双子と弁当屋の娘
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遊園地のアトラクションにはポケモンと共に楽しめない物楽しめる物がある。
楽しめないものは主にジェットコースターのような絶叫マシンで、楽しめるものはミラーハウスやコーヒーカップの乗り物に回転木馬なんかがいけるらしい。
私達は今からポケモンと楽しめるといホラーハウスに行こうとしているのだが、
「クダリ」
「嫌っ」
「クダリ、サクラ様達も待っているのですよ!」
「ホラーハウス何て絶対嫌っ!!」
ホラーハウスを前に、クダリは側の外灯にしがみついて入ろうとしなかった。
少し前からノボリが何とか連れて行こうと引っ張るのだが外灯にしがみついてびくとも動かない。
「ノボリさん、別にホラーハウス以外のものでも良いんじゃ無いですか?」
遊園地には他にもポケモンと楽しめるアトラクションは沢山ある。
だったら嫌がるクダリを無理に引っ張り、ホラーハウスに入らなくても良いとサクラは思っているのだが
「いいえ、クダリは嫌がる私共を何度も恐ろしいマシンに乗せたのです。なのに自分はホラーハウスが怖いから入りたく無いなど、そんな我が儘・・・私は絶対に許しません」
ノボリさんはジェットコースターの怨みを晴らしたいらしく一向に譲ろうとしなかった。
確かに言われてみればサクラもノボリも、クダリの「乗り足りない」という理由で本当に吐く寸前迄ジェットコースターに乗せられている。(お陰でジェットコースターに対して耐性が付いた気もするが)
しかも、酔っている状態を大爆笑されたのだから怨みは晴れるどころか募るばかりだ。
「ゾロアーク、」
『おう!』
こういう時に悪乗りしてくれるのは彼の良いところだと思う。
サクラの肩から飛び降りたゾロアークはその姿をゾロアからソルロックに姿を変えた。
「ソルロック"ねんりき"」
と命じれば、見えない力がクダリを襲う。
「わ、わわっ」
頭は命じてもいないの外灯から手や足が外れ、体は何かにつまみ上げられているかのように地面を浮いていた。
宙を浮いているのに気付いたクダリは「なにこれ面白い!」とはしゃいでいる。
「あの様子じゃすっかりホラーハウスの事、忘れてますね」
「あの笑顔がどの様な泣き顔になるか見物ですよ」
「・・・・・・」
「どうされました?」
「いえ、・・・」
余程、ジェットコースターの事を怨んでらっしゃるらしいノボリにサクラはこの先彼に怨まれる様な事はするまいと心の中で誓った。
「っ!!」
薄暗い洋館の中は酷く荒れていた。
中から板を打たれた窓は本来の役目である外の光を取り込まず、カーテンは何かに裂かれたかのようにズタズタで辺りには埃を被った家具がそこらじゅうにある。
時折、何処からか悲鳴や笑い声が聴こえるが確かめ様が無いため、何処から何処までが演出なのかもわからなかった。
廊下にかけられた美しい女性の絵が仰々しい眼で此方を見つめる。
「あの絵の女性、凄い目をして此方を見てますね」
ホラーハウスに入ってから自分の腕にしがみつき顔を上げないクダリにも分かるよう説明すればもう何度か聞いた彼の悲鳴が聞こえた。
「わざわざ解説するなんて止めてよ!」
「だってクダリさんのその怖がる反応を見るためにホラーハウスに入ったのにずっと抱きつき俯いていられたら何の為に入ったのか分かりません」
「サクラちゃんのドS!僕、そんな子に育てた覚えないよ?!」
そう言って顔を上げたクダリは周りの雰囲気に悲鳴を上げて再度、サクラに抱きつき直すのだ。
一応、自分が育てました発言にはテンプレ通り「クダリさんに育てられた覚えはありません」と返しておいたが、ドS発言に関しては寧ろ自分に出なくあんたの兄弟に言ってくれがサクラの心情だったりする。
そんなノボリは初めてのホラーハウスに興奮したプラスルとマイナンを追いかけてゾロアークと共に先へ行ってしまった。
