双子と弁当屋の娘
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っ、くしゅん!
くしゃみをしたサクラに、彼女の肩に乗っていたラルトスはその小さな手で彼女に触れる。
『大丈夫ですか?風邪ですか?』
「大丈夫。私って元気が取り柄だから」
そう言えばラルトスは突然、ぐりぐりとサクラのの頭に顔を擦りつける。
聞けば『おまじない』との事。
『サクラさんが風邪をひかない為のおまじないです』
ぐりぐりと顔を擦りつけるラルトスの赤い角が刺さって痛いのだがそれを言い出せずサクラは感謝の言葉をのべる。
そんなサクラの隣では何枚も広げられたタウンマップをNが興味津々に眺めていた。
何時の間にか仲良くなっていたプラソルとマイナンを肩に乗せて地図と睨めっこ。
『僕達は元々このホウエンって所にいたの』
プラソルはホウエンと上に書かれた地図を指差す。
『でもそこで乱獲?にあって密輸されたんだっけ?』
『そうそう、そんな感じ』
「やっぱりポケモンを乱暴に扱う酷い人間がいるんだね」
二匹の身の上話に眉を寄せるN。
しかし自分達の身の上を話す二匹はその身の上を憐れむ所か笑っている。
『だけど脱走して逃げ出した僕達を助けてくれたのがサクラさん何だー』
『鉄橋の上で空を眺めてたら態々登って僕達の前に表れたのー』
故郷とは明らかに違う季候、生態。
慣れぬ環境の末に着いたのは真っ赤な橋の天辺。
そこは森や原っぱと違い、天敵のポケモンが少なくて二匹には好きに走り回れない事とたまに吹く海風以外は快適な場所だった。
しかし快適に過ごすのは二匹だけで、橋の上にいる二匹を見付けた人間達は騒ぎに騒いだ。
危ないと叫び集まり騒ぐ人々。
その騒ぎを聞き付けてか人垣を掻き分けて現れたのがサクラ。
あれは驚いたねーと話すプラソルとマイナン。
『橋の上にいる僕達に危ないって声をかけてくれる人はいたけど』
『態々橋の上に登ってくるなんて予想外!』
ポケモンの手も借りず自分の力だけで鉄橋を登り、二匹の前に表れたサクラは強風にスカートが捲れるのも構わず二匹に手を差し出し
"私が君達をお家に帰してあげる"
と微笑んだのだ。
『あの言葉に僕、うっかり手を取っちゃったんだよね』
『僕も!サクラさんは僕達をホウエンに帰してくれるって言うし』
『もうそろそろかな』
『きっともうそろそろだよね!』
Nの肩の上ではしゃぐプラソルとマイナン。
興奮の余りに二匹の手からは静電気がぱちぱちと音を鳴らして出ていた。
しかしその二匹の出す静電気に構わずNはサクラを見る。
「どうかしましたか?」
彼の視線に気付いたサクラはNに顔を向けて頭を傾げた。
「君はホウエンに行くのかい?」
突然の話に頭がついて行かないサクラ。
だが彼の肩に乗る二匹を見て何となくサクラは話の筋を理解した。
「二匹に聞いたんですね。
まあその内、の話ですけど」
サクラの視線がNからリビングや庭で遊ぶポケモン達の方に移った。
「ここにいる子達は皆、トレーナーに捨てられたり逃げ出した子達何ですよね。
人と少しでも一緒にいたポケモンが何れくらいの割合で野生に変えれるか知ってますか」
Nが考えるよりも前にサクラはそれが殆ど不可能である事を話した。
「ポケモンは人間より遥かに鼻が優れていますから匂いですぐにそのポケモン達が野生でない事を見抜くんです」
少しでも人間の匂いが染み付いたポケモンは群れに迎えてもらえない。
そうなると群れに迎えてもらえないポケモンはこの先一匹で生きていかなければなれなくなる。
「となると、一匹で生きていかなければならない彼等は一匹でも生きていけるだけの力がないと駄目何です」
自分だけで食料を手に入れ、天敵に打ち勝つ為の力。
サクラがNの右肩に乗るマイナンに手を伸ばせば、彼女の手に彼は頬を擦り付ける。
「だけど、この子達は二匹でもその力はまだないから」
一匹でも二匹でも自力で生きていけるようサクラはポケモンを拾う度に育てていた。
個々の故郷にみあったレベルに迄育ててから野生に帰す、それを何年何度も繰り返している。
「N君もこの子達が帰る時に一緒に行きましょうか?
さっきからの様子を見ていると他の地方にも興味があるみたいですし」
「君と、ホウエンに?」
「はい。
なんて、」
冗談だとサクラは笑った。