双子と弁当屋の娘
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「ねえ、あのゴミ箱何だか臭くない?」
誰が気付いたのか脇に設置されたゴミ箱を指差す。
そのゴミ箱からは何とも言えない悪臭が立ち込めていた。
それは一ヶ所だけでなく、園内に等間隔で置かれたゴミ箱から同じ悪臭がしている。
「ママー見て、お空が真っ黒ー」
空を指差し言った子供の言葉に母親は笑う。
「何言ってるの!こんな時間に空が真っ黒になるわけ」
ないと、言うつもりだったのにその言葉は出なかった。
まだ空が橙に染まりだした時間だと言うのに空は墨を溢した様に黒くて、夕方の橙は何処にもない。
明らかに誰もがおかしいと思ったその時、
ゴミ箱が一斉に爆発した。
「ん?」
ベンチに座り、双子の言い争いを眺めていたサクラは突然声を上げた。
「どうされました」「どうしたの」
と二人に同時で尋ねられサクラは遊園地の方を指差す。
「今、爆発音みたいなのが聴こえた気がしたんですけど」
サクラ達がいる場所は木が生い茂る場所だった為、園内の様子ははっきりとは見えなかったが特に爆発からの煙が上がっている様子はなく木々の向こうに見えた観覧車も回っていて、いたって普通の遊園地に見えた。
「私は何も聴こえませんでしたがクダリはそんな音、聞こえましたか?」
「ううん。僕は何も」
首を振った彼等を見て、サクラが気のせいかと思った時、その場にライブキャスターの呼び出し音が響く。
それはマナーモードにしていたサクラのでなくノボリとクダリのライブキャスターからだった。
「カミツレ様からですね」
「僕もカミツレちゃんからだ」
着信の相手は二人とも先程あったカミツレらしく二人は一度、顔を合わせて着信ボタンを押した。
「「もしもし」」
二人の低い声が重なる。
半日遊んで疲れたのであろう、ベンチの上で大人しくしているゾロアークの背中を撫でて入れば二人の緊迫した声が聴こえた。
「カミツレ様、落ち着いて下さいまし!」
「後ろの音で声が聴こえない」
どうやら彼女の周りはかなり混乱しているらしい、悲鳴や爆発音がライブキャスターを通して聴こえる。
「・・・カミツレさんに何かあったんですか?」
先程はサクラにしか聴こえなかった爆発音が今度はノボリとクダリの耳にも確かに聴こえた。
爆風に揺れる木々、逃げる野生ポケモンの鳴き声、園内で起こった爆発の震動が地面を伝って園の外にいた三人にも伝わる。
「遊園地で何が」
起こったといえのか。
そんな疑問に答えたのは何故かノボリとクダリだった。
「遊園地内でプラズマ団が暴れている様です」
プラズマ団と言われてサクラの頭に浮かんだのはいつか「ポケモンを解放しろ」と絡んできた水色のてるてる坊主。
「そのプラズマ団がどうして遊園地に」
「園内に人を閉じ込めて、閉じ込めた人達からポケモンを奪ってるみたい」
「今はカミツレ様とジムトレーナー、それに遊園地の職員で対応に当たっているようですが相手の数が多く苦戦しているようです」
「だったら早く助けに行きましょうよ!」
こんな所でのんびり話何てしていられ無いとベンチから立ち上がったサクラにノボリは「すぐに私達も応援として向かうつもり」だと答える。
「だから、サクラちゃんも早くここから離れて」
「え、」
「いつ何処からプラズマ団が現れるか分かりません。
サクラ様は襲われる前にここから遠くへお逃げください」
「どうしてそんな意地悪を言うんですか」
「私達は意地悪を言っているのではありません!」
「サクラちゃんがか弱い女の子だから、僕達は心配して言ってるの!」
そこで三人には聴こえたのが二度目、園内では何度目なのか分からない爆音が轟いた。
クダリはモンスターボールを取り出すと中からアーケオスを出す。
先にクダリが背中に乗り、ノボリもそれに続いた。
「サクラちゃんは絶対来ちゃ駄目だよ!」
「絶対でございます!」
高く上がったアーケオスの背から二人は叫ぶように言う。
サクラの「でも」は聞かず、何度も来ては駄目だと言うと二人は煙が上がった遊園地へと行ってしまった。
残されたサクラは一人、二人が向かった方向を眺める。
『で、どうすんだ』
騒ぎに目が覚めたのか欠伸をしたゾロアークはベンチから降りてサクラに尋ねた。
「・・・二人に危ないから来ちゃ駄目って言われちゃった」
一体、いくつ爆発物を仕掛けたのか遊園地からは何度目かの爆音が聴こえる。
「あの二人からみたら私はか弱い女の子なんだって」
『まあ、あの二人の前でポケモンバトルして見せた事も無いからな』
「クダリさんとはした」
『あれは別人の振りをしてだろ』
と言われてサクラはそうだったと溢す。
遊園地から上がり出した黒煙、爆音に怯えたのか辺りからはポケモンの鳴き声が聴こえず遊園地からの音以外、異様に静かであった。
『で、どうすんだ。
このままあの二人が言うようにか弱い女の振りして此処から逃げ出すか?』
「・・・私は、」