双子と弁当屋の娘
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野次馬と呼べる人混みの向こう、ジュンサー様に背中を押されながらパトカーに乗せられる彼女の姿を見て私は只、呆然と立ち尽くすしか無かったのでございます。
人混みの中にはプラズマ団にポケモンを奪われた方も多くいて、その方達は彼女に罵詈雑言を浴びせておりました。
彼等は大切なポケモンを奪われたのですから恨み言を言う気持ちも分からなくないのですが中にはあまりに酷い言葉を投げかける人もいて私は思わず拳を握ります。
ですが、私にはそれを止める資格がありません。
彼女の無実を信じながら心の奥、何処かで彼女を疑う自分がいました。
彼女は、
サクラ様はそんな事をする方ではないと頭で分かっている筈なのに「もしかしたら」と考えてしまうのです。
そんな私に彼女を庇う資格があるのでしょうか。あり得ません、もしあったとして自分を疑う相手に庇われてサクラ様は喜んで下さるのでしょうか。
どうしてこんな事になってしまったのでしょう。少し前迄は私とクダリ、サクラ様で楽しく遊園地を回っておりました。
どうして、どうして、
「どうしてこの様な事に」
ノボリの苦悶に満ちた声が聴こえた。
どうしてこんな事になったんだろうね。
それは僕も知りたい。
僕達は只、遊園地で遊んでただけなのに・・・神様は意地悪だ。
せっかく三人で楽しんでたのにこんなハプニングを起こすなんて
ちょっとしたハプニングなら僕も喜ぶけどこれは全然楽しくないし笑えない。
サクラちゃんはずっと俯いたままパトカーに乗っちゃったし、ノボリは拳を握って苦しそうな顔をしてる。
きっとまた自分は嫌な奴だとか考えてるんだろうな。考え込むのは別に良いけどノボリのネガティブ思考?何でも自分を悪役にするのは良くないと思う。
それにしても何だろこの人達・・・サクラちゃんをプラズマ団の一員か何かと勘違いしてるみたいだけどさ。それ勘違いだし、ポケモンを奪われたのだって自分の力不足じゃない。
それを棚にあげてサクラちゃんに酷い事を言ってるけど僕から言わせれば自業自得。
自分のポケモンを守れない人間にポケモンを持つ資格ないって事。
まあ、それを敢えて口にしたりはしないけど
サクラちゃんを乗せたパトカーが走って行って、人混みが散々になった所で僕はノボリに問い掛けてみた。
「ノボリはサクラちゃんが犯人の一味だとか思ってる?」
ノボリはすぐに否定したけど、最後は殆ど聞き取れない。
否定したいけど、確信が持てないそんな処かなと僕は思う。
ノボリも自分の気持ちが僕にバレているのは分かってるのかちらりと僕を見て同じ質問をしてきた。
僕?僕は自信を持ってサクラちゃんがそんな犯罪行為をしていないって言えるよ!
特に確信とかはないけど、サクラちゃんは良い子だし、何だかんだ言って優しい所があるからそんな人が困る様な事はしないと思うんだ。
そう、ノボリに伝えたらノボリがすっごく驚いて呆れた顔をしてた。
この顔って僕を馬鹿にしてる?
「貴方を馬鹿に等していません。寧ろ羨ましいと思う位です」
「ノボリは、僕が羨ましいの?」
ちょっとその言葉が信じられなかった。
基本能力は殆ど一緒の僕達。得意不得意な事は互いにあるけどだいたい周りから評価されるのは何時もノボリの方。
そんなノボリが僕を羨ましい?
「そんなに瞬きせずともこれは夢ではありませんよ」
ノボリに言われて僕は瞬きを止めた。そうか夢じゃないのか。嬉しい半面、残念も半面だ。
「隣の芝生は青く見えると言うでしょう?私は貴方が無条件にサクラ様を信用出来る純粋さが羨ましい」
「ノボリは出来ないの?」
「私は駄目ですね。いくら信用しようとしてもついつい邪推してしまいます」
「だったらサクラちゃんを信用出来るよう調べようよ!」
「は?」
「僕達で調べてサクラちゃんが無実な事を証明するの!
そうしたらノボリはサクラちゃんを信用出来るし無駄な疑いは晴れる。
これ、一石二鳥!!」
「ですが、そういうのは警察の方の仕事では・・・。
それを私達がしては邪魔になりませんか」
もう、ノボリってこういう所固いよね!
これは誰の、あれは誰のって役割を作っちゃって自分で身動き取れなくしちゃうの。普段はそれでも良いけど、こういう時はそれじゃあ凄く困る。
「じゃあ、ノボリはサクラちゃんがこのまま不当にに身柄を拘束されてても良いの?
へーノボリはそんな酷い奴だったんだ」
「私はそんなつもりで言ったのではありません!