サクラも追い掛けたかったのだが既にその時には恐怖に怯えたクダリに抱きつかれて走れなかった。
ずっとこの状態なものだからお陰で後ろから来たカップルにはクスクスと笑われ、自分達より遥かに幼い少年少女達には「頑張れ!」と謎のエールを送られる始末。
引っ付くクダリをサクラが引きずりながら進むので全然先へと進めない。
「クダリさん、そろそろ自分の足で歩きましょうよ」
「嫌っ」
「だったらクダリを置いて、私だけ先に進んじゃいますよ」
「絶対、嫌っ!!」
クダリがそう言ったと同時に腰に回された腕に恐ろしい程の力が込められた。
その思わぬ力にサクラは思わず噎せるのだが、抱き付いた彼は力を緩める様子がない。
「クダリさん、流石に・・・苦しい」
ギブギブ!何て言っても聞いてもらえず、クダリは構わずサクラの首筋に頭を埋めた。
苦しいし、首筋はくすぐったいしいい加減にしろよとサクラの口調が崩れ出した頃、クダリの方からからむずかる音。
「・・・泣いてるんですか?」
と尋ねれば、
「泣いてない」
と説得力のない声が聞こえた。
そんなクダリにサクラは溜め息を一つ。
顔を掴み正面で向き合う様に顔を合わせれば、クダリの灰色の瞳からボタボタの涙が溢れていた。
「クダリさんは嘘つきですね」
鞄からハンカチを取り出し、溢れる涙を拭こうとすれば
「ひゃあっ」
と情けない悲鳴を上げて正面から抱き締められる。
「今、何か!何か後ろをスーって!」
パニックを起こすクダリの後ろには彼の言う"スー"の原因であろうカゲボウズが楽しそうに笑っていた。
カゲボウズの姿を見て、このホラーハウスにはゴーストタイプのポケモンが多数放されている事をサクラは思い出す。
ゴーストタイプのポケモンの中には人を驚かすのを楽しむのもいたりする。
きっとクダリの後ろで楽しげにくるくると回っているカゲボウズもその類いなのだろう。
「もう、クダリさんが凄く怖がるからカゲボウズに笑われてますよ」
「カゲボウズ?」
ほら、とサクラが指指す方を見れば宙に浮かぶカゲボウズがクスクス笑っている。
「もしかしてさっき、僕の後ろを通り過ぎたのって」
「きっと、あのカゲボウズですね。ほらいちいち驚かないで先に進みましょう」
これじゃあ何時まで経ってもホラーハウスから出られないと言えばクダリは静かに頷いた。
カゲボウズに向かってサクラが小さく手を振ればカゲボウズも手を振り返す。
「・・・サクラちゃんってノボリには甘いよね」
突然出てきたノボリの話題にサクラはただ頭を傾げた。
「そう、ですか?」
別にサクラにはノボリを甘やかした覚えはなくそう答えるしか無い。
だが、クダリからすればかなり甘やかしているように見えるらしく話の引き合いに先程のジェットコースターでの事を話し出す。
「ノボリがジェットコースターに乗って泣いた時は優しく慰めてた!」
「あれは、私にも負い目があったからです」
ジェットコースターに乗り足りないクダリに生け贄としてノボリを差し出したのは他ならぬサクラなのだ。
「泣いたのも私が泣かした様なものですから」
謝った。それ意外には何もしていない。
クダリが言う"甘やかす"という行為もサクラの記憶ではした覚えがないのだが納得していないらしい。
「ノボリだけズルい!」
「ズルいとか言われても記憶に無い事に文句を言われても困ります!」
口論しながらホラーハウスを歩く客も珍しいだろう。
結構な声の大きさで口論する二人をホラーハウスのポケモン達がそっと影から眺めている。
「じゃあ僕もノボリと同じくらい甘やかして!」
「ええ、良いですよ!」
あれ?とサクラ頭を傾げる。
相変わらずホラーハウスの仕掛けに一々反応しているクダリであるが自分の驚かしているのが主にゴーストタイプのポケモンだと知ってからはまともに先へと進める様になった。
それは良いとして何故かクダリと手を繋ぐ自分にサクラはただ頭を傾げる。
「どうしてこうなった」
「何か言った?」
「いえ、只の独り言です」
「そっか!」
