双子と弁当屋の娘
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
バトルの申し入れを受けたのは単なる気紛れだった。
クダリさんに手加減されていたのを認められて昨日みたいに嫌な気分になったのは確か
でも、手加減していた事をあっさり認められ、しかも今度こそ本気のバトルをしようと言われて私の嫌な気分は何処かへ飛んで行ってしまった。
私は本当に単純で出来ているようだ。
だって本気のバトルが出来るなら今までの事なんてどうでも良いと思えてしまうのだから
「ルールは一対一のポケモンバトル。
どちらかのポケモンが戦闘不能となった時点で相手の勝利となります」
対峙する二人の間に審判として立ったのは先程までクダリと口論していたノボリだった。
ノボリの後ろでバトルが始まるのを今か今かと待つのはトウコとトウヤで、ノボリが出したバトル始まりの合図に対峙した二人はポケモンをボールから出す。
クダリは青い眼に四本足ふわふわな黄色い体毛が印象のデンチュラを
サクラはたまごな様な丸いシルエットに優しげな微笑みのラッキーを出す。
「おや、彼女のラッキーは卵を持っていないのですね」
通常、ラッキーはお腹の袋に常と言って良いほど卵を携帯しているのだがサクラが出したラッキーの袋は空だった。
珍しいと眺めるノボリにトウヤは首を横に振る。
「彼女のラッキーは卵がつくれないんです」
「あのラッキーは性別比率0%って言われたラッキーのオスだから」
トウコの言葉にノボリは驚きの声を上げる。
「それは大変というよりか、かなり珍しいですね」
「うん、まあ、珍しいけど色々あったみたい」
「彼女のポケモンはみんな訳ありだからさ」
双子はノボリにそっくりな顔を向けると口元に人差し指を当てて「今の話は内緒」だと言った。
「後、卵の事はラッキーが一番気にしてるから言っちゃ駄目」
「分かりました。気をつけます」
トウコの注意に口を堅く閉じたノボリが顔を上げた時、丁度クダリのデンチュラがラッキーに向かって"エレキボール"を放った所だった。
本来、攻撃1と言う弱い数値の"エレキボール"はラッキーの足の遅さ、デンチュラの高い素早さが相まって攻撃が格段あがっている。
迫る電気の塊を何とかギリギリで避けたラッキーはそのまま何回転か転がった。
ラッキーはすぐに立ち上がろうとするのだが、クダリはその隙を逃さない。
「デンチュラ"エレキネット"!」
クダリの命令にデンチュラは頭を上に向けて黄色いネットを放つ。
粘着性のあるネットは体勢を整え様としていたラッキーを易々と捕えた。
ラッキーは慌ててネットから脱け出そうとするのだがネットの粘着が体にくっつき、動けば動く程ネットに捕われる。
「うわぁ、ベトベトね」
ねばー、と擬音が聴こえそうなネットの糸の引きようにサクラは驚きを通り越して心配していた。
「あんなに絡まっちゃって後で落とせるかしら」
「どうかな?僕のデンチュラ、技やスピードも凄いけど吐き出すネットも強力!」
「みたいですね。家のラッキーさん、力が自慢なのにびくともしない」
それどころか脱け出そうとするたびにネットが絡み、今では殆ど動けない。
手も足も動かせず胴体でバタバタと動く姿は陸地に打ち上げられた水ポケモンのようだ。
「動けないからって容赦しないよ!
