双子と弁当屋の娘
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くしゅん
と、星が輝き出した空のしたサクラはくしゃみをした。
『誰かお前の噂でもしてるんじゃないのか?』
と笑うネイティにサクラはまさかと笑い返す。
「きっと空が寒いから体が吃驚したんだよ」
だからくしゃみが出たと言うサクラにカイリューは心配そうな顔を向ける。
『大丈夫ですか?』
「大丈夫大丈夫。
で、大きな袋を抱えた間抜けな泥棒は何処よ」
とサクラが尋ねればネイティに化けているゾロアークは丁度この真下だと言った。
爆発が起きていた園内に入る際、サクラはゾロアークと二手に別れていた。
「私は出来るだけプラズマ団を倒してくるからゾロアークは園内の状況を見つつモンスターボールを沢山持ってる奴を探して」
サクラからの提案にゾロアークは渋る。
もう何度も爆発が起きている園内にサクラを一人にするのはどうしても不安だった。
そんな彼の不安を察知したかの様にサクラは四つのボールを宙に上げる。
ボールから出てきたカイリューとラッキー、それにプラスルとマイナン。
プラスルとマイナンは遊び疲れて少し眠そうだったが、カイリューとラッキーはボールの中で事の経緯を聴いていたのだろう。
二匹とも深刻な面持ちをしていて特にラッキーはヤル気満々でもあった。
『水色のてるてる坊主に何時かのお返しが出来る』
ととても張り切っている。
一部不安だが、安心出来るメンバーに強張っていたゾロアークの表情が少し和らぐ。
「これでもまだ渋る?」
『いや、文句無しだ』
文句の付けようが無いと彼は言い、サクラはゾロアークと別れ園内に突入した。
そんな彼が戻って来てサクラに言う。
『分かりやすい袋を担いだ馬鹿を見付けた』と
その情報にサクラはカイリューに跨がり空へと上がったわけなのだが
「この真下?」
サクラの問いにネイティはそうだと頷く。
んーと唸る様な声を上げたサクラは真下を見るのだが下は一面黒い霧で覆われ、馬鹿者どころか木や建物すら見えない。
これでは相手の正確な位置が分からないと言ったサクラにカイリューが
『じゃあ、僕が何とかしましょう!』
と言った。張り切って言うものだからそんな事出来るのかと驚き尋ねたら
『たぶん』
とさっきの張り切りは何処へやら弱気な返事が返ってくる。
『たぶん、たぶんイケると思います!』
「そんなに"たぶん"を強調しなくて良いから」
『本当に大丈夫なのか?』
「カイリュー君が無理なら後は任せた」
『げっ』何て嫌そうな声がネイティから聴こえたがサクラは聴こえない振りをしてカイリューに"ぼうふう"を命じた。
カイリューから繰り出される強い風が霧にぶつかり見事に霧散させる。
黒い霧が次第に晴れていく園内を、忙しなく駆ける大きな袋。
その袋は何処かで引っ掻けたのであろう少し破けた所からモンスターボールが顔を覗かせている。
「プラズマ団って言うのは何れだけ間抜けなのよ」
呆れ、文句を溢しながらサクラはカイリューに急降下を命じた。
走り続ける男の口から荒い息が漏れる。
始めは数で優勢に経っていたプラズマ団だが応援に駆け付けたというサブウェイマスターと見付かれば容赦なく"はかいこうせん"を放つラッキーを連れた少女によって劣勢を強いられていた。
