双子と弁当屋の娘
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ノボリとクダリに腕を引かれて園内を歩く間は、サクラの頭にはまだ雑木林で会ったストーカー男の事が残っていた。
のだが、この後サクラの頭からはストーカーの事がというかその前の出来事が全て飛んでいってしまう様な事が起きる。
「サクラちゃん、前」
見てみてとクダリに言われて見ればその先には何も無かった。
あるのは青い空だけで、先には何も無く車体が走るレールすらも見当たらない。
その光景に思わず小さな悲鳴を漏らせば、それが伝染するかの様に後ろの乗客からも悲鳴の様な声が聴こえた。
ガタンと嫌な音が下から聴こえ、まっすぐに伸びた車体が少しずつ前に傾く。
「ひぃっ、」
サクラが声を漏らした時には車体はほぼ直角に急降下していた。
凄まじい風圧とスピード、後ろの乗客と同様に悲鳴を上げていれば隣に座っていたクダリは何故か前ではなく此方を見つめ笑っていている。
降りてから聞けば私は凄く面白い顔をしていたらしい。
「それは私も見たかったですね」
ボールに戻ろうとしないプラスルとマイナンをゾロアークと共に外で見ていたノボリにそう言われて、サクラは力無く笑う。
「もう今に泣きそうだった!」
クダリがわざわざ言わなくてもそれは今のサクラの様子から見て分かった。
幾度となく繰り出される急降下や高速での回転はジェットコースター初体験のサクラにはハードルが高く、恐怖のあまり足はふらふら。
おぼつかずまるで産まれたばかりのシキジカの様にふるふると震えた足はクダリに支えてもらわなければまともに立っていられない。
そんなサクラの顔は蒼白く、目尻にはもうジェットコースターの風圧で乾いたのであろう涙の跡があった。
「クダリ、サクラ様は泣きそうではなく泣いた後の様です」
「え、そうなの?!」
「はい、落ちた瞬間に死を覚悟しました」
結局急降下の後は時速何百キロで回転→急降下→回転回転を何度か繰り返し、今はこうして地に足を付けれた訳だがサクラ曰く「寿命が数年分縮んだ」との事。
「そんなにでございますか」
「そんなにです」
サクラの話を息を飲み聞いていたノボリは絶叫マシンが苦手に加え、先程サクラ達が乗ったジェットコースターが二人乗りという理由から乗車を拒否していた。
顔色を青くしたサクラを見てノボリはますますジェットコースターに乗りたくないと言う思いが募るのだが、ここで問題が
「ねえ、せっかくだからもう一回乗ろうよ」
ぐったりとしたサクラに対し、クダリはジェットコースターが乗り足りない様だ。
サクラの腕を掴みもう一回!とねだる姿は大きな子供のようで、何時ものサクラならクダリがねだり出した時点でそのお願いを聞いているかもしれないが今の彼女のライフは既にほぼ0だった。
そんな状態でジェットコースターに再チャレンジなど出来る筈がなく、サクラは力なく無理だと首を振る。
「私はすぐには無理なのでノボリさんと行ってきて下さい」
「ノボリと?」
「サクラ様、何を!」
言わずもがなこれは生け贄だ。
きっと一人では行きたがらないクダリに対しての生け贄だった。
ノボリはまさか自分が身売りされるとは思っていなかった様で、酷く動揺していたがクダリはジェットコースターに乗れるなら誰でも良かった様子。
「じゃあ、ノボリと行ってくる」
とサクラをベンチに座らせて、嫌がるノボリを引っぱり無理矢理にジェットコースターの乗り場へと歩いて行く。
ノボリさん大丈夫かな?と座って少し落ち着き、自身の危機を回避した事で余裕が出来たサクラがそんな呟きを漏らせば隣から視線を感じた。
見れば非難の目を向けていたのはゾロアークで
『人間って奴は恐ろしいもんだな』
と深い溜め息を吐かれる。
何時もなら此処で、何だと!と言い返している所なのだが前述の通り今のサクラにはライフがほぼ0と反論する気力も無かったので取り敢えず彼には乗れば分かるよと返しておいた。
ジェットコースターと言うものは乗っていると恐怖のあまり時間を長く感じるものだが、待っていると意外に短いもので列が出来ているにも関わらずものの数分で二人は戻ってきた。
「ノボリ、泣いちゃった」
戻ってくるなり「てへっ」とお茶目な声で言われてサイコソーダーを飲んでいたサクラにクダリはバトンタッチ!とでも言わんばかりに俯き嗚咽を漏らすノボリを寄越してくる。
クダリに背中を押されたノボリは自分の目の前にいたのがサクラだと認識すると涙をボタボタと溢し、勢いよく抱き着いた。
「サクラ様、非道ございます!
