかない事から誰が短刀で誰が太刀なのか分からない。
ななしは覚えるまで戦場や遠征のメンバーを選定する度に四苦八苦する事となった。
「やっぱり戈も弩も最高だよな」
そんなななしがゲームを前にすらすらと武器の名前を言えば面白くないと思う者も当然現れる。
「戈って何だ?」
聞いた事のない名詞にななしの側でテレビに映されたゲーム画面を見ていた愛染国俊は頭を傾げた。
「確か大陸の武器じゃなかったかな。ほら、画面の女性が持ってるのだよ」
同じくゲーム画面を眺めていた小龍景光は愛染国俊の疑問に答えるべく指を指す。
その先には長柄の、直角に刃が付いた武器を持った女性キャラが勇ましく構えてポーズを取っている。
「弩も確か大陸の武器であったな。所謂、石弓というやつだ」
ちゃぶ台の側でお茶を啜っていた三日月宗近が次いで説明を入れた。
彼等の他にも暇を持て余し、ななしに構って貰おうと男士達が集まっているのだがななしがゲームに夢中で集まっている彼等に気付いてもいない。
「だが、鉄扇、錘も捨て難い」
「ねえ、さっきから主さんが言ってるのって」
「全て武器の名前の様だ」
骨喰藤四郎の肯定に鯰尾藤四郎は頬を膨らませる。
「主さんってばちょっと前まで刀の種類も分からなかったのにゲームに出てくる武器の名前はすらすら出るんですね」
いつも明るい陽気でいる鯰尾藤四郎にしては珍しく悋気めいた事を口にする。
それは何も鯰尾藤四郎だけでなく、皆口にせずとも、だけども空気で嫉妬を露わにしているのだがななしはキャラメイクに夢中でやはり気付いていない。
これには仕方ないといえば仕方ない。
ななしが今しているゲームは彼が昔やり込んでいたゲームのリバイバル作品で、ななしは青春の殆どをゲームと、ゲームの元となった歴史の勉強にかけていたのだがそんな事情を知らない男士達は自分達以外の武器に感けるななしの姿に嫉妬心をめらめらと燃やす。
此処に髭切でもいればいつもの緩やかな調子で嫉妬をするのは良くないと嗜めてくれたかもしれないが生憎と髭切は膝丸と共に出かけており不在であった。
「前から気になってたんだけどさ」
愛染国俊が口を開く。
「主さんはどの武器が一番好きなんだ?」
純粋な愛染国俊の問いに皆が一斉に喋るのをやめた。
そしてちらり、と皆がななしを見るのだがななしの視線は相変わらずゲーム画面に釘付けである。
「そりゃあこのかっこよくて強い俺だろ!!」
「えーやっぱり可愛い俺じゃない?」
ななしの一番と聞いて馬当番をしていた筈の和泉守兼定と加州清光が参戦した。
それを皮切りに僕も私も誰が彼がと思い思いに名を挙げる。
「ねー主さんの答えを聞かせて下さいよ」
ななしの側ににじり寄った鯰尾藤四郎は袖を引いて尋ねた。
対してななしの返事は疎かなもので「あー」だとか「うーん」だとか気のない返事しか返ってこない。
「勿論、主の一番はこのへし切長谷部ですよね!!」
やはりななしの一番と聞いてやって来たへし切長谷部が鯰尾藤四郎とは反対側の位置に膝をつき陣取る。
「一番?」
「そうです!主が一番はこのへし切長谷部!そうですね?!」
「うーん、一番、一番」
ななしはうーんと唸りながらもコントローラーの操作を止めない。
その間にもへし切長谷部を押し退けて他の男士が自身を売り込むのだが聞いているのかいないのか。
「あ、」
ななしは声を上げた。
テレビの画面に映るキャラクターは長柄の武器を手にしてやはり凛々しい顔付きでこちら側を見ている。
「うん、槍が一番好きだわ。広範囲だし槍最高ー!」
君に決めたとななしはコントローラーの決定ボタンを押した。
と、同時に廊下側からもの凄い音が聞こえた。
流石にその音を聞き流す事は出来なかったのかななしは此処で漸く画面から廊下へと視線を移す。
「えっ三人共どったの?」
そこには廊下に尻を付き、真っ赤な顔をして辺りに桜の花弁を散らす三名槍がいた。
「ていうか、みんなもマジでどうした??!」
顔が赤い三人に対して周りはまるでお通夜の様な雰囲気で顔色が悪い。
集団で風邪でも引いているのかとななしは一人慌てふためく。
この後、ななしは自身の不用意な発言により落ち込む男士達を慰めに周る事となり、暫くゲームはお預けとなるのであった。
そもそも社会人になってから暫く、何度目かになる健康診断を受けた際、急に審神者の適正が見つかったという事でろくに講習も受けぬままに審神者になったという経歴を持つ。
本来であれば審神者となる前に講習を受けて力を貸してくれる刀剣男士について、正しい歴史について最低限の学びを受けてから着任となるのだが仕事の引き継ぎや借りていたアパートの解約、行政への手続きなど社会人であったななしには審神者になるまでにする事が多く、講習を受ける暇がなかった。