デンチュラ、ラッキーに"きりさく"」
「ラッキーさん、"うたう"をお願い」
「もう、遅い!」
サクラが命令した時点でデンチュラはラッキーの目の前に、"きりさく"を構えた状態でいた。構えた腕が振り下ろされてラッキーは切り裂かれる
筈なのに
「ラッキーがいない」
デンチュラの前には先程迄ネットにもがいていたラッキーの姿は無かった。
あるのはラッキーに絡まっていたのであろうネットのみ。
デンチュラは確かにラッキーを切り裂いた筈なのに相手の姿が見当たらない。
そんな時、微かに歌声が聴こえた。
だんだんと大きくなるポケモンの歌声、それに合わせる様にデンチュラの後ろでピンクの物体が大きくなっていく。
その物体はラッキーだった。
ガクガクと足を震わしたデンチュラを前にラッキーは優しい音色の歌を歌う。
震えた足から力が抜けて、デンチュラは地面へと倒れる。
「デンチュラ!」
クダリの呼び掛けにもデンチュラは答えなかった。
リラックスした表情で眠るデンチュラにラッキーはゆっくりと近付く。
ちゃんと眠っているのを確認しているのか、デンチュラを眺めたラッキーはサクラへと顔を向けて鳴いた。
「うん、うん」
ラッキーの鳴き声に相槌を浮かべたサクラは笑みを浮かべる。
「"みがわり"をして体力が減っちゃったもんね。
好きなだけ食べても良いよ。
デンチュラの夢」
降りたサクラの了承に顔を輝かせたラッキーはデンチュラに向けて腕を上げた。
もくもくとデンチュラから出てきた靄をラッキーは千切っては食べ千切っては食べを繰り返す。
「あれがデンチュラの夢?」
なのか?と疑いたくなるそれは、まるで綿菓子の様だった。
「その様ですね。デンチュラを見てください」
ノボリに言われた通りデンチュラを見れば、先程まで穏やかに眠っていたのに今は苦しそうな表情を浮かべている。
「それに比べて」
デンチュラの夢をひたすら食べるラッキーは顔も、肌もツヤツヤに光っていた。
「ポケモンの夢ってお肌に良いのかな」
興味津々に眺めるトウコにトウヤもノボリも困惑する。
「トウコ、間違ってもポケモンの夢を食おうとか思うなよ?」
「そんな事しないよ!ちょっと思った事を呟いただけ」
「クダリさん、早く道具を使うか木の実を与えるかしないとラッキーさんがデンチュラの夢を全部食べてしまいますよ」
「僕も早く起こしてあげたいんだけど」
「だけど?」
「まさかバトルすると思って無かったから何にも持ってないの」
スラックスのポケットも裏返して何も持ってない事をアピールしたクダリにサクラは頭を押さえた。
「唯一、すごいキズぐすりはあったんだけどね」
と、残念そうに掲げたのは回復薬。
だがデンチュラは"ねむり"と状態異常なのですごいキズぐすりがあっても意味はない。
「それじゃあ、クダリさんは爪でも噛んでこのままデンチュラが瀕死になるのを待ってて下さい」
「それは嫌!」
そう叫んだクダリは必死に眠るデンチュラに声をかけた。
早く起きて、と何度も何度も
「流石に呼び掛けるだけじゃ起きないだろ」とトウコかトウヤかが言った。
だけど、クダリは諦め切れずデンチュラに声をかける。
「デンチュラお願い、
目を覚まして!!」
その瞬間、デンチュラは目を覚ましラッキーが取ろうとした夢も霧散して消えてしまった。
「デンチュラ、一旦戻って」
クダリの命令に、デンチュラは寝起きとは思えない素早さでクダリの元へと向かう。
側にいたラッキーに目もくれず主の元へ向かうデンチュラを
「ラッキーさん
"はかいこうせん"」
無情にも眩い光線が襲った。
かするように、それでも確りとラッキーの"はかいこうせん"を受けたデンチュラはクダリの所まで後、少しというとこで力尽きる。
目を回し地に伏せたデンチュラをノボリは戦闘不能と見なし、サクラに勝利を言い渡した。
「本気のバトルだから隙だらけなデンチュラの後ろ姿に容赦なく"はかいこうせん"を撃たせました」
倒れたデンチュラを抱き上げたクダリにサクラは近付いて伝える。
「分かってる。僕が君と同じ立場なら同じ様に後ろを狙ってる」
「自分で"はかいこうせん"を命じておいてあれ何ですけど」
これ、とサクラがクダリに渡しのはげんきのかたまりだった。
「良いの?」
「ここからじゃポケモンセンターは遠いですから
遠慮せず使って下さい」
