創作刀剣男士
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政府が新しい刀の発表を行ったと同時刻、とある本丸のとある審神者は涙に顔を濡らしながら鍛刀を行なっていた。
彼女はこの本丸の主人であるが本来ならば彼女の側に控えていなければならない筈の近侍はこの場にいない。
その近侍は何処にいるのかと言うと数日前にこの本丸へと見習いとしてやってきた少女の側にいた。
近侍である彼だけでなく審神者がこれまで顕現した刀剣男士達は軒並みその見習いの少女に侍っている。
審神者は見習いによる乗っとりに遭っていた。
そしてとうとう本日、政府よりこの本丸を見習いに譲る様にという指示が降りた。
審神者に従う男士がいれば連れて行く事も可能と書かれていたが審神者が尋ねた所皆等しく首を横へと振った。
それは初期刀としてこの本丸で審神者と共に苦楽を共にしていた彼も同じであった。
心の何処かで初期刀の彼だけは大丈夫と信頼していた審神者はその事に酷い衝撃を受け、そして審神者に従う男士がいないならばその身の安全の為に一振りは鍛刀する様にという政府の指示に従い彼女は泣きながらに鍛刀を行なっている。
どうしてこんな事になってしまったのか、そんな事を考え涙を零しながらに妖精達の鍛治を見つめる審神者。
あれがいけなかったのか、これが駄目だったのかとこれまでの自分を振り返っていた審神者は突如服の裾を引かれて驚く。
刀鍛治の妖精達は心配そうに審神者を見上げながら細く長い短刀を差し出していた。
それは見た事のない短刀であった。
粟田口やその他刀派の短刀達とは違う、鞘には小さな小花の模様が施され、何処か女性に向けて拵えらえられた様な短刀。
その小さな短刀を審神者は受け取り己の霊力を注いだ。
どうか今から顕現する彼だけは自分の味方でいてくれる様にと願いながら
「僕は無銘の
55.さすがちゃんは永久近侍
こうしてやってきてくれたさすがちゃんはその名に相応しく見習いが身に付けていた呪具を刺し壊し我が本丸を守ってくれました!
56.名無しの審神者
流石、さすがちゃん!
57.名無しの審神者
>>56
58.名無しの審神者
>>56
59.さすがちゃんは永久近侍
>>56
60.名無しの審神者
>>56
61.名無しの審神者
56は置いておいてイッチのコテハンから察するに本丸は守られたけど刀剣男士との溝は出来たままって事なのかな?
62.さすがちゃんは永久近侍
何だか互いに気まずくなっちゃって現在、関係を修復中です。
63.名無しの審神者
まあ、そうなるわな。
呪具の所為とはいえ主人を取り替えようとはしたわけだししゃーない
64.さすがちゃんは永久近侍
私はそんなに気にしてないんだけどさすがちゃんが「あの程度の呪具で主人を見失う様な鈍共は今すぐにでも打ち捨ててしまいましょう!」ってみんなの前で言っちゃうからみんなますます自分を責めちゃって
65.名無しの審神者
あー流石は主人至上主義のさすがちゃんだわ
66.名無しの審神者
さすがちゃんはどういう訳か刀剣を魅了する系の呪具や呪い、術が効かないからな
67.名無しの審神者
御神刀すら惑わす呪具が効かないってほんとさすがちゃんは凄いわ
68.名無しの審神者
私の隣のさすがちゃんが「主人の刀たるものたかが呪具程度で惑わされるなどあってはいけません」って頷きながら言ってる。
69.名無しの審神者
ちょっと待って!
俺の知ってるさすがさんと全然違うんだけど!!
70.名無しの審神者
>> 69
おめーさては新人の審神者だな
71.名無しの審神者
>> 69
おめーさては男の審神者だな
72.名無しの審神者
新人の審神者はまずさすがちゃん関連のスレを読んでろ。
無銘の短刀
その名の通り、名のない刺刀(さすが)、短刀である。
名前がない為皆からはさすがちゃんと呼ばれ親しまれている。
主人の名誉を守る事に拘りを持つ刀で詳細は不明。
過去の持ち主が女性であった事は幾つかの会話から窺え、本体である刀も女性に向いた愛らしい細工の鞘に納められている。
どういう理由かは不明だが女審神者には優しく男審神者には冷たい。
そう、男審神者には冷たい。
73.名無しの審神者
72、ツンデレかよ
74.名無しの審神者
まあ、さすがちゃんは男審神者に冷たいと言っても主人としては認めてくれてるし、訓練を積んだ俺達からするとさすがちゃんの冷たさはご褒美な訳でして
75.名無しの審神者
>>74
通報
76.名無しの審神者
>>74
通報
77.名無しの審神者
>>74
検非違使さーん!