時の政府もななし一人にばかり構ってはいられないので講習は後で受けるならば後回しにしても良いなどと許可をするものだからななしが審神者に着任してすぐは大変だった。
何せ刀の種類が分からず見分けもつかない事から誰が短刀で誰が太刀なのか分からない。
ななしは覚えるまで戦場や遠征のメンバーを選定する度に四苦八苦する事となった。
「やっぱり戈も弩も最高だよな」
そんなななしがゲームを前にすらすらと武器の名前を言えば面白くないと思う者も当然現れる。
「戈って何だ?」
聞いた事のない名詞にななしの側でテレビに映されたゲーム画面を見ていた愛染国俊は頭を傾げた。
「確か大陸の武器じゃなかったかな。ほら、画面の女性が持ってるのだよ」
同じくゲーム画面を眺めていた小龍景光は愛染国俊の疑問に答えるべく指を指す。
その先には長柄の、直角に刃が付いた武器を持った女性キャラが勇ましく構えてポーズを取っている。
「弩も確か大陸の武器であったな。所謂、石弓というやつだ」
ちゃぶ台の側でお茶を啜っていた三日月宗近が次いで説明を入れた。
彼等の他にも暇を持て余し、ななしに構って貰おうと男士達が集まっているのだがななしがゲームに夢中で集まっている彼等に気付いてもいない。
「だが、鉄扇、錘も捨て難い」
「ねえ、さっきから主さんが言ってるのって」
「全て武器の名前の様だ」
骨喰藤四郎の肯定に鯰尾藤四郎は頬を膨らませる。
「主さんってばちょっと前まで刀の種類も分からなかったのにゲームに出てくる武器の名前はすらすら出るんですね」
いつも明るい陽気でいる鯰尾藤四郎にしては珍しく悋気めいた事を口にする。
それは何も鯰尾藤四郎だけでなく、皆口にせずとも、だけども空気で嫉妬を露わにしているのだがななしはキャラメイクに夢中でやはり気付いていない。
これには仕方ないといえば仕方ない。
ななしが今しているゲームは彼が昔やり込んでいたゲームのリバイバル作品で、ななしは青春の殆どをゲームと、ゲームの元となった歴史の勉強にかけていたのだがそんな事情を知らない男士達は自分達以外の武器に感けるななしの姿に嫉妬心をめらめらと燃やす。
此処に髭切でもいればいつもの緩やかな調子で嫉妬をするのは良くないと嗜めてくれたかもしれないが生憎と髭切は膝丸と共に出かけており不在であった。
「前から気になってたんだけどさ」
愛染国俊が口を開く。
「主さんはどの武器が一番好きなんだ?」
純粋な愛染国俊の問いに皆が一斉に喋るのをやめた。
そしてちらり、と皆がななしを見るのだがななしの視線は相変わらずゲーム画面に釘付けである。
「そりゃあこのかっこよくて強い俺だろ!!」
「えーやっぱり可愛い俺じゃない?」
ななしの一番と聞いて馬当番をしていた筈の和泉守兼定と加州清光が参戦した。
それを皮切りに僕も私も誰が彼がと思い思いに名を挙げる。
「ねー主さんの答えを聞かせて下さいよ」
ななしの側ににじり寄った鯰尾藤四郎は袖を引いて尋ねた。
対してななしの返事は疎かなもので「あー」だとか「うーん」だとか気のない返事しか返ってこない。
「勿論、主の一番はこのへし切長谷部ですよね!!」
やはりななしの一番と聞いてやって来たへし切長谷部が鯰尾藤四郎とは反対側の位置に膝をつき陣取る。
「一番?」
「そうです!主が一番はこのへし切長谷部!そうですね?!」
「うーん、一番、一番」
ななしはうーんと唸りながらもコントローラーの操作を止めない。
その間にもへし切長谷部を押し退けて他の男士が自身を売り込むのだが聞いているのかいないのか。
「あ、」
ななしは声を上げた。
テレビの画面に映るキャラクターは長柄の武器を手にしてやはり凛々しい顔付きでこちら側を見ている。
「うん、槍が一番好きだわ。広範囲だし槍最高ー!」
君に決めたとななしはコントローラーの決定ボタンを押した。
と、同時に廊下側からもの凄い音が聞こえた。
流石にその音を聞き流す事は出来なかったのかななしは此処で漸く画面から廊下へと視線を移す。
「えっ三人共どったの?」
そこには廊下に尻を付き、真っ赤な顔をして辺りに桜の花弁を散らす三名槍がいた。
「ていうか、みんなもマジでどうした??!」
顔が赤い三人に対して周りはまるでお通夜の様な雰囲気で顔色が悪い。
集団で風邪でも引いているのかとななしは一人慌てふためく。
この後、ななしは自身の不用意な発言により落ち込む男士達を慰めに周る事となり、暫くゲームはお預けとなるのであった。