双子と弁当屋の娘
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"様子見"という事で未だ入院させられているサクラには何もする事のない病院は暇でしかなかった。
「暇っ!」
声と共に閉じられた本はこれで20冊。
暇潰しにと今まで買っては開かずそのまま放置されていた老人の本を借りて読んでいたサクラであったが、元々それほど読書に興味がない彼女にはもう限界だった。
「もう本は飽きた」
『堪え性のない奴だな』
読み終わった本を投げ出すサクラにゾロアの姿でベッドに丸くなっていたゾロアークは横目で眺めながら溢す。
「流石にこれだけ読めば充分でしょ?」
備え付けの棚に積まれた本の塔。
積み重なるその塔全てが老人の趣味なのか平日夜九時頃に放送されているサスペンスドラマの様なサスペンス小説ばかりで、そればかりを読んでいたサクラにはもうサスペンスはお腹いっぱいだった。
ベッドに放り投げた小説を本の塔の天辺にのせて、テレビのリモコンを掴んだ。
赤く"電源"と書かれたボタンを押せば光る液晶。
徐々に映像を鮮明に映しだすテレビを見ていれば、テレビには見覚えのある場所が映されていた。
「あれ、ここ・・・ん?」
しかもなにやら様子がおかしい。
「ねえ、ゾロアーク」
ちょっと、と手招きすれば文句を溢しながらも体を起こし側に来るゾロアーク。
その彼が見やすいようサクラは彼の体を持ち上げテレビに近付ける。
「何か変じゃない?」
『前と変わらねぇだろ』
「うん、リーグの建物はね。
でもその後ろ、あんな壁みたいなのあったっけ」
画面の右上に"LIVE"の文字があるその映像はイッシュ地方最強とも言える四天王、チャンピオンがいるポケモンリーグの建物で、その後ろにはまるで壁の様な城がリーグを取り囲む様に立っていた。
『・・・あったんじゃね?』
「嘘っ!絶対無かった!!」
ある!無い!と言い合っている一人と一匹。
そんな一人と一匹に構わずテレビの中のアナウンサーは焦燥気味に異様なポケモンリーグの様子を伝え出した。
「"突如、ポケモンリーグを襲った異変はメディア向けに送られた声明から
プラズマ団の仕業としており"」
「プラズマ団、」
─君には見届けてもらいたいものがある─
「"ポケモンリーグの管理を行っているポケモン協会は各地のジムリーダーを召集、また警察とも手を組みこの事態を早々に・・・"」
─僕は世界を導く英雄として彼に選ばれた─
─僕は彼と力を合わせ、世界を変える─
─その為に僕はチャンピオンリーグに挑戦し─
─チャンピオンを倒す!─
「・・・N、さん」
再度早口にリーグの異変を伝えるアナウンサー。
テレビを見つめながら名前なのかも分からぬ短い英数字を呟いたサクラにゾロアークは『あのアナウンサーの名前か?』と尋ねるのだがサクラは答えない。
何か思案でもしているのか固まって動かないサクラ。
暫くしてやっと動いたサクラは枕元のライブキャスターをひっつかみアドレス帳を開き、
またも止まった。
『お、おい』
本当にどうしたんだよとサクラの異様な様子にゾロアークは俯いてしまった彼女の顔を覗き込む。
『お前、何て顔してんだ』
ライブキャスターを握り締めたサクラの表情は酷く不安に満ちていた。
彼女と長い付き合いであるゾロアークでも滅多に見ない程、強い不安に駆られたサクラの表情。
『リーグのあの状況、お前も何か関わりがあるのか?』
「・・・テレビに映ってる彼処に多分だけどトウコちゃんとトウヤ君がいるの」
そう言えばゾロアークは驚く表情をした。
『あの騒ぎのまっただ中に?』