私を、あんな、恐ろしい、ものに乗せるなんて」
ひっく!
と、軽い引き付けを起こしながらクダリ以上に片言で話し、引っ付くノボリにかける言葉が見付からずサクラはただ彼の背中を撫でるしか無かった。
「すいません、そんなに苦手だとは知らなくて」
初めてジェットコースターに乗った自分よりかは耐性があるかと思っていたが、それはサクラの思い違いだったらしい。
「ノボリそんなに恐くなかった筈!乗ってる間、殆ど気絶してた」
クダリの証言にノボリが自分以上に耐性が無いことが分かったサクラは何とか泣いているノボリを落ち着かせようと持っていたサイコソーダーを差し出した。
「少し口は付けちゃいましたけど、まだそんなに飲んではいないので」
飲んで、さっさと落ち着いてくれがサクラの本心である。
長身の成人男性が泣いていると言うのは嫌にでも目立つもので、周りから受ける好奇の視線にサクラは耐え難い物があった。
「・・・ありがとうございます」
サイコソーダーの缶を受け取ったノボリはサクラの本心を知らず、渡された缶も彼女の優しさだろうぐらいで受け取って中身のジュースを一気にあおる。
それを見ていたクダリが一言。
「それって間接キス?」
瞬間、噴き出しはしなかったがサイコソーダーの炭酸でノボリは盛大に噎せていた。
「もう、クダリさんが変な事を言うから!」
噎せるノボリの背中を慌てて擦るサクラに対し、噎せた事を自分が原因だと言われてクダリは驚く。
「え、僕のせいなの
何かごめんねノボリ」
だが、申し訳ない気持ちになったのも確かなので俯き噎せるノボリにクダリが謝れば、彼は先程まで真っ青だった顔を今度は真っ赤にして咳をしていた。
「うわー・・・
ノボリのムッツリ!」
「お、おだまりなさい!」
のだが、この後サクラの頭からはストーカーの事がというかその前の出来事が全て飛んでいってしまう様な事が起きる。
「サクラちゃん、前」
見てみてとクダリに言われて見ればその先には何も無かった。
あるのは青い空だけで、先には何も無く車体が走るレールすらも見当たらない。
その光景に思わず小さな悲鳴を漏らせば、それが伝染するかの様に後ろの乗客からも悲鳴の様な声が聴こえた。
ガタンと嫌な音が下から聴こえ、まっすぐに伸びた車体が少しずつ前に傾く。
「ひぃっ、」
サクラが声を漏らした時には車体はほぼ直角に急降下していた。
凄まじい風圧とスピード、後ろの乗客と同様に悲鳴を上げていれば隣に座っていたクダリは何故か前ではなく此方を見つめ笑っていている。
降りてから聞けば私は凄く面白い顔をしていたらしい。
「それは私も見たかったですね」
ボールに戻ろうとしないプラスルとマイナンをゾロアークと共に外で見ていたノボリにそう言われて、サクラは力無く笑う。
「もう今に泣きそうだった!」
クダリがわざわざ言わなくてもそれは今のサクラの様子から見て分かった。
幾度となく繰り出される急降下や高速での回転はジェットコースター初体験のサクラにはハードルが高く、恐怖のあまり足はふらふら。
おぼつかずまるで産まれたばかりのシキジカの様にふるふると震えた足はクダリに支えてもらわなければまともに立っていられない。
そんなサクラの顔は蒼白く、目尻にはもうジェットコースターの風圧で乾いたのであろう涙の跡があった。
「クダリ、サクラ様は泣きそうではなく泣いた後の様です」
「え、そうなの?!」
「はい、落ちた瞬間に死を覚悟しました」
結局急降下の後は時速何百キロで回転→急降下→回転回転を何度か繰り返し、今はこうして地に足を付けれた訳だがサクラ曰く「寿命が数年分縮んだ」との事。
「そんなにでございますか」
「そんなにです」
サクラの話を息を飲み聞いていたノボリは絶叫マシンが苦手に加え、先程サクラ達が乗ったジェットコースターが二人乗りという理由から乗車を拒否していた。
顔色を青くしたサクラを見てノボリはますますジェットコースターに乗りたくないと言う思いが募るのだが、ここで問題が