そう言われて、クダリは受け取ったげんきのかたまりをデンチュラに近付けた。
途端、塊が淡く光ったかと思うと黄色い塊が白く砂となりクダリの手から溢れ落ちる。
ぱちりと目を開いたデンチュラを地面へと下ろせば、今の状況がよく分かっていないのか辺りをきょろきょろと忙しなく見渡す。
そんなデンチュラにクダリが負けた事を伝えるとガックリと見て分かるほど落ち込んでいた。
「えっと、ごめんね?」
その余りの落ち込みようにサクラが思わず謝るのだがクダリは首を振り「大丈夫」と言った。
「デンチュラ、久し振りに負けたからちょっと落ち込んでるだけ
すぐに元気になる」
「そうなんですか」
そうなのか。デンチュラの黄色い体をサクラが撫でていれば何処からかアラームの様な音が聴こえた。
「なんの音?」
「ライブキャスターの呼び出し音だろ」
此方へ近付いて来たトウコとトウヤは自分のライブキャスターを確認する。
サクラも鞄からライブキャスターを取り出してみるが特に何もなく、一通メールが来ていたぐらいだった。
じゃあ、と三人がノボリとクダリを見る。
黒と白のライブキャスターを前に真っ青な顔で固まるノボリとクダリにライブキャスターはひたすら音を鳴らしていた。
クダリさんに手加減されていたのを認められて昨日みたいに嫌な気分になったのは確か
でも、手加減していた事をあっさり認められ、しかも今度こそ本気のバトルをしようと言われて私の嫌な気分は何処かへ飛んで行ってしまった。
私は本当に単純で出来ているようだ。
だって本気のバトルが出来るなら今までの事なんてどうでも良いと思えてしまうのだから
「ルールは一対一のポケモンバトル。
どちらかのポケモンが戦闘不能となった時点で相手の勝利となります」
対峙する二人の間に審判として立ったのは先程までクダリと口論していたノボリだった。
ノボリの後ろでバトルが始まるのを今か今かと待つのはトウコとトウヤで、ノボリが出したバトル始まりの合図に対峙した二人はポケモンをボールから出す。
クダリは青い眼に四本足ふわふわな黄色い体毛が印象のデンチュラを
サクラはたまごな様な丸いシルエットに優しげな微笑みのラッキーを出す。
「おや、彼女のラッキーは卵を持っていないのですね」
通常、ラッキーはお腹の袋に常と言って良いほど卵を携帯しているのだがサクラが出したラッキーの袋は空だった。
珍しいと眺めるノボリにトウヤは首を横に振る。
「彼女のラッキーは卵がつくれないんです」
「あのラッキーは性別比率0%って言われたラッキーのオスだから」
トウコの言葉にノボリは驚きの声を上げる。
「それは大変というよりか、かなり珍しいですね」
「うん、まあ、珍しいけど色々あったみたい」
「彼女のポケモンはみんな訳ありだからさ」
双子はノボリにそっくりな顔を向けると口元に人差し指を当てて「今の話は内緒」だと言った。
「後、卵の事はラッキーが一番気にしてるから言っちゃ駄目」
「分かりました。気をつけます」
トウコの注意に口を堅く閉じたノボリが顔を上げた時、丁度クダリのデンチュラがラッキーに向かって"エレキボール"を放った所だった。
本来、攻撃1と言う弱い数値の"エレキボール"はラッキーの足の遅さ、デンチュラの高い素早さが相まって攻撃が格段あがっている。
迫る電気の塊を何とかギリギリで避けたラッキーはそのまま何回転か転がった。
ラッキーはすぐに立ち上がろうとするのだが、クダリはその隙を逃さない。
「デンチュラ"エレキネット"!」
クダリの命令にデンチュラは頭を上に向けて黄色いネットを放つ。
粘着性のあるネットは体勢を整え様としていたラッキーを易々と捕えた。
ラッキーは慌ててネットから脱け出そうとするのだがネットの粘着が体にくっつき、動けば動く程ネットに捕われる。
「うわぁ、ベトベトね」
ねばー、と擬音が聴こえそうなネットの糸の引きようにサクラは驚きを通り越して心配していた。
「あんなに絡まっちゃって後で落とせるかしら」
「どうかな?僕のデンチュラ、技やスピードも凄いけど吐き出すネットも強力!」
「みたいですね。家のラッキーさん、力が自慢なのにびくともしない」
それどころか脱け出そうとするたびにネットが絡み、今では殆ど動けない。
手も足も動かせず胴体でバタバタと動く姿は陸地に打ち上げられた水ポケモンのようだ。
「動けないからって容赦しないよ!