もし私達が勝手に動いて、それがサクラ様の不利益になるような事があったらと心配を・・・」
「でもそれはノボリ君が心配してるだけで、彼女が嫌がったわけじゃ無いんでしょ?」
二人の会話に入って来たのは今まで遊園地の職員と話していたカミツレだった。
突然のカミツレ登場にノボリは驚いた顔をする。
「私はクダリ君の意見に賛成よ」
クダリの肩に腕を置き、笑みを浮かべたカミツレ。
突然の登場で、突然の賛成意見に味方を得たクダリはそら見ろ!と言わんばかりに胸を張り、ノボリは頭を押さえた。
「まず、警察は遊園地職員の証言を元にサクラちゃんを連行して行ったけど、その証言自体怪しいのよね」
溜め息混じりに呟かれた言葉にノボリもクダリも食いつく。
「カミツレ様、それはどういう事ですか」
「カミツレちゃん、それ詳しく!」
始めにおかしいと気付いたのはジュンサーとサクラのやり取りを見ていた従業員だった。
何がおかしいのか尋ねればジュンサーが話していた証言自体おかしいのだと答える。
"正午にゴミ箱の回収を行った際にヤブクロンの姿は無かった"
とジュンサーは言っていたが、お昼過ぎとゴミが増える時間帯にまずゴミを回収しないのだと彼女は言う。
それが本当なのか、カミツレは清掃員を含む従業員に尋ね回ってみたが回答は皆同じだった。
「そんな時間にゴミの回収はありえない
それがここの従業員の回答。後、聞いてて分かったんだけど
いないのよ」
「何がいないのですか?」
「ジュンサーさんが聞いたって言う証言の主が」
カミツレは証言の真偽を確かめる為にこの場にいた清掃員全員を訊ねたが、皆が同じ回答をし何故かジュンサーの聴取に答えた者が見つからない。
「変だと思わない?」
そう言ったカミツレの表情は何処か楽しげだった。
この状況を楽しむ等、不謹慎だと言われても仕方がないが確かに楽しむに充分な物が揃っている。
職員と食い違う証言
消えた証言者
まるで推理小説の一文の様な展開が彼等の周りで起こっていた。
「確かに変でございます」
「ジュンサーさんに嘘の証言するなんてそいつ凄く怪しい!」
「これで、ノボリ君もサクラちゃんの無実を証明する気になったんじゃないかしら?」
カミツレの言葉にクダリはどうなんだという視線をノボリに送る。
「ノボリはこの話を聞いてもまだ調べる気になれない?」
「・・・カミツレ様の話を聞いてサクラ様の連行が証拠不十分なものと分かった今、彼女の釈放を求めるのは当然の事だと思います」
「じゃあ、」
「サクラ様の疑いを晴らす為私達で無実を証明致しましょう」
人混みの中にはプラズマ団にポケモンを奪われた方も多くいて、その方達は彼女に罵詈雑言を浴びせておりました。
彼等は大切なポケモンを奪われたのですから恨み言を言う気持ちも分からなくないのですが中にはあまりに酷い言葉を投げかける人もいて私は思わず拳を握ります。
ですが、私にはそれを止める資格がありません。
彼女の無実を信じながら心の奥、何処かで彼女を疑う自分がいました。
彼女は、
サクラ様はそんな事をする方ではないと頭で分かっている筈なのに「もしかしたら」と考えてしまうのです。
そんな私に彼女を庇う資格があるのでしょうか。あり得ません、もしあったとして自分を疑う相手に庇われてサクラ様は喜んで下さるのでしょうか。
どうしてこんな事になってしまったのでしょう。少し前迄は私とクダリ、サクラ様で楽しく遊園地を回っておりました。
どうして、どうして、
「どうしてこの様な事に」
ノボリの苦悶に満ちた声が聴こえた。
どうしてこんな事になったんだろうね。
それは僕も知りたい。
僕達は只、遊園地で遊んでただけなのに・・・神様は意地悪だ。
せっかく三人で楽しんでたのにこんなハプニングを起こすなんて
ちょっとしたハプニングなら僕も喜ぶけどこれは全然楽しくないし笑えない。
サクラちゃんはずっと俯いたままパトカーに乗っちゃったし、ノボリは拳を握って苦しそうな顔をしてる。
きっとまた自分は嫌な奴だとか考えてるんだろうな。考え込むのは別に良いけどノボリのネガティブ思考?何でも自分を悪役にするのは良くないと思う。
それにしても何だろこの人達・・・サクラちゃんをプラズマ団の一員か何かと勘違いしてるみたいだけどさ。それ勘違いだし、ポケモンを奪われたのだって自分の力不足じゃない。
それを棚にあげてサクラちゃんに酷い事を言ってるけど僕から言わせれば自業自得。
自分のポケモンを守れない人間にポケモンを持つ資格ないって事。
まあ、それを敢えて口にしたりはしないけど
サクラちゃんを乗せたパトカーが走って行って、人混みが散々になった所で僕はノボリに問い掛けてみた。
「ノボリはサクラちゃんが犯人の一味だとか思ってる?」
ノボリはすぐに否定したけど、最後は殆ど聞き取れない。
否定したいけど、確信が持てないそんな処かなと僕は思う。
ノボリも自分の気持ちが僕にバレているのは分かってるのかちらりと僕を見て同じ質問をしてきた。
僕?僕は自信を持ってサクラちゃんがそんな犯罪行為をしていないって言えるよ!
