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双子と弁当屋の娘

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夜の闇が深くなり、ライモンシティが昼間以上に輝きだす時間。
明るく華やかな街の中心から離れた倉庫街は街の明るさを遠目に眺めていた。

海に面した場所に置かれた倉庫街は風が強く、昼間の暑さは何処へやら上着無しには体が震えてしまうような冷たい風が倉庫に向かって吹き付ける。


「こんな所で寒くないんですか?」

と声をかければ前方のもふもふした塊は動いた。

「大丈夫。この子達が暖めてくれてるから」

その塊、鳥ポケモンに包まれたNは前にあった時とはうって変わり覇気のない声で答える。
彼の返答に「そう、」とだけ答えたサクラは鳥ポケモンに包まれたNの隣に腰を下ろした。



「あああぁ・・・どうしてNの隣に!奴の隣に座る位なら私の上に乗れば良いのに」

屋上に出る入り口の隙間から座る二人の後ろ姿を見ていたトウコは余程羨ましいのか側の壁に爪を立てる。

「何で上?隣じゃなくて?」

「私、誰かと同じは嫌なの」

「本音は?」

「対面座位が好きなだけです!」

おっと、とノリで本音を漏らしたトウコは慌てて口元を押さえた。
しかし既に本音を漏らした後なので今更口元を押さえても遅く、突き刺さるようなトウヤの視線が痛い。


「・・・まあ、今のは聞かなかった事にしとくよ」

寧ろ、片割れがサクラに邪な思いを抱いているなんて言えるわけもなく自分にそっぽを向いたトウヤにトウコは抱きついた。

「ありがとうトウヤ!

私も絶対、トウヤの性癖とかサクラさんにバラさないから!!」

話したらバラされていたのか。
抱きつきながらも然り気無い脅しをかけてきたトウコに実の家族ながら恐ろしいとトウヤは戦く。

「トウヤ好きー!!サクラさんと手持ちのポケモンの次に好きよ」

サクラさんと手持ちポケモンの次って一体何番目だよと思いながらもトウヤも自分の中でのトウコの順位が同じ位だったのであまり文句は言えなかった。


「何やってるの?」

上から降ってきた声に顔を上げればNの手を引き怪訝な顔して床に転がる二人を見下すサクラ

「いや、これは」

「Nとの話しは終ったんですか?」

トウヤに馬乗りをしたトウコが尋ねるとサクラは頷いた。

「まあ、だいたい?」

「じゃあ!」

と下にいるトウヤに構わず立ち上がったトウコはサクラの手を握って満足気な顔をする。

サクラさんの右手ゲット」

「なにそれ」

笑みを溢したサクラは床に転がったままのトウヤに声をかけた。

「トウヤ君、大丈夫?」

トウコが立ち上がる際、声は上げなかったもののトウコにいたる所を踏まれていたトウヤ。
それを見ていたサクラはトウヤに声をかけたのだが、手を出したくても生憎両手共塞がっていて出せない。
それに困るサクラを見てトウヤは慌てて立ち上がる。

「俺は大丈夫ですよ」

「そっかじゃあ、夕飯にしましょう。

リクエストは十秒以内」

それ以内なら受け付けると言ったサクラにトウコとトウヤは歓声を上げて各々に食べたい物の名を上げた。

「私、海老フライと唐揚げ!」

「俺はハンバーグとポテトサラダ!」

「さっきより増えてない?

まあ、良いや。Nさんは」

まさか会話が振られると思っていなかったのだろう。
突然振られた話題に驚くNをトウコとトウヤが急かす。

「早く食べたい物を言った方が良いよ」

「こんなデレ、滅多にないんだから」

左右から急かされて困るNにサクラは笑いながら今食べたい物は何か尋ねた。


「・・・、オムライス」
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