そんな時に出会したジムリーダーとジムトレーナー。
今も荒い呼吸をしながら走る男が一緒にいた仲間は抵抗する女からクルマユを奪おうとしている所でジムリーダーと途中で合流したのであろうジムトレーナーに倒されてしまう。
男は奪ったボールを担いでいた為、バトルに参加出来なかったが何故か相手のジムリーダーは鬼の様な形相を浮かべていて、仲間が「お前は先に逃げろ!」と言ってくれなかったら腰を抜かしていた所だった。
しかし、状況としてはかなりプラズマズイが結果としては上々と言える。
それを表す様に背負ったモンスターボールが重い。かなり重い。
「女の子に対して重いなんて失礼な人ね」
「これはすまない。大変失礼した
って、」
声に気付いたしたっぱの男がおそるおそる振り向くと自分が背負うモンスターボールの上に腰掛ける少女。
何時の間にか霧は消えていて、空に上がった月の灯りに照された少女は「天誅」としたっぱ男の顔面を蹴り飛ばした。
その容赦ない蹴りを受けた男は体を傾かせ、その場に倒れ込む。
男が地面へと倒れる前に自力で着地した少女、サクラは
「どう?」
と自分の着地に対しての評価を後ろにいたカイリューとネイティに求めた。
『流石です』
と賛辞を送るカイリューに対し
『良いんじゃねぇ』
と適当な評価をするネイティ。
「真面目に評価して」
『へいへい、良い着地だったぜ』
「それの何処が真面目になのよ!」
とサクラが一歩踏み出した直後、彼女の体が前に傾いた。
慌ててネイティからゾロアークに戻ったゾロアークが傾くサクラの体をキャッチしたので倒れずすんだが、受け止められたサクラは眉を寄せて顔を歪めている。
カイリューが情けない声を上げ、サクラの足元を指差すので何事かと見れば裸足であったサクラの足にずっぷりと爆発で割れたのであろうガラス片が刺さっていた。
「最悪、」
ガラス片が刺さった所から感じる痛みに涙を浮かべながら、サクラは自身に刺さったガラス片が引き抜こうと手を伸ばす。
『おい、あんまり無理するな』
「大丈夫。この程度のガラス片なんて」
一瞬で抜いてやると言ったサクラは歯を噛み締めながらも何とかガラス片を引き抜いた。
「・・・カイリュー君はモンスターボールの袋を持って、ボールを落とさない様に
この倒れた男はゾロアークが担いで」
よろよろと立ち上がったサクラの指示にゾロアークは意を唱える。
『こいつは此処に置いて置けば良いだろ!俺はお前を運ぶ』
「いつ気が付いて逃げ出すかも分からない。そんな人を置いて置けない」
私なら大丈夫だと、ゾロアークの背中を叩きサクラは一人で歩きだした。
その後ろ姿に『くそっ』と地面を蹴ったゾロアークは渋々気絶した男を担ぎ先を歩くサクラと肩を並べる。
『肩ぐらい貸しても文句を言わないだろ』
「ありがとう」
ゾロアークの言葉に甘え、肩を借りていたサクラ。
じばらく歩くと前方に沢山の人だかりが見えた。
誰かの通報で駆け付けたのであろうジュンサーさん達に何やら事情聴取されている風なカミツレの姿。
「カミツレさん!」
今まで身を案じていたカミツレの姿を見付け、サクラはゾロアークの制止も聞かずに彼女の元へ駆けた。
「あら、サクラちゃん?
