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双子と弁当屋の娘

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『言いにくいんだけどさ』

「何?」

全力疾走で走るサクラの腕は常に揺れていて、彼は少し居心地が悪そうだった。

『さっきより状況が悪化してないか?』

仲間を蹴り上げる前はまだ子供を相手する様な優しさがあった男達もサクラが仲間を蹴り上げた途端に"敵"と認識したのだろう。
ぎらぎらと凶暴な野生ポケモンの様な目にサクラは状況を悪化させてしまった事をあっさり認めた。

『あの様子じゃ金だけじゃなしに身ぐるみ、最悪お前の貞操も危ないかもな』

「ナニソレ恐イ」

と、笑い事ではない現状に走るスピードが少し上がる。

『この先どうするんだ?』

「そうね、先ずはジュンサーさんの所に行って」

「ねえ、」

「助けを求めて」

「ねえ、」

「それから・・・」

「ねえ、ってば!」

「なんですか!!」

今、正に色々な危機に直面していて大変だというのに、予定を組み立てるのを邪魔する声にサクラは珍しく声を荒げた。
だが、走りながら辺りを見渡すも周りには誰もいない。
気のせいかと頭を傾げるサクラに先程の声と腕の中にいる彼が「上、上」と言うので見れば、紺のネクタイ以外を真っ白に統一した男の人が大きな鳥ポケモンに乗って視界より少し上を飛んでいた。

「僕、道に迷っちゃったんだ」

「はあ、」

「この地図の場所に行きたいんだけど道分かる?」

そう言って宙から渡されたくしゃくしゃの紙を開けば地図と呼ぶには余りに情報量が少なすぎる地図。
何本も重なる線に建物を表すのであろう四角、特に目印はなく渡された地図を見てもサクラには彼が何処に向かおうとしているのかさっぱりだった。

「これじゃあ何処が目的地なのか分からないよ」

『おい、地図をよく見ろ』

ここを!と彼が示す所を見れば目的地であろうか地図(?)の真ん中に星印、そこから伸びる一本線の先にはサクラがよく知った場所の名前が書かれていた。

「あの、」

「道分かった?」

ぱっと明るいテンションにサクラは苦笑いを浮かべる。

「私もよく知る場所なので貴方を案内したいんですが」

「案内してくれるの?助かった」

「いえ、あの、案内したいん"ですが"私も逃走中ですので」

「え?君、追われてるの」

サクラが追われてると知り、驚きを見せる目の前の男。
どう見ても追われてるのに彼にはどんな風に見えていたのか不思議に思っていれば「鬼ごっこしているんだと思ってた」なんて聴こえてサクラは何も言えなくなった。

鬼ごっこか、そっか・・・。


「じゃあ、丁度良いね」

何が丁度良いのか尋ね様とした瞬間、体が浮いた。
走る為に地面を蹴っていた足が、体が、浮かび上がりどんどんと地面から離れる。

「アーケオス、そのまま上昇」

男の命令一鳴き上げたポケモンはその大きな翼を動かし建物の屋根を越え空へと上がった。
今だ半身が宙ぶらりんなサクラを男は引き上げて自分の後ろに乗せた。

「僕、君を助けた。

君も僕を助けて!」

このまま道案内しろと言う事なのか

「分かりました。私が道案内します」
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