特に確信とかはないけど、サクラちゃんは良い子だし、何だかんだ言って優しい所があるからそんな人が困る様な事はしないと思うんだ。
そう、ノボリに伝えたらノボリがすっごく驚いて呆れた顔をしてた。
この顔って僕を馬鹿にしてる?
「貴方を馬鹿に等していません。寧ろ羨ましいと思う位です」
「ノボリは、僕が羨ましいの?」
ちょっとその言葉が信じられなかった。
基本能力は殆ど一緒の僕達。得意不得意な事は互いにあるけどだいたい周りから評価されるのは何時もノボリの方。
そんなノボリが僕を羨ましい?
「そんなに瞬きせずともこれは夢ではありませんよ」
ノボリに言われて僕は瞬きを止めた。そうか夢じゃないのか。嬉しい半面、残念も半面だ。
「隣の芝生は青く見えると言うでしょう?私は貴方が無条件にサクラ様を信用出来る純粋さが羨ましい」
「ノボリは出来ないの?」
「私は駄目ですね。いくら信用しようとしてもついつい邪推してしまいます」
「だったらサクラちゃんを信用出来るよう調べようよ!」
「は?」
「僕達で調べてサクラちゃんが無実な事を証明するの!
そうしたらノボリはサクラちゃんを信用出来るし無駄な疑いは晴れる。
これ、一石二鳥!!」
「ですが、そういうのは警察の方の仕事では・・・。
それを私達がしては邪魔になりませんか」
もう、ノボリってこういう所固いよね!
これは誰の、あれは誰のって役割を作っちゃって自分で身動き取れなくしちゃうの。普段はそれでも良いけど、こういう時はそれじゃあ凄く困る。
「じゃあ、ノボリはサクラちゃんがこのまま不当にに身柄を拘束されてても良いの?
へーノボリはそんな酷い奴だったんだ」
「私はそんなつもりで言ったのではありません!
もし私達が勝手に動いて、それがサクラ様の不利益になるような事があったらと心配を・・・」
「でもそれはノボリ君が心配してるだけで、彼女が嫌がったわけじゃ無いんでしょ?」
二人の会話に入って来たのは今まで遊園地の職員と話していたカミツレだった。
突然のカミツレ登場にノボリは驚いた顔をする。
「私はクダリ君の意見に賛成よ」
クダリの肩に腕を置き、笑みを浮かべたカミツレ。
突然の登場で、突然の賛成意見に味方を得たクダリはそら見ろ!と言わんばかりに胸を張り、ノボリは頭を押さえた。
「まず、警察は遊園地職員の証言を元にサクラちゃんを連行して行ったけど、その証言自体怪しいのよね」
溜め息混じりに呟かれた言葉にノボリもクダリも食いつく。
「カミツレ様、それはどういう事ですか」
「カミツレちゃん、それ詳しく!」
始めにおかしいと気付いたのはジュンサーとサクラのやり取りを見ていた従業員だった。
何がおかしいのか尋ねればジュンサーが話していた証言自体おかしいのだと答える。
"正午にゴミ箱の回収を行った際にヤブクロンの姿は無かった"
とジュンサーは言っていたが、お昼過ぎとゴミが増える時間帯にまずゴミを回収しないのだと彼女は言う。
それが本当なのか、カミツレは清掃員を含む従業員に尋ね回ってみたが回答は皆同じだった。
「そんな時間にゴミの回収はありえない
それがここの従業員の回答。後、聞いてて分かったんだけど
いないのよ」
「何がいないのですか?」
「ジュンサーさんが聞いたって言う証言の主が」
カミツレは証言の真偽を確かめる為にこの場にいた清掃員全員を訊ねたが、皆が同じ回答をし何故かジュンサーの聴取に答えた者が見つからない。
「変だと思わない?」
そう言ったカミツレの表情は何処か楽しげだった。
この状況を楽しむ等、不謹慎だと言われても仕方がないが確かに楽しむに充分な物が揃っている。
職員と食い違う証言
消えた証言者
まるで推理小説の一文の様な展開が彼等の周りで起こっていた。
「確かに変でございます」
「ジュンサーさんに嘘の証言するなんてそいつ凄く怪しい!」
「これで、ノボリ君もサクラちゃんの無実を証明する気になったんじゃないかしら?」
カミツレの言葉にクダリはどうなんだという視線をノボリに送る。
「ノボリはこの話を聞いてもまだ調べる気になれない?」
「・・・カミツレ様の話を聞いてサクラ様の連行が証拠不十分なものと分かった今、彼女の釈放を求めるのは当然の事だと思います」
「じゃあ、」
「サクラ様の疑いを晴らす為私達で無実を証明致しましょう」