「そう、しかも傍観者じゃなくて当事者として」
『そりゃあ、
・・・心配だな』
ゾロアークが化けたその小さな体でサクラの肩に乗れば、サクラはゾロアークの柔らかな毛並みに顔を擦り寄せる。
「きっと二人共大丈夫だよね」
二人の身を案じるサクラに対しテレビはリーグが未だ油断出来ない状況を報じる。
『あの二人なら大丈夫だろ』
ゾロアークはそう言うとサクラの肩から飛び降り、ベットに置かれたチャンネルの電源を押した。
テレビの画面が真っ暗になると入れ替わりに画面を明るくして呼び出し音を鳴らすライブキャスター。
「わ、わ、わっ?!」
突然の音に驚いたサクラはライブキャスターを思わず放り投げ出してしまうのだが、それをゾロアークが口でキャッチ。
ゾロアークは呆れた目でサクラにライブキャスターを渡した。
彼の呆れた目にサクラは苦笑いを浮かべながら通話ボタンを押すと
「"もしもし"」
覚えのある声。
「もしもし!トウヤ君?!」
「"Nからサクラさんの伝言を聞きました。
絶対奴等の計画は俺が阻止しますから"」
「うん、でも無理だけ「"何、トウヤだけカッコイイ事言ってるのよ!!!"」」
ライブキャスターを繋いでから向こうでは何やら揉め事の様なものは聴こえていたのだが、突如サクラの耳を襲うトウコの大声。
その鼓膜を突き破らんとするトウコの大声にサクラは視界をぐらぐらと揺らしながらも再度「もしもし」と相手の応答を求めれば電話の主はトウヤからトウコに代わっていた。
「"あのストーカーから伝言聞きました!凄く嬉しかったです!
でも一体、いつNに"「"その話はまた後で良いだろ"」」
今度はトウコからトウヤに代わる。
相変わらず騒がしい二人にサクラは笑みを浮かべた。
「"俺もトウコも全力でプラズマ団の計画をぶち壊しますから"」
「"サクラさんは私達の為に応援してて下さい!"」
「もちろん。
全力で応援する。だから、
絶対に帰ってきてね」
「暇っ!」
声と共に閉じられた本はこれで20冊。
暇潰しにと今まで買っては開かずそのまま放置されていた老人の本を借りて読んでいたサクラであったが、元々それほど読書に興味がない彼女にはもう限界だった。
「もう本は飽きた」
『堪え性のない奴だな』
読み終わった本を投げ出すサクラにゾロアの姿でベッドに丸くなっていたゾロアークは横目で眺めながら溢す。
「流石にこれだけ読めば充分でしょ?」
備え付けの棚に積まれた本の塔。
積み重なるその塔全てが老人の趣味なのか平日夜九時頃に放送されているサスペンスドラマの様なサスペンス小説ばかりで、そればかりを読んでいたサクラにはもうサスペンスはお腹いっぱいだった。
ベッドに放り投げた小説を本の塔の天辺にのせて、テレビのリモコンを掴んだ。
赤く"電源"と書かれたボタンを押せば光る液晶。
徐々に映像を鮮明に映しだすテレビを見ていれば、テレビには見覚えのある場所が映されていた。
「あれ、ここ・・・ん?」
しかもなにやら様子がおかしい。
「ねえ、ゾロアーク」
ちょっと、と手招きすれば文句を溢しながらも体を起こし側に来るゾロアーク。
その彼が見やすいようサクラは彼の体を持ち上げテレビに近付ける。
「何か変じゃない?」
『前と変わらねぇだろ』
「うん、リーグの建物はね。
でもその後ろ、あんな壁みたいなのあったっけ」
画面の右上に"LIVE"の文字があるその映像はイッシュ地方最強とも言える四天王、チャンピオンがいるポケモンリーグの建物で、その後ろにはまるで壁の様な城がリーグを取り囲む様に立っていた。
『・・・あったんじゃね?』
「嘘っ!絶対無かった!!」