結局、サクラはおかしいなと思うも事の成り行きで繋ぐ事になった手はホラーハウスを出るまで離されず、クダリによって強く握られているのだった。
楽しめないものは主にジェットコースターのような絶叫マシンで、楽しめるものはミラーハウスやコーヒーカップの乗り物に回転木馬なんかがいけるらしい。
私達は今からポケモンと楽しめるといホラーハウスに行こうとしているのだが、
「クダリ」
「嫌っ」
「クダリ、サクラ様達も待っているのですよ!」
「ホラーハウス何て絶対嫌っ!!」
ホラーハウスを前に、クダリは側の外灯にしがみついて入ろうとしなかった。
少し前からノボリが何とか連れて行こうと引っ張るのだが外灯にしがみついてびくとも動かない。
「ノボリさん、別にホラーハウス以外のものでも良いんじゃ無いですか?」
遊園地には他にもポケモンと楽しめるアトラクションは沢山ある。
だったら嫌がるクダリを無理に引っ張り、ホラーハウスに入らなくても良いとサクラは思っているのだが
「いいえ、クダリは嫌がる私共を何度も恐ろしいマシンに乗せたのです。なのに自分はホラーハウスが怖いから入りたく無いなど、そんな我が儘・・・私は絶対に許しません」
ノボリさんはジェットコースターの怨みを晴らしたいらしく一向に譲ろうとしなかった。
確かに言われてみればサクラもノボリも、クダリの「乗り足りない」という理由で本当に吐く寸前迄ジェットコースターに乗せられている。(お陰でジェットコースターに対して耐性が付いた気もするが)
しかも、酔っている状態を大爆笑されたのだから怨みは晴れるどころか募るばかりだ。
「ゾロアーク、」
『おう!』
こういう時に悪乗りしてくれるのは彼の良いところだと思う。
サクラの肩から飛び降りたゾロアークはその姿をゾロアからソルロックに姿を変えた。
「ソルロック"ねんりき"」
と命じれば、見えない力がクダリを襲う。
「わ、わわっ」
頭は命じてもいないの外灯から手や足が外れ、体は何かにつまみ上げられているかのように地面を浮いていた。
宙を浮いているのに気付いたクダリは「なにこれ面白い!」とはしゃいでいる。
「あの様子じゃすっかりホラーハウスの事、忘れてますね」
「あの笑顔がどの様な泣き顔になるか見物ですよ」
「・・・・・・」
「どうされました?」
「いえ、・・・」
余程、ジェットコースターの事を怨んでらっしゃるらしいノボリにサクラはこの先彼に怨まれる様な事はするまいと心の中で誓った。
「っ!!」
薄暗い洋館の中は酷く荒れていた。
中から板を打たれた窓は本来の役目である外の光を取り込まず、カーテンは何かに裂かれたかのようにズタズタで辺りには埃を被った家具がそこらじゅうにある。
時折、何処からか悲鳴や笑い声が聴こえるが確かめ様が無いため、何処から何処までが演出なのかもわからなかった。
廊下にかけられた美しい女性の絵が仰々しい眼で此方を見つめる。
「あの絵の女性、凄い目をして此方を見てますね」
ホラーハウスに入ってから自分の腕にしがみつき顔を上げないクダリにも分かるよう説明すればもう何度か聞いた彼の悲鳴が聞こえた。
「わざわざ解説するなんて止めてよ!」
「だってクダリさんのその怖がる反応を見るためにホラーハウスに入ったのにずっと抱きつき俯いていられたら何の為に入ったのか分かりません」
「サクラちゃんのドS!僕、そんな子に育てた覚えないよ?!」
そう言って顔を上げたクダリは周りの雰囲気に悲鳴を上げて再度、サクラに抱きつき直すのだ。
一応、自分が育てました発言にはテンプレ通り「クダリさんに育てられた覚えはありません」と返しておいたが、ドS発言に関しては寧ろ自分に出なくあんたの兄弟に言ってくれがサクラの心情だったりする。
そんなノボリは初めてのホラーハウスに興奮したプラスルとマイナンを追いかけてゾロアークと共に先へ行ってしまった。
サクラも追い掛けたかったのだが既にその時には恐怖に怯えたクダリに抱きつかれて走れなかった。