78.74
止めて!
さすがちゃんもこんのすけに通報しようとしないで!!
79.名無しの審神者
74じゃないけどさすがちゃんは何だかんだ良い子だからいくら冷たくされてもみんな可愛がってる訳
80.名無しの審神者
なる、ほど?
81.名無しの審神者
新人はまださすがちゃんの可愛いさを知らないからそんな事が言えるんだ
82.名無しの審神者
さすがちゃんはなぁ
まさに沼なんだよ。
気付くと底のない沼にハマってるんだ。
83.名無しの審神者
歓迎するぜさすがちゃん沼へ
84.名無しの審神者
ようこそさすがちゃん沼へ
・
・
・
この後暫く新人をさすがちゃん沼へ沈めるべく先輩審神者達のうちの可愛いさすがちゃんトークが続いた。
「ふぅ、」
審神者は先輩方の書き込みを一通り見終えると端末の電源を落とした。
途端暗くなる室内。
審神者の後ろでは綺麗な姿勢で正座をするさすがが本体である短刀を手にしたままこの部屋唯一の入り口を見つめていた。
襖の向こうはとても静かである。
それまでは黒い靄を身に纏い気が触れたとしか思えぬ刀剣男士達が暴れ騒いでいたが今は打って変わり静かで、少しばかり不気味であった。
「さすが、ちゃん。もうずっとその状態だし俺と見張りの交代をしようか?」
「主人の心配に及びませぬ。僕もこの様な幼児の身なれど刀剣男士です。主人こそ人の身なのですからどうぞ僕に構わずお休み下さい」
入り口から視線を逸らさず淡々と答えたさすがに審神者は頬を掻いた。
それまでさすが“さん”と呼んでいたのを先輩達に倣いさすが“ちゃん”に変えてもみたがそれについても反応は無い。
先輩達は男の審神者であっても親しくなれば懐いてくれると言っていた。
いつかはそうなれば良いのだけれど、果たしてそうなる日はいつになるのかと堅苦しい態度のさすがを目にして審神者は思った。
「分かったよさすがちゃん。じゃあお言葉に甘えて休ませて貰うね」
注文から即日お届けを謳う審神者専用の通販サイトで取り寄せた布団を床へと敷き、審神者は寝転がる。
そしておやすみ三秒でいびきをかき出す審神者にさすがは振り向き嘆息を吐く。
「流石は主人でございます。この様な殺気に満ちた状況でお眠りになるとは」
先程から部屋の外は静かであるが確実に部屋へと向けられる殺気は増していた。
現在、この部屋は審神者が張った結界により護られているが御神刀や化け物斬りの逸話を持つ刀剣達ですら堕ちかけているこの本丸で敵となった彼等がどの様な行動に出るか分からない。
さすがと審神者は現在、かつてブラック本丸と呼ばれた場所にいた。
刀剣男士達を共に戦う仲間と思わず無理な進軍、暴力、夜伽等、人として行える悪行の限りを尽くし、刀剣男士達を荒ぶる神へと堕とす寸前まで貶めた審神者。
その様なブラックと言える行いをした審神者は無論、通報を受けた政府により逮捕された訳ではあるが荒ぶる神になる一歩手前まで堕ちた刀剣男士達をどうにかする術は政府になく、この本丸は暫くの間捨て置かれていた。
そこにやって来たのがさすがの今の主人である審神者である。
現世で賭博に身を沈め、あり金を全てなくした彼は高利貸しから貸した金の代わりに幾つかの臓器を回収されようとしていた所、その身に持つ浄化の能力に目を付けた政府が彼の借金を代わりに返済する事で助けられた。
賭博に溺れたどうしようもない彼であるがその身に持つ浄化の能力はその筋の者が見れば目を見開き驚き慄く程で、加えて審神者となる素質も多少持っていた。
こうして政府に多額の金を払わせて助けられた彼はその身で肩代わりしてもらった借金を返すべく穢れ荒れ果てたこの本丸へと放り込まれた。
審神者程の浄化の能力を持った者であればこれほど暗く淀んだ場所であっても一週間程の滞在で浄化されるらしい。