ノボリ君とクダリ君からは園の外に置いてきたって聞いたんだけど」
「聞かずに勝手に来ちゃいました。
それよりカミツレさん、何処か怪我をしたりとかは」
自分は大丈夫だと、頭を撫でるカミツレにサクラは一安心する。
「怪我はしてないけど顔が汚れちゃったわ」
そう言った彼女の顔は爆発時の煤でも付いたのか黒く汚れていた。
「でもカミツレさん、今もキラキラに輝いていますよ」
「あら、嬉しい」
と誰もが赤くなる様な笑みを浮かべたカミツレは又もサクラの頬にキスを落とした。
途端、二回目にも関わらずふにゃふにゃになってしまうサクラ。
「カ、カミツレさん・・・」
「ふふ、ごめんなさい。あまりに可愛かったものだから摘まみ食いしたくなっちゃったの
そういえばノボリ君とクダリ君は?合流出来なかったの?」
「いえ、二人は」
と言いかけた所で丁度話題の中心にいた二人が警官や保護された客で賑わう人達の向こうから現れる。
「二人ともナイスタイミングね」
本当にナイスタイミングだと思っていれば、不自然な形でカミツレに抱き抱えられたサクラを見たクダリは顔を合わせるなる噴き出す。
「またカミツレちゃんにクラクラさせられちゃったの?」
「クダリ、これはクラクラというよりもふにゃふにゃでございます」
自分で言いながらもノボリは噴き出していた。
「サクラちゃん、カミツレちゃんに弱すぎ!」
「だって、だって!」
大爆笑のクダリ達に何とか反論しようとしていたらこの和やかな雰囲気に似つかわしくない表情をしたジュンサーがサクラの肩を叩く。
「あ、はい」
「彼処にいるポケモン達は貴女の手持ちですか」
指差されたのはカミツレとの再開で放置してしまっていたゾロアークとカイリューだった。
「そうです・・・あ、プラズマ団に奪われたモンスターボールを取り返したんです!」
何故か警官達に取り囲まれている二匹に相槌を求めれば、二匹は取り囲まれた自分達の状況に戸惑いながらも頷く。
「カイリュー君、取り返したモンスターボールを警察の人に渡してあげて」
サクラの指示に応えたカイリューは持っていた袋を前に差し出すのだが、周りの様子がおかしい。
まるでカイリューが今に何かしようとしているのではないかと疑う警官にサクラは頭を傾げた。
何時までも彼等が受け取らないので、サクラが袋を地面に置くよう指示すればやはり、警戒しながら袋を引ったくる。
一体、何なんだとその様子を眺めていたサクラにジュンサー話し出した。
「今回の爆発はプラズマ団が園内各所のゴミ箱にヤブクロンを置き、"じばく"を命じて起こったものだったそうなのですが
遊園地の清掃員に確認をとったところ正午にゴミ箱の回収を行った際にヤブクロンの姿はなかったと言っておりました」
そこまで、言ってジュンサーは手にしていたファイルから一枚の白黒写真を取り出す。
「これは正午を過ぎた頃に撮られた写真です。
写っているのは貴女で間違い無いですね?」
確かに写っていたのはサクラ自身だった。
手元は体で隠れて見えないが辺りを執拗に気にしながらもゴミ箱に何かを捨ている姿が見てとれる。
「場所を確認したところ、園内の雑木林に設置された職員向けのゴミ箱の様なのですが
貴女はこんな人気の無いところで一体、何を捨てていたんですか」
まるでサクラを犯人の一味と言っているようなジュンサーの口振りにサクラは首を横に振り否定した。
「私はヤブクロンをゴミ箱に入れたりしていない」
「だったら何を捨てていたんですか?」
「それは・・・」
言えなかった。
家で作ってきたお弁当を捨てたなどとノボリやクダリがいる前で言えるわけがなくサクラ黙り込むしかない。