ずっとこの状態なものだからお陰で後ろから来たカップルにはクスクスと笑われ、自分達より遥かに幼い少年少女達には「頑張れ!」と謎のエールを送られる始末。
引っ付くクダリをサクラが引きずりながら進むので全然先へと進めない。
「クダリさん、そろそろ自分の足で歩きましょうよ」
「嫌っ」
「だったらクダリを置いて、私だけ先に進んじゃいますよ」
「絶対、嫌っ!!」
クダリがそう言ったと同時に腰に回された腕に恐ろしい程の力が込められた。
その思わぬ力にサクラは思わず噎せるのだが、抱き付いた彼は力を緩める様子がない。
「クダリさん、流石に・・・苦しい」
ギブギブ!何て言っても聞いてもらえず、クダリは構わずサクラの首筋に頭を埋めた。
苦しいし、首筋はくすぐったいしいい加減にしろよとサクラの口調が崩れ出した頃、クダリの方からからむずかる音。
「・・・泣いてるんですか?」
と尋ねれば、
「泣いてない」
と説得力のない声が聞こえた。
そんなクダリにサクラは溜め息を一つ。
顔を掴み正面で向き合う様に顔を合わせれば、クダリの灰色の瞳からボタボタの涙が溢れていた。
「クダリさんは嘘つきですね」
鞄からハンカチを取り出し、溢れる涙を拭こうとすれば
「ひゃあっ」
と情けない悲鳴を上げて正面から抱き締められる。
「今、何か!何か後ろをスーって!」
パニックを起こすクダリの後ろには彼の言う"スー"の原因であろうカゲボウズが楽しそうに笑っていた。
カゲボウズの姿を見て、このホラーハウスにはゴーストタイプのポケモンが多数放されている事をサクラは思い出す。
ゴーストタイプのポケモンの中には人を驚かすのを楽しむのもいたりする。
きっとクダリの後ろで楽しげにくるくると回っているカゲボウズもその類いなのだろう。
「もう、クダリさんが凄く怖がるからカゲボウズに笑われてますよ」
「カゲボウズ?」
ほら、とサクラが指指す方を見れば宙に浮かぶカゲボウズがクスクス笑っている。
「もしかしてさっき、僕の後ろを通り過ぎたのって」
「きっと、あのカゲボウズですね。ほらいちいち驚かないで先に進みましょう」
これじゃあ何時まで経ってもホラーハウスから出られないと言えばクダリは静かに頷いた。
カゲボウズに向かってサクラが小さく手を振ればカゲボウズも手を振り返す。
「・・・サクラちゃんってノボリには甘いよね」
突然出てきたノボリの話題にサクラはただ頭を傾げた。
「そう、ですか?」
別にサクラにはノボリを甘やかした覚えはなくそう答えるしか無い。
だが、クダリからすればかなり甘やかしているように見えるらしく話の引き合いに先程のジェットコースターでの事を話し出す。
「ノボリがジェットコースターに乗って泣いた時は優しく慰めてた!」
「あれは、私にも負い目があったからです」
ジェットコースターに乗り足りないクダリに生け贄としてノボリを差し出したのは他ならぬサクラなのだ。
「泣いたのも私が泣かした様なものですから」
謝った。それ意外には何もしていない。
クダリが言う"甘やかす"という行為もサクラの記憶ではした覚えがないのだが納得していないらしい。
「ノボリだけズルい!」
「ズルいとか言われても記憶に無い事に文句を言われても困ります!」
口論しながらホラーハウスを歩く客も珍しいだろう。
結構な声の大きさで口論する二人をホラーハウスのポケモン達がそっと影から眺めている。
「じゃあ僕もノボリと同じくらい甘やかして!」
「ええ、良いですよ!」
あれ?とサクラ頭を傾げる。
相変わらずホラーハウスの仕掛けに一々反応しているクダリであるが自分の驚かしているのが主にゴーストタイプのポケモンだと知ってからはまともに先へと進める様になった。
それは良いとして何故かクダリと手を繋ぐ自分にサクラはただ頭を傾げる。
「どうしてこうなった」
「何か言った?」
「いえ、只の独り言です」
「そっか!」
結局、サクラはおかしいなと思うも事の成り行きで繋ぐ事になった手はホラーハウスを出るまで離されず、クダリによって強く握られているのだった。