それを顕現されてすぐに暢気な様子で審神者から説明されたさすがは頭を抱えた。
正直のところ今すぐ本霊の元へと還りたくなった程である。
しかしそうも言ってられなかった。
あまりの穢れ具合に本丸内の調査を行なっていなかった政府はまさか審神者がいなくなってかなりの時間放置していた本丸内で刀剣男士達が顕現していたままだとは思っていなかったのである。
突如、鍛刀部屋で複数の刀剣男士達に刀を向けられた審神者を庇ったさすがは中傷となりながら今いる部屋へと籠り審神者に結界を張らせた。
審神者はさすがの手入れをしてからすぐさま政府へと現在の状況を伝えたが政府の回答は非情であった。
審神者が無事であり、尚且つ立て籠り出来たのならばと浄化続行を命じた。
政府としては本丸の浄化が完了すれば同じく中にいる刀剣男士達の浄化も済むだろうと考えているらしく、浄化を終え、刀剣男士達が審神者に対する恨みをなくした所で政府の迎えを遣すのでそれまでは本丸の浄化に尽力する様に、と政府は告げる。
それでも審神者は無理だと危ないと、殺されると固辞し続けたが最後は政府が肩代わりした借金を理由に黙らされてしまう。
政府との通信を終えた審神者はさすがに頭を下げた。
審神者は政府に言われて何気なしに鍛刀部屋に綺麗なまま置かれたさすがを顕現した。
それが顕現早々に中傷、ましてや自分より遥かに幼い姿のさすがが傷付いた事に酷く堪えたらしい。
何度も自分の所為ですまないと頭を下げた審神者にさすがは首を横へと振るい応えた。
「良いのです主人。僕は無銘の短刀。今の僕は主人の短刀、護り刀だ。僕の事は好きに使って」
さすがの言葉に審神者は少しばかり安堵の表情を浮かべていた。
立て籠りは政府が通販の使用を可能にしてくれた為快適であった。
初日、二日目は部屋の外から聞こえる音に反応しては怖がっていた審神者だが三日目となると共に立て籠るさすがの事が気になりインターネットで調べる迄の余裕が出ていた。
政府の見解で有れば後四日で本丸の浄化と共に穢れに満ちた刀剣男士達の浄化も完了する筈である。
それは如何だろうか。
そうも審神者や政府が考えている様に事が上手くいとはさすがには思えなかった。
確かに本丸内は審神者の霊力が巡る事で彼の持つ浄化の力も働き、この部屋を中心に清浄されているが時折この部屋の様子を窺いに来る刀剣男士達はというとあまり効果が出ていない様に思える。
付喪神と言えど末端ながらに神と名が付く存在。
いくら特別といえどたかが人間の浄化能力で積りに積もった神の怨みが晴れる訳があるまいに、というのがさすがの見解であった。
審神者は政府の言う一週間という期間を信じて心を正常に保っているがそれが違ったと知った時、審神者は一体どんな反応をするのだろうかとさすがはいびきをかいて眠る審神者の顔を覗き込む。
己の記憶に残る元の主人とかけ離れた男らしい顔付きに一度は表情を顰めたさすがである。
がすぐに表情を緩めた。
「主人。今の僕は主人の短刀だ。あの時は叶わなかったが今度こそ、今の主人の名誉を僕が必ず護ろう」
かつてのさすがは主人の名誉を護る事が出来なかった。
衆目に晒されながら嘆き苦しむ主人をただの短刀であったさすがは楽にしてやる事が出来なかった。
けれど今は違う。
審神者により顕現され、人の身を得た今のさすがであれば主人が望むならいつでも主人の胸を刺し貫き、主人の名誉を護る事が出来る。
そして今度こそ主人の名誉を護ったならば黄泉への旅路をお供をするのだとさすがは暗闇の中で微笑んだ。
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