何も悪い事はしていないのに疑われる。
そんな状況に唇を噛み俯けば別の警官ジュンサーに何やら耳打ちをしていた。
一体何なのか目の前で起こる内緒話にサクラは自分の無実を証明してくれる事ならいいのにと淡い期待を抱いたが、さらに厳しくなったジュンサーの表情を見てそうでは無いことを悟る。
「ポケモンを奪われた被害者達の確認が取れました。
貴女のカイリューが抱えていたのはプラズマ団に奪われたポケモン達と判明。詳しく事情を聞きたいので署までご同行願えますか?」
いつの間にかカミツレさんから引き剥がされて、警官に囲まれゾロアークやカイリューと同様に警棒を構えた警官に私も囲まれていた。
これでどう断われと言うのか、溜め息を溢したサクラは思う、たまにらしくない事をすればこれだと
両手を挙げて抵抗の意思がない事を見せたサクラは面倒臭気に口を開いた。
「どうぞ、お好きな様に」
と、星が輝き出した空のしたサクラはくしゃみをした。
『誰かお前の噂でもしてるんじゃないのか?』
と笑うネイティにサクラはまさかと笑い返す。
「きっと空が寒いから体が吃驚したんだよ」
だからくしゃみが出たと言うサクラにカイリューは心配そうな顔を向ける。
『大丈夫ですか?』
「大丈夫大丈夫。
で、大きな袋を抱えた間抜けな泥棒は何処よ」
とサクラが尋ねればネイティに化けているゾロアークは丁度この真下だと言った。
爆発が起きていた園内に入る際、サクラはゾロアークと二手に別れていた。
「私は出来るだけプラズマ団を倒してくるからゾロアークは園内の状況を見つつモンスターボールを沢山持ってる奴を探して」
サクラからの提案にゾロアークは渋る。
もう何度も爆発が起きている園内にサクラを一人にするのはどうしても不安だった。
そんな彼の不安を察知したかの様にサクラは四つのボールを宙に上げる。
ボールから出てきたカイリューとラッキー、それにプラスルとマイナン。
プラスルとマイナンは遊び疲れて少し眠そうだったが、カイリューとラッキーはボールの中で事の経緯を聴いていたのだろう。
二匹とも深刻な面持ちをしていて特にラッキーはヤル気満々でもあった。
『水色のてるてる坊主に何時かのお返しが出来る』
ととても張り切っている。
一部不安だが、安心出来るメンバーに強張っていたゾロアークの表情が少し和らぐ。
「これでもまだ渋る?」
『いや、文句無しだ』
文句の付けようが無いと彼は言い、サクラはゾロアークと別れ園内に突入した。
そんな彼が戻って来てサクラに言う。
『分かりやすい袋を担いだ馬鹿を見付けた』と
その情報にサクラはカイリューに跨がり空へと上がったわけなのだが
「この真下?」
サクラの問いにネイティはそうだと頷く。
んーと唸る様な声を上げたサクラは真下を見るのだが下は一面黒い霧で覆われ、馬鹿者どころか木や建物すら見えない。
これでは相手の正確な位置が分からないと言ったサクラにカイリューが
『じゃあ、僕が何とかしましょう!』
と言った。張り切って言うものだからそんな事出来るのかと驚き尋ねたら
『たぶん』
とさっきの張り切りは何処へやら弱気な返事が返ってくる。
『たぶん、たぶんイケると思います!』
「そんなに"たぶん"を強調しなくて良いから」
『本当に大丈夫なのか?』
「カイリュー君が無理なら後は任せた」
『げっ』何て嫌そうな声がネイティから聴こえたがサクラは聴こえない振りをしてカイリューに"ぼうふう"を命じた。
カイリューから繰り出される強い風が霧にぶつかり見事に霧散させる。
黒い霧が次第に晴れていく園内を、忙しなく駆ける大きな袋。