デンチュラ、ラッキーに"きりさく"」
「ラッキーさん、"うたう"をお願い」
「もう、遅い!」
サクラが命令した時点でデンチュラはラッキーの目の前に、"きりさく"を構えた状態でいた。構えた腕が振り下ろされてラッキーは切り裂かれる
筈なのに
「ラッキーがいない」
デンチュラの前には先程迄ネットにもがいていたラッキーの姿は無かった。
あるのはラッキーに絡まっていたのであろうネットのみ。
デンチュラは確かにラッキーを切り裂いた筈なのに相手の姿が見当たらない。
そんな時、微かに歌声が聴こえた。
だんだんと大きくなるポケモンの歌声、それに合わせる様にデンチュラの後ろでピンクの物体が大きくなっていく。
その物体はラッキーだった。
ガクガクと足を震わしたデンチュラを前にラッキーは優しい音色の歌を歌う。
震えた足から力が抜けて、デンチュラは地面へと倒れる。
「デンチュラ!」
クダリの呼び掛けにもデンチュラは答えなかった。
リラックスした表情で眠るデンチュラにラッキーはゆっくりと近付く。
ちゃんと眠っているのを確認しているのか、デンチュラを眺めたラッキーはサクラへと顔を向けて鳴いた。
「うん、うん」
ラッキーの鳴き声に相槌を浮かべたサクラは笑みを浮かべる。
「"みがわり"をして体力が減っちゃったもんね。
好きなだけ食べても良いよ。
デンチュラの夢」
降りたサクラの了承に顔を輝かせたラッキーはデンチュラに向けて腕を上げた。
もくもくとデンチュラから出てきた靄をラッキーは千切っては食べ千切っては食べを繰り返す。
「あれがデンチュラの夢?」
なのか?と疑いたくなるそれは、まるで綿菓子の様だった。
「その様ですね。デンチュラを見てください」
ノボリに言われた通りデンチュラを見れば、先程まで穏やかに眠っていたのに今は苦しそうな表情を浮かべている。
「それに比べて」
デンチュラの夢をひたすら食べるラッキーは顔も、肌もツヤツヤに光っていた。
「ポケモンの夢ってお肌に良いのかな」
興味津々に眺めるトウコにトウヤもノボリも困惑する。
「トウコ、間違ってもポケモンの夢を食おうとか思うなよ?」
「そんな事しないよ!ちょっと思った事を呟いただけ」
「クダリさん、早く道具を使うか木の実を与えるかしないとラッキーさんがデンチュラの夢を全部食べてしまいますよ」
「僕も早く起こしてあげたいんだけど」
「だけど?」
「まさかバトルすると思って無かったから何にも持ってないの」
スラックスのポケットも裏返して何も持ってない事をアピールしたクダリにサクラは頭を押さえた。
「唯一、すごいキズぐすりはあったんだけどね」
と、残念そうに掲げたのは回復薬。
だがデンチュラは"ねむり"と状態異常なのですごいキズぐすりがあっても意味はない。
「それじゃあ、クダリさんは爪でも噛んでこのままデンチュラが瀕死になるのを待ってて下さい」
「それは嫌!」
そう叫んだクダリは必死に眠るデンチュラに声をかけた。
早く起きて、と何度も何度も
「流石に呼び掛けるだけじゃ起きないだろ」とトウコかトウヤかが言った。
だけど、クダリは諦め切れずデンチュラに声をかける。
「デンチュラお願い、
目を覚まして!!」
その瞬間、デンチュラは目を覚ましラッキーが取ろうとした夢も霧散して消えてしまった。
「デンチュラ、一旦戻って」
クダリの命令に、デンチュラは寝起きとは思えない素早さでクダリの元へと向かう。
側にいたラッキーに目もくれず主の元へ向かうデンチュラを
「ラッキーさん
"はかいこうせん"」
無情にも眩い光線が襲った。
かするように、それでも確りとラッキーの"はかいこうせん"を受けたデンチュラはクダリの所まで後、少しというとこで力尽きる。
目を回し地に伏せたデンチュラをノボリは戦闘不能と見なし、サクラに勝利を言い渡した。
「本気のバトルだから隙だらけなデンチュラの後ろ姿に容赦なく"はかいこうせん"を撃たせました」
倒れたデンチュラを抱き上げたクダリにサクラは近付いて伝える。
「分かってる。僕が君と同じ立場なら同じ様に後ろを狙ってる」
「自分で"はかいこうせん"を命じておいてあれ何ですけど」
これ、とサクラがクダリに渡しのはげんきのかたまりだった。
「良いの?」
「ここからじゃポケモンセンターは遠いですから
遠慮せず使って下さい」
そう言われて、クダリは受け取ったげんきのかたまりをデンチュラに近付けた。
途端、塊が淡く光ったかと思うと黄色い塊が白く砂となりクダリの手から溢れ落ちる。
ぱちりと目を開いたデンチュラを地面へと下ろせば、今の状況がよく分かっていないのか辺りをきょろきょろと忙しなく見渡す。
そんなデンチュラにクダリが負けた事を伝えるとガックリと見て分かるほど落ち込んでいた。
「えっと、ごめんね?」
その余りの落ち込みようにサクラが思わず謝るのだがクダリは首を振り「大丈夫」と言った。
「デンチュラ、久し振りに負けたからちょっと落ち込んでるだけ
すぐに元気になる」
「そうなんですか」
そうなのか。デンチュラの黄色い体をサクラが撫でていれば何処からかアラームの様な音が聴こえた。
「なんの音?」
「ライブキャスターの呼び出し音だろ」
此方へ近付いて来たトウコとトウヤは自分のライブキャスターを確認する。
サクラも鞄からライブキャスターを取り出してみるが特に何もなく、一通メールが来ていたぐらいだった。
じゃあ、と三人がノボリとクダリを見る。
黒と白のライブキャスターを前に真っ青な顔で固まるノボリとクダリにライブキャスターはひたすら音を鳴らしていた。