ある!無い!と言い合っている一人と一匹。
そんな一人と一匹に構わずテレビの中のアナウンサーは焦燥気味に異様なポケモンリーグの様子を伝え出した。
「"突如、ポケモンリーグを襲った異変はメディア向けに送られた声明から
プラズマ団の仕業としており"」
「プラズマ団、」
─君には見届けてもらいたいものがある─
「"ポケモンリーグの管理を行っているポケモン協会は各地のジムリーダーを召集、また警察とも手を組みこの事態を早々に・・・"」
─僕は世界を導く英雄として彼に選ばれた─
─僕は彼と力を合わせ、世界を変える─
─その為に僕はチャンピオンリーグに挑戦し─
─チャンピオンを倒す!─
「・・・N、さん」
再度早口にリーグの異変を伝えるアナウンサー。
テレビを見つめながら名前なのかも分からぬ短い英数字を呟いたサクラにゾロアークは『あのアナウンサーの名前か?』と尋ねるのだがサクラは答えない。
何か思案でもしているのか固まって動かないサクラ。
暫くしてやっと動いたサクラは枕元のライブキャスターをひっつかみアドレス帳を開き、
またも止まった。
『お、おい』
本当にどうしたんだよとサクラの異様な様子にゾロアークは俯いてしまった彼女の顔を覗き込む。
『お前、何て顔してんだ』
ライブキャスターを握り締めたサクラの表情は酷く不安に満ちていた。
彼女と長い付き合いであるゾロアークでも滅多に見ない程、強い不安に駆られたサクラの表情。
『リーグのあの状況、お前も何か関わりがあるのか?』
「・・・テレビに映ってる彼処に多分だけどトウコちゃんとトウヤ君がいるの」
そう言えばゾロアークは驚く表情をした。
『あの騒ぎのまっただ中に?』
「そう、しかも傍観者じゃなくて当事者として」
『そりゃあ、
・・・心配だな』
ゾロアークが化けたその小さな体でサクラの肩に乗れば、サクラはゾロアークの柔らかな毛並みに顔を擦り寄せる。
「きっと二人共大丈夫だよね」
二人の身を案じるサクラに対しテレビはリーグが未だ油断出来ない状況を報じる。
『あの二人なら大丈夫だろ』
ゾロアークはそう言うとサクラの肩から飛び降り、ベットに置かれたチャンネルの電源を押した。
テレビの画面が真っ暗になると入れ替わりに画面を明るくして呼び出し音を鳴らすライブキャスター。
「わ、わ、わっ?!」
突然の音に驚いたサクラはライブキャスターを思わず放り投げ出してしまうのだが、それをゾロアークが口でキャッチ。
ゾロアークは呆れた目でサクラにライブキャスターを渡した。
彼の呆れた目にサクラは苦笑いを浮かべながら通話ボタンを押すと
「"もしもし"」
覚えのある声。
「もしもし!トウヤ君?!」
「"Nからサクラさんの伝言を聞きました。
絶対奴等の計画は俺が阻止しますから"」
「うん、でも無理だけ「"何、トウヤだけカッコイイ事言ってるのよ!!!"」」
ライブキャスターを繋いでから向こうでは何やら揉め事の様なものは聴こえていたのだが、突如サクラの耳を襲うトウコの大声。
その鼓膜を突き破らんとするトウコの大声にサクラは視界をぐらぐらと揺らしながらも再度「もしもし」と相手の応答を求めれば電話の主はトウヤからトウコに代わっていた。
「"あのストーカーから伝言聞きました!凄く嬉しかったです!
でも一体、いつNに"「"その話はまた後で良いだろ"」」
今度はトウコからトウヤに代わる。
相変わらず騒がしい二人にサクラは笑みを浮かべた。
「"俺もトウコも全力でプラズマ団の計画をぶち壊しますから"」
「"サクラさんは私達の為に応援してて下さい!"」
「もちろん。
全力で応援する。だから、
絶対に帰ってきてね」