その袋は何処かで引っ掻けたのであろう少し破けた所からモンスターボールが顔を覗かせている。
「プラズマ団って言うのは何れだけ間抜けなのよ」
呆れ、文句を溢しながらサクラはカイリューに急降下を命じた。
走り続ける男の口から荒い息が漏れる。
始めは数で優勢に経っていたプラズマ団だが応援に駆け付けたというサブウェイマスターと見付かれば容赦なく"はかいこうせん"を放つラッキーを連れた少女によって劣勢を強いられていた。
そんな時に出会したジムリーダーとジムトレーナー。
今も荒い呼吸をしながら走る男が一緒にいた仲間は抵抗する女からクルマユを奪おうとしている所でジムリーダーと途中で合流したのであろうジムトレーナーに倒されてしまう。
男は奪ったボールを担いでいた為、バトルに参加出来なかったが何故か相手のジムリーダーは鬼の様な形相を浮かべていて、仲間が「お前は先に逃げろ!」と言ってくれなかったら腰を抜かしていた所だった。
しかし、状況としてはかなりプラズマズイが結果としては上々と言える。
それを表す様に背負ったモンスターボールが重い。かなり重い。
「女の子に対して重いなんて失礼な人ね」
「これはすまない。大変失礼した
って、」
声に気付いたしたっぱの男がおそるおそる振り向くと自分が背負うモンスターボールの上に腰掛ける少女。
何時の間にか霧は消えていて、空に上がった月の灯りに照された少女は「天誅」としたっぱ男の顔面を蹴り飛ばした。
その容赦ない蹴りを受けた男は体を傾かせ、その場に倒れ込む。
男が地面へと倒れる前に自力で着地した少女、サクラは
「どう?」
と自分の着地に対しての評価を後ろにいたカイリューとネイティに求めた。
『流石です』
と賛辞を送るカイリューに対し
『良いんじゃねぇ』
と適当な評価をするネイティ。
「真面目に評価して」
『へいへい、良い着地だったぜ』
「それの何処が真面目になのよ!」
とサクラが一歩踏み出した直後、彼女の体が前に傾いた。
慌ててネイティからゾロアークに戻ったゾロアークが傾くサクラの体をキャッチしたので倒れずすんだが、受け止められたサクラは眉を寄せて顔を歪めている。
カイリューが情けない声を上げ、サクラの足元を指差すので何事かと見れば裸足であったサクラの足にずっぷりと爆発で割れたのであろうガラス片が刺さっていた。
「最悪、」
ガラス片が刺さった所から感じる痛みに涙を浮かべながら、サクラは自身に刺さったガラス片が引き抜こうと手を伸ばす。
『おい、あんまり無理するな』
「大丈夫。この程度のガラス片なんて」
一瞬で抜いてやると言ったサクラは歯を噛み締めながらも何とかガラス片を引き抜いた。
「・・・カイリュー君はモンスターボールの袋を持って、ボールを落とさない様に
この倒れた男はゾロアークが担いで」
よろよろと立ち上がったサクラの指示にゾロアークは意を唱える。
『こいつは此処に置いて置けば良いだろ!俺はお前を運ぶ』
「いつ気が付いて逃げ出すかも分からない。そんな人を置いて置けない」
私なら大丈夫だと、ゾロアークの背中を叩きサクラは一人で歩きだした。
その後ろ姿に『くそっ』と地面を蹴ったゾロアークは渋々気絶した男を担ぎ先を歩くサクラと肩を並べる。
『肩ぐらい貸しても文句を言わないだろ』
「ありがとう」
ゾロアークの言葉に甘え、肩を借りていたサクラ。
じばらく歩くと前方に沢山の人だかりが見えた。
誰かの通報で駆け付けたのであろうジュンサーさん達に何やら事情聴取されている風なカミツレの姿。
「カミツレさん!」
今まで身を案じていたカミツレの姿を見付け、サクラはゾロアークの制止も聞かずに彼女の元へ駆けた。
「あら、サクラちゃん?