「ねえ、せっかくだからもう一回乗ろうよ」
ぐったりとしたサクラに対し、クダリはジェットコースターが乗り足りない様だ。
サクラの腕を掴みもう一回!とねだる姿は大きな子供のようで、何時ものサクラならクダリがねだり出した時点でそのお願いを聞いているかもしれないが今の彼女のライフは既にほぼ0だった。
そんな状態でジェットコースターに再チャレンジなど出来る筈がなく、サクラは力なく無理だと首を振る。
「私はすぐには無理なのでノボリさんと行ってきて下さい」
「ノボリと?」
「サクラ様、何を!」
言わずもがなこれは生け贄だ。
きっと一人では行きたがらないクダリに対しての生け贄だった。
ノボリはまさか自分が身売りされるとは思っていなかった様で、酷く動揺していたがクダリはジェットコースターに乗れるなら誰でも良かった様子。
「じゃあ、ノボリと行ってくる」
とサクラをベンチに座らせて、嫌がるノボリを引っぱり無理矢理にジェットコースターの乗り場へと歩いて行く。
ノボリさん大丈夫かな?と座って少し落ち着き、自身の危機を回避した事で余裕が出来たサクラがそんな呟きを漏らせば隣から視線を感じた。
見れば非難の目を向けていたのはゾロアークで
『人間って奴は恐ろしいもんだな』
と深い溜め息を吐かれる。
何時もなら此処で、何だと!と言い返している所なのだが前述の通り今のサクラにはライフがほぼ0と反論する気力も無かったので取り敢えず彼には乗れば分かるよと返しておいた。
ジェットコースターと言うものは乗っていると恐怖のあまり時間を長く感じるものだが、待っていると意外に短いもので列が出来ているにも関わらずものの数分で二人は戻ってきた。
「ノボリ、泣いちゃった」
戻ってくるなり「てへっ」とお茶目な声で言われてサイコソーダーを飲んでいたサクラにクダリはバトンタッチ!とでも言わんばかりに俯き嗚咽を漏らすノボリを寄越してくる。
クダリに背中を押されたノボリは自分の目の前にいたのがサクラだと認識すると涙をボタボタと溢し、勢いよく抱き着いた。
「サクラ様、非道ございます!
私を、あんな、恐ろしい、ものに乗せるなんて」
ひっく!
と、軽い引き付けを起こしながらクダリ以上に片言で話し、引っ付くノボリにかける言葉が見付からずサクラはただ彼の背中を撫でるしか無かった。
「すいません、そんなに苦手だとは知らなくて」
初めてジェットコースターに乗った自分よりかは耐性があるかと思っていたが、それはサクラの思い違いだったらしい。
「ノボリそんなに恐くなかった筈!乗ってる間、殆ど気絶してた」
クダリの証言にノボリが自分以上に耐性が無いことが分かったサクラは何とか泣いているノボリを落ち着かせようと持っていたサイコソーダーを差し出した。
「少し口は付けちゃいましたけど、まだそんなに飲んではいないので」
飲んで、さっさと落ち着いてくれがサクラの本心である。
長身の成人男性が泣いていると言うのは嫌にでも目立つもので、周りから受ける好奇の視線にサクラは耐え難い物があった。
「・・・ありがとうございます」
サイコソーダーの缶を受け取ったノボリはサクラの本心を知らず、渡された缶も彼女の優しさだろうぐらいで受け取って中身のジュースを一気にあおる。
それを見ていたクダリが一言。
「それって間接キス?」
瞬間、噴き出しはしなかったがサイコソーダーの炭酸でノボリは盛大に噎せていた。
「もう、クダリさんが変な事を言うから!」
噎せるノボリの背中を慌てて擦るサクラに対し、噎せた事を自分が原因だと言われてクダリは驚く。
「え、僕のせいなの
何かごめんねノボリ」
だが、申し訳ない気持ちになったのも確かなので俯き噎せるノボリにクダリが謝れば、彼は先程まで真っ青だった顔を今度は真っ赤にして咳をしていた。
「うわー・・・
ノボリのムッツリ!」
「お、おだまりなさい!」