双子と弁当屋の娘
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「そんな事ない」
サクラをじっと見据えていたクダリが口を開く。
「結果はどうあれ、サクラちゃんがしてきた事は僕達を思ってした事なんでしょ?」
ぱっちりと眼を開き尋ねてきたクダリにサクラは静かに頷く。
「お二人との関係がギクシャクするかもしれない事が嫌でした。
私が嘘を吐く事でお二人と今まで通りの関係が続けられるのなら、私は嘘つきでも構わないと・・・」
「僕はそのサクラちゃんの気持ちが凄く嬉しい!」
「私だって!」
今までクダリの言葉をただ聞くだけだったノボリがクダリに張り合う様な口振りで話出す。
「サクラ様が私達との関係を大事に思っていて下さった事を嬉しく思います!」
「・・・でも、私」
顔を隠す手が下ろされ、漸く見えたサクラの表情は今に泣きそうだった。
「お二人に何ともない顔をして嘘を吐きました。
嘘を吐いて、隠して、
お二人を困らせて
なのに今さら事がバレたからって前みたいにお二人といられない」
本日、三度目。
嗚咽を漏らし顔を隠したサクラの肩を背後から伸びる手が掴んだ。
「だからサクラさんは根が真面目過ぎ何ですよ」
「私はそんなサクラさんが大好きだけど」
片頬に手を添えて然り気無く告白をするトウコ。
「おい止めろ」
少しは空気を読めよと言ったトウヤにトウコは反論して噛み付くのだが今の状況が状況である。
静かすぎる場の空気に咳払いをしてトウコはその場を仕切り直す。
「あーえっと、何の話だっけ?」
頭を傾げたトウコにトウヤは痛むのか頭を押さえた。
そんなトウヤの側でトウコは逸れた話を引き戻す。
「私だってトウヤとかに沢山嘘を吐いてますよ!」
「へー例えば?」
それは初耳だと言わんばかりなトウヤの返しにトウコは己が吐いた嘘をつらつらと話しだす。
「本当はあったんだけど私が食べちゃって始めから無いものになったおやつとか」
「ほー・・・」
「庭の鉢植えを壊した時はお母さんにトウヤが壊したって嘘を伝えましたし」
「・・・・・・」
「小さい時なんて、自分がしたお漏らしをトウヤのせいにした事なんてしょっちゅう!」
ピクリとトウヤの眉が動いた。
サクラの肩を掴む手が彼女から離れて、トウコに伸ばされる。
「いつもいつもおかしいと思ってたんだよ・・・寝る前に飲み物を口にしないようにしてたのに朝起きると布団には粗相した跡」
あれは、とトウヤはトウコの首を腕で捕まえると自身の出せる力をめいいっぱいに締め上げた。
「トウコの仕業だったんだな!!」
トウヤの猛攻にトウコは「ギブ!ギブ!」と訴えるも彼は聞き入れない。
「俺が何れだけ母さんに叱られたと思って!!」
「ごめん!ごめんなさい!後でちゃんと謝るから先ずは」
とトウコが視線を向けた先は顔を俯かせたサクラ。
怒りに意識が向いていたトウヤはサクラの姿を見て、トウコの首を絞めていた腕の力を弱める。
その力が抜けた腕からするりと脱け出したトウコはサクラの前に周り、彼女の手を握った。
「サクラさん、今の会話を聞いて分かったと思うんですけど姉弟の私達でもお互いに嘘を吐く事があるんです」
「嘘を吐くのは主にトウコの方ですけどね」
トウコの言葉に茶茶を入れるトウヤに彼女は何も聴こえないと敢えて無視を決め込む。
「確かに嘘は良くない事かもしれないですけどノボリさんもクダリさんもサクラさんが吐いた嘘を気にしていないようですし、
ここは嘘を吐いた事を謝って仲直りしてはどうですか?」
ね?とトウコの出した提案にサクラは顔を上げてノボリとクダリを見る。
「私、お二人に平気な顔をして嘘を吐きました」
「はい」
「うん」
「私は嘘つきです。
それでも、
お二人は私と友達でいてくれますか?」
「勿論でございます」
「サクラちゃんは僕達の大切な友達だよ!」
当たり前だと言わんばかりに答えた二人にサクラは肩を震わせた。
抑え込むように口に手を当てたサクラの瞳からぽろりぽろりと涙が溢れる。
その涙に驚愕するノボリとクダリ。
彼女の溢した涙に驚き、慌てふためく二人の姿は何とも情けなくこの二人がサブウェイマスターだと言っても誰も信じてくれないだろう。
「別にお二人が泣かしたわけでは無いんですから落ち着いて下さい」
「サクラさん、その涙は嬉し涙なんですよね?」
ノボリとクダリに比べ落ち着いた様子のトウヤが尋ねればサクラはこくこくと頭を縦に振るう。
「安心したら急に、」
涙が溢れたというサクラの言葉にノボリとクダリは安心して胸を撫で下ろす。
「それじゃあ、お三方の仲直りという事で!」
にっこりと笑ったトウコはノボリとクダリの手を引っ張りサクラの手に握らせた。
「皆で仲直りの握手!」