ノボリ君とクダリ君からは園の外に置いてきたって聞いたんだけど」
「聞かずに勝手に来ちゃいました。
それよりカミツレさん、何処か怪我をしたりとかは」
自分は大丈夫だと、頭を撫でるカミツレにサクラは一安心する。
「怪我はしてないけど顔が汚れちゃったわ」
そう言った彼女の顔は爆発時の煤でも付いたのか黒く汚れていた。
「でもカミツレさん、今もキラキラに輝いていますよ」
「あら、嬉しい」
と誰もが赤くなる様な笑みを浮かべたカミツレは又もサクラの頬にキスを落とした。
途端、二回目にも関わらずふにゃふにゃになってしまうサクラ。
「カ、カミツレさん・・・」
「ふふ、ごめんなさい。あまりに可愛かったものだから摘まみ食いしたくなっちゃったの
そういえばノボリ君とクダリ君は?合流出来なかったの?」
「いえ、二人は」
と言いかけた所で丁度話題の中心にいた二人が警官や保護された客で賑わう人達の向こうから現れる。
「二人ともナイスタイミングね」
本当にナイスタイミングだと思っていれば、不自然な形でカミツレに抱き抱えられたサクラを見たクダリは顔を合わせるなる噴き出す。
「またカミツレちゃんにクラクラさせられちゃったの?」
「クダリ、これはクラクラというよりもふにゃふにゃでございます」
自分で言いながらもノボリは噴き出していた。
「サクラちゃん、カミツレちゃんに弱すぎ!」
「だって、だって!」
大爆笑のクダリ達に何とか反論しようとしていたらこの和やかな雰囲気に似つかわしくない表情をしたジュンサーがサクラの肩を叩く。
「あ、はい」
「彼処にいるポケモン達は貴女の手持ちですか」
指差されたのはカミツレとの再開で放置してしまっていたゾロアークとカイリューだった。
「そうです・・・あ、プラズマ団に奪われたモンスターボールを取り返したんです!」
何故か警官達に取り囲まれている二匹に相槌を求めれば、二匹は取り囲まれた自分達の状況に戸惑いながらも頷く。
「カイリュー君、取り返したモンスターボールを警察の人に渡してあげて」
サクラの指示に応えたカイリューは持っていた袋を前に差し出すのだが、周りの様子がおかしい。
まるでカイリューが今に何かしようとしているのではないかと疑う警官にサクラは頭を傾げた。
何時までも彼等が受け取らないので、サクラが袋を地面に置くよう指示すればやはり、警戒しながら袋を引ったくる。
一体、何なんだとその様子を眺めていたサクラにジュンサー話し出した。
「今回の爆発はプラズマ団が園内各所のゴミ箱にヤブクロンを置き、"じばく"を命じて起こったものだったそうなのですが
遊園地の清掃員に確認をとったところ正午にゴミ箱の回収を行った際にヤブクロンの姿はなかったと言っておりました」
そこまで、言ってジュンサーは手にしていたファイルから一枚の白黒写真を取り出す。
「これは正午を過ぎた頃に撮られた写真です。
写っているのは貴女で間違い無いですね?」
確かに写っていたのはサクラ自身だった。
手元は体で隠れて見えないが辺りを執拗に気にしながらもゴミ箱に何かを捨ている姿が見てとれる。
「場所を確認したところ、園内の雑木林に設置された職員向けのゴミ箱の様なのですが
貴女はこんな人気の無いところで一体、何を捨てていたんですか」
まるでサクラを犯人の一味と言っているようなジュンサーの口振りにサクラは首を横に振り否定した。
「私はヤブクロンをゴミ箱に入れたりしていない」
「だったら何を捨てていたんですか?」
「それは・・・」
言えなかった。
家で作ってきたお弁当を捨てたなどとノボリやクダリがいる前で言えるわけがなくサクラ黙り込むしかない。
何も悪い事はしていないのに疑われる。
そんな状況に唇を噛み俯けば別の警官ジュンサーに何やら耳打ちをしていた。
一体何なのか目の前で起こる内緒話にサクラは自分の無実を証明してくれる事ならいいのにと淡い期待を抱いたが、さらに厳しくなったジュンサーの表情を見てそうでは無いことを悟る。
「ポケモンを奪われた被害者達の確認が取れました。
貴女のカイリューが抱えていたのはプラズマ団に奪われたポケモン達と判明。詳しく事情を聞きたいので署までご同行願えますか?」
いつの間にかカミツレさんから引き剥がされて、警官に囲まれゾロアークやカイリューと同様に警棒を構えた警官に私も囲まれていた。
これでどう断われと言うのか、溜め息を溢したサクラは思う、たまにらしくない事をすればこれだと
両手を挙げて抵抗の意思がない事を見せたサクラは面倒臭気に口を開いた。
「どうぞ